カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

煮え切らない男とは付き合うな   ナラタージュ

2022-04-20 | 映画

ナラタージュ/行定勲監督

 原作小説があるらしい。基本的には映画化だが、いくらか違うところもあるのだそうだ。
 大学生の泉に、高校の演劇部の先生から電話がかかって来る。演劇部員が足りないので、助っ人で手伝ってほしいということだった。他にも数人呼びかけられた仲間たちが集まって、再び高校の演劇部の練習をすることになる。実は泉は演劇部の先生である葉山のことが好きで、葉山は事情があって妻とは離れて暮らしている。そうして二人は卒業式にキスを交わしていながら分かれていた。惹かれあっているものの妻とは別れられないらしい葉山への想いを持ちながら、やはり離れるべきだと考えていた泉は、同じく演劇の手伝いに来ていた小野から告白もされており、その感じの良さにそちらと付き合うことにするのだったが……。
 まあ、あまり好きになれない男ばかり出てくるのだが、そういう男を好きになってしまった女の不幸が描かれている作品かもしれない。何しろ事情があるだろうにしろ、妻とは別れられず、気持ちのはっきりしない先生はずる過ぎて、ひどいのではないか。相手は高校生の女の子なのに、キスして思わせぶりなまま別れてしまう。大学生になっても長く諦めきれない思いが残ってしまうのは、これは罪なことである。そういう思いが残りながら、好かれるのならば、ということで最初は優しそうな小野と付き合うが、この男は嫉妬に狂って妙なことになっていく。ある意味で当たり前だが、嫉妬後の行動はあまりよくない。これはやはり付き合っていけないだろう。
 しかしながらこの恋愛劇は、お互いの気持ちを確かめる言葉が少ないような気もした。言葉だけがすべてじゃないし、そういうことが分かればいいのだから、気持ちが確認できることが示唆さえすればいいのだが、それがあまりはっきりしない感じなのだ。だからこうなってしまうということなのかもしれないが、そこに恋愛としての相手に対する甘さのような、隙ができてしまうのではないか。そういうところがはっきりしないまま一方の気持ちの方が強くなってしまうと、必ず歪みが生まれていってしまう。そういうものが、さらに心を傷つけていくのではなかろうか。
 そういう話なのだ、ということであるならば、それは成功している。何かもやもやとしたものが残るのは、その所為だろう。美形の男たちを好きなるということがそういうことであるならば、それは仕方がないことなのだろうか。
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