まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

福江島に上陸

2019年05月07日 | 旅行記H・九州

博多埠頭から乗船した五島列島行きの「太古」。途中揺れた区間もあったようだが海が荒れるというところもなく、順調に航行しているようだ(一応、部屋の中には衛生袋や洗面器が備え付けられている)。

その内船が止まるような気配がして、部屋の外では何やら放送している。時間からすると小値賀に到着したようだ。もう一眠りする。

次の到着は5時40分、青方。普段の生活ではすでに起床している時間で、どんな様子かデッキから見ることにする。今回五島列島とはいっても上陸するのは福江島だけのため、他の島はせめて船上から見ようというものである。

雲と霧が混ざったようでどんよりとしている。4月30日は雨は弱まるものの一日中雲が出る予報である。今回参加しているツアーの一番の見どころである「平成最後の夕日」に出会うのは現実には厳しいのかなと思う。まあ、全国的に同じような天候ということではどうしようもない。

そんな中、中通島の青方港に到着する。中通島では東側の奈良尾港が長崎からのジェットフォイルが発着して表玄関のようだが、こちら青方も九州本土の窓口である。港では早朝から出迎えの人がいる。地元の観光協会やレンタカー業者らしいのもいるが、こんな早朝だと営業開始までの時間を持て余すのではないかと思う。

停泊時間がある程度あるのは、貨物の積み降ろしの時間もあるようだ。展望デッキの後方ではコンテナの取り卸しをやっている。やはり離島である。物資の多くは九州本土から運ばれてくるが、この「太古」も貴重な便である。そういえば乗船開始から出航まで2時間という時間があったが、ひょっとすればこうしたコンテナの積み込みにある程度時間をかけていたのではないかと思う。各港で10~20分の停泊時間があったのもそのためだろう。

この辺りは地図で見ても複雑な海岸線が続き、入江が無数にあることがわかる。その一方で、洋上に石油の備蓄基地もある。日本で消費される量の約6日分を備蓄しているそうで、単に五島列島だけのエネルギーを支えている・・というわけでもなさそうだ。 石油(原油)については世界にどのくらい埋蔵されているのだろうか。私が小学生か中学生の頃には、世界の石油は30年後には枯渇するのではないかと言われていたように思う。ただそれから30年を経過しても石油がなくなったという話は聞かないし、当たり前のように消費している。あの「30年」というのは「可採埋蔵量」というそうで、「現在わかっている埋蔵量から採掘可能な量」というものだったそうだ。だから新しい油田が見つかったり、採掘技術が向上して可能な量が増えると年数も増えるそうで、現時点では50~60年まで伸びているという。ならば安心だと思うが、政治情勢にも影響されることだし、特に石油のほとんどを輸入に頼っている日本としてはそれこそ油断はできない。だから備蓄もしておく必要があるし、再生可能エネルギーの技術開発も進める必要がある。

青方港を出航してしばらくは、左手に中通島の緑、右手には外海という景色になる。まずはそれをじっくりと見る。濃い霧がかかっているが、次々に岩が現れては過ぎ去っていく光景が幻想的にも感じる。

やがて両側から陸地が迫る。右手にあるのは若松島と呼び、この一帯を若松瀬戸という。6時45分頃、その両島を結ぶ全長522メートルの若松大橋の下をくぐる。ここは見どころとして船内でも通過予定時刻が掲示されている。少し遅れているようだが問題なさそうだ。五島列島は約140の島々で形成されているが、ここまで狭く、両方の島に人がいるのなら橋を架けようというのもわかる。

若松瀬戸を抜けるとしばらく外海に出る。右手に浮かぶ三角の島はヘボ島という。また左手の遠方に浮かぶのは椛島。さまざまに島が浮かぶ景色は瀬戸内海のそれに似ているが、五島列島という、大陸と日本本土の間にこれだけの島々が形成されているというのも奇跡だと思う。

再び両側が陸地に挟まれた瀬戸の中を進み、奈留に到着する。ここまでの港で下船する人も結構いて、難民船の様相を呈していた船内も落ち着きを取り戻していた。奈留島で下船する人も多いが、一方でここから乗船の人も結構いる。子どもたちの団体もいる。今度はこの子どもたちが桟敷席に収まる。

すぐに下船できるように荷物整理だけしておき、この後もデッキで過ごす。そろそろ前方に福江島の姿が見えてきた。到着する福江港だが、さすが五島最大の町ということで結構建物が多く見える。またその港から五島の各島に出航する船ともすれ違う。

定刻の8時15分、福江港に到着する。まずターミナルへの連絡通路を歩き、ここでようやく、博多から乗ってきた「太古」の全体像を目にすることになる。ようやく着いたのだなと思う。

添乗員Kさんの案内でターミナルから出て、待機している五島バスの観光バスに乗車する。今回、4月30日の一日と、5月1日の昼過ぎまで、このバスで移動することになる。オプションで「バスの前列保証」(1000円)というのを申し込んでいた。別に乗り降りが面倒くさいわけではなく、単純に前方の景色を見たかったからである。そのおかげか最前列が割り当てられていた。 この後で、普通の路線バス、高速バスと違い、「団体バスツアーにおける前列ならでは」ということを一日半味わうことになるのだが、この時は知る由もなかった(まあ、普段とは違う旅の方法なので。ただ終わってみれば面白い体験だったと思う)。

ここからは添乗員のKさんに加えて、現地バスガイドのSさんが担当する。福江島のエース級とも言うべきバスガイドで大ベテランのようだ。福江の高校を出てから大阪でバスガイドとして就職したからしゃべりは関西仕込み。自称「福江島の上沼恵美子」だが、年齢は「18歳」という・・・。今後どのようなガイド、トークになるかは想像に難くないだろう。

また、添乗員Kさん手書きによる4月30日の行程表が渡される。最終目的地は平成最後の夕日を見る大瀬崎灯台なのだが、その前にあちこち立ち寄るてんこ盛りのプランだ。「皆様芸能人並みの、分刻みのスケジュールで動いていただきます」とのことだが、仮に夕日を見ることができなくても、この日と翌日の一日半で福江島の主な見どころは満喫できそうだ。

・・・さて、時刻は8時半を回っているが、ご一行は朝食がまだである。その朝食というのもコースの一つに入っているそうで、バスに乗ってすぐのところの朝食会場に向かう・・・。

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