まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

那の津(博多埠頭)から「太古」出航

2019年05月06日 | 旅行記H・九州

太宰府市から天神に戻ったのが17時前、雨がまだ降る中でどこに行こうかと思う。いずれにしても飲むわけだが、何をアテにするか。さすがは大都市、スマホで検索するといやというほど店が出てくる。屋台にはあまり食指が動かす、大衆酒場か郷土料理か。郷土料理には五島列島の魚介類を売りにした店がある。明日(4月30日)、明後日(5月1日)にはツアーのほうで食事がつくがどのようなものかわからないので、これから渡る先にいただいてしまうのもありかと思う。まあ、それはいくらなんでも失礼かな。

結局、博多名物ということでもつ鍋を選択。以前にも訪ねた「楽天地」の天神本店に向かう。中華料理店の2階、建物は実に年期が入っているが、それだけ長年流行っている証とも言える。

3階の座敷に通される。掘りごたつではない文字通りの畳敷きの座敷だが、靴を脱ぎ、脚を伸ばせるのがよい。まずは生ビールをいただき、雨に濡れた心身をリセットする。

もつ鍋一本で勝負するこの店、追加のもつが最初からつく「もつざんまいコース」を選択する。最初に付きだし代わりの酢もつをいただきながら鍋が来るのを待つ。

鍋が来た。まずは強火で野菜が柔らかくなるまで煮込む。1人前だからさほど感じないがこの店はニラをふんだんに使うため、2人、3人で注文するとニラがてんこ盛りになる。それで大丈夫なのかと心配になるが、煮立ってくると野菜がしんなりして鍋の中でうまく溶け込むのが不思議である。

こちらは追加用のもつ。大腸、小腸、センマイ、赤センマイ、ハチノス、ハツの6種類とのこと。「もつざんまいコース」では最初から1.5人前入っていて、追加がもう1人前である。

そろそろ煮立ってきたのでいただく。醤油味のあっさりしたスープがベースのため、もつもしつこさを感じず味わえる。結構入っていたニラやキャベツもスルスルと口に入る。頃合いを見計らって追加用のもつも入れてしまう。飲むほうもビールからサワーにスイッチ。こちらのほうが合う感じだ。

締めはちゃんぽん麺。「楽天地」の大将が開業直後、何か締めに入れるものはないかと1階の中華料理店に行き、見つけたちゃんぽん麺をこっそり入れてみたのが始まりという。確かに米よりも合っている。ちゃんぽん麺はお代わり自由だが、1人前でもボリュームがあり十分満腹になる。

入店した時は開店直後だったので待つこともなかったが、出る時には2階の階段から下まで行列ができていた。

これで夕食を終え、時間はまだ19時前だがバスで博多埠頭に向かう。博多埠頭のフェリーターミナルの向かい側、ポートタワーの隣にある「みなと温泉波葉の湯」に向かう。博多駅にて添乗員Kさんから「博多埠頭に日帰り温泉がある」と案内があったのはここだろう。入浴料は800円で、タオル、バスタオルの貸し出しが200円。入湯税が50円。今回、フェリーでの連泊プランで入浴等どうしようかと思っていたのでありがたい。昼間雨に濡れたからなおのことだ。ここなら、休憩室で寝過ごさない限り遅刻することはないだろう。

地下800メートルから湧き出る天然温泉のぬる湯からあつ湯まで楽しんだ後は、休憩室でゆったりする。この時間を利用して旅行記のブログ投稿記事の下書きを進める。

21時を回り、道路向かい側のフェリーターミナルに向かう。乗船口に長い列ができているのは、これから五島列島に向かう「太古」に乗る客の列だ。

出航は23時45分だが、乗船は2時間前の21時45分から始まる。それに合わせて添乗員Kさんから集合の号令がかかる。博多駅のひかり広場集合でタクシー利用ではなく直接博多埠頭に来た人もいるようだが、無事に全員が揃ったようである。皆さんどのように1日を過ごしたのかな。

船内の見取り図と乗船券が渡される。今回乗るのはグリーン寝台。当初は一般船室(雑魚寝)利用プランだったが、満席が予想されるからと追加料金でグリーン寝台利用の案内を受けていた。どうやら全員それに応じたようで、それぞれ部屋番号を確認して乗船するよう言われる。

船内は他にツインルームなどもあるが、グリーン寝台は全部で54席、もちろん満員御礼だが、そのうち32席をクラブツーリズムご一行で占めた形である。オンシーズン、個人ではなかなか予約困難なのではないかと、逆に申し訳ないなと思う。クラブツーリズムから請求された追加料金は2100円だったが、これは個人で購入した場合の自由席とグリーン寝台の差額と同じである。

乗船券を受け取った後は自由に乗船ということだが、さっそく行列に並んで乗船口に向かう。船体そのものは比較的新しい感じだが、さすがに前夜乗った名門大洋フェリーに比べれば小ぶりである。翌朝案内があったところでは、名門大洋フェリーの「フェリーきたきゅうしゅうⅡ」が約15000トンなのに対し、この「フェリー太古」は約1600トン。10分の1のスケールである。それが五島列島までとはいえ瀬戸内とは異なる外海を進むのだから大したものだ。

グリーン寝台はこちら。4人または8人部屋で、割り当てられた寝室はご一行の男一人参加4人で占める。荷物置き場があり、転倒防止用のネットがある。やはり揺れることがあるのだろう。

ベッドの中にはテレビも備えられている。感覚としてはカプセルホテルに近いのかなと思う。枕元でリモコン操作を行うが、福岡と長崎の放送局、そしてBSが登録されていて、現在の航路図も出るようになっている。今は出航前なので福岡の放送局が普通に映る。時期的にちょうど平成最後ということで、平成を振り返る番組もある。

出航まで時間があるので他の皆さんもリラックスモードで、着替えをしたり荷物整理をしている。そんな中船内を回ってみたが、ともかくこの日は満員で、必要以上の場所を占有しないよう呼び掛けられている。当然ながら桟敷席は足の踏み場もないくらいで、普段はラウンジとして使われるスペースも、ソファーを全部取り払って桟敷席にしていたし、外部デッキへの通路の片方も閉鎖して桟敷席になっていた(写真は翌朝撮影のもの)。また、横になるのをあきらめて、自動販売機前のカウンター席に陣取る客もいる。ここだとちょうどコンセントもあり、スマホをいじっていれば何とかなるから、最初からここを狙っていたのかな。言葉は悪いが難民船の一歩手前で何とか秩序を保っている感じだ。

あまりウロウロもしてられないし、外の景色を見るのは明日の朝になってからのことだ。23時45分に博多埠頭を出航した後は、福江島に直行するのではなく、宇久3時55分、小値賀4時40分、青方5時40分、奈留7時25分、終着福江に8時15分着と、五島列島の主だった港に順次寄港する。だから大勢の客の中で途中で下船する人もいるだろう。

部屋の外はガヤガヤしているが、グリーン寝台で同室となった男性同士で話が盛り上がるわけでもなく(若い人どうしなら意気投合するのだろうが、何せおっさん同士なので)、酒盛りをするわけでもなく、2、3言葉を交わすくらいで後は各々のペースで過ごすから静かなものだ。そのうちにベッドのブラインドを下ろしてカプセルホテル状態にしてお休みの姿勢となる。

23時45分の出向を前に、中国の弦楽器の旋律が流れてくる。フェリーの名前も「太古」だけに、かつての遣唐使をイメージしたものであろう。今回大陸へ渡るわけではないが、難波津(大阪南港)から航路を取り、大宰府政庁(跡)に赴き、那の津(博多埠頭)から五島に航路を取る。ようやくこの旅の本筋に入って来た・・・。

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