寿命は30年延びる/白澤卓二著(幻冬舎新書)
こんな本を読むなんてヤキがまわったのか、と疑われるだろうが、ちょっと眠気防止に仕方無なく読んでしまった。自分の寿命がどれくらいかも知らないし、さらにそこから30年延びるなんてかえって恐ろしいくらいである。アンチエイジングなんて言葉も嫌いだし、おおよそなんでこの本が僕の本棚にあるのかもよく分からないのだが、よく分からないのが自分であるのもいつものことなので特に気にしないでおこう。年相応に老いて死ぬ方法に役立つこともあるかもしれない。
書いてある内容はごく常識的な事ばかりかもしれない。しかしながら最近いろいろと体の不調があったせいもあるのだろう。分かっているからあえて実行しないという反骨精神も段々と薄れている。まったく不健康な年頃になったものである。いつまでも若くありたいという思いは微塵も持ち合わせていないものの、だからと言って誰よりも早く老いてしまいたいという願望がある訳ではない。それにやはり病気で長い時間苦しむのは嫌かもしれない。この本にある理屈によると、ある程度の若さを保ちながら老いることで、加齢による病気の発症の先送りができる、というのは合理的には気になった考えだった。まるで日本の行政の行動を個人に還元したようなものだろう。そのような狡さは個人的には野望として持ち続けても支障はあるまい。
サーツー遺伝子やサーチュイン遺伝子というのがあるらしいことは知識として知っていた。米国にはそのような遺伝子が活性化するサプリメントがあるらしいけど、日本であるのかは知らない。しかしながらそういうものに頼らなくても、そのような長寿遺伝子が活性化する簡単な方法があるらしい。それは単にカロリー制限をすることである。昔から腹八分目医者いらずというのだそうだが、もう少し減らして腹七分目くらいだと、長寿遺伝子が働きだすのだという。方法は単純で簡単だが、実行はそれなりにつらいし難しい。世の中というのはうまい話というのはなかなか無いもんなんだよね。
そういう事実らしい事を確認して、さて諦めるかやってみるかという選択肢をどうするかということで道が分かれる。どの時点でその分かれ道に立つのかというのも問題だが、知っていて知らんぷりするというのもかえって臆病なことなのかもしれない。基本的にはダイエットだもんね、ということにしておいて、それなりに効果を期待なんぞしてしまうのも老後の楽しみかもしれない。飲んでいるとそのことをすぐに忘れるので、乾杯前にいちいち思い出すことができるのか。何年かしたらその答えの一端が、ひょっとすると現れるかもしれないと期待をしておこう。