トランスポーター/ルイ・レテリエ監督
犯罪に絡む危険な物品を運ぶ仕事を請け負っている男がいる。非常に潔癖症というか、杓子定規な考え方をする人間のようで、融通が利かない。いちおう仕事はできるという設定のようだが、契約内容とちょっとでも違うと契約内容に合わせるように非常な行動をとる。まあ、自分勝手ということなのかもしれない。そうやって仕事をしていたが、ある日大きなバッグを運ぶように頼まれる。車がパンクしトランクを開けると、荷物が動いている。自ら課したルールを破って中身を見ると、東洋人の女が縛られてはいっていた。飲み物を飲ませトイレに行かせると、一時は逃げられ、しかし捕らえてバッグに詰め直し、依頼人にはちゃんと届けた。仕事を終えて帰る途中、飲み物を買おうと車を離れたところ、車は爆発してしまう。爆薬を仕掛けられ殺されるところだったのだ。怒って依頼人のところに戻ると、いろいろとドンパチが起こって、結局運んだ女とともに逃げ帰ることになる。そうして組織と対峙した戦いが始まったのだった……。
荒唐無稽な話だけれど、とにかくアクション活劇が続いて、スリルの連続である。助けた女はいろいろと噓をついていて、あんまり信用できない人間なのだが、なんとなく愛し合うようになる。けれど、やっぱり嘘つきなので裏切られてもいる。そうしているうちに人身売買事件に首を突っ込んでいて、自らの正義感も芽生えて、戦い抜くことになる。ほとんど香港のカンフーアクションのような、アクロバティックな武闘が行われている。ちょっと笑ってしまうような、雑技団のような凄まじさがある。これはおそらく、それらのアクション映画のオマージュであるようだ。
悪の組織と東洋の女と、そして警察も絡んで複雑な状況の中戦っているが、それらはリアリティのかけらもない。人もたくさん死んでいるようなのだが、そういうことへの感情も特にわかない。そういうことに頓着せず、凄いアクションだけをひたすら追い求めて作られた作品なんだろうと思う。そういう意味では屈託なく素直な性格の映画ともいえるのかもしれない。続編もあるようだし、ヒットしたのだろう。かなり怪しい人物がたくさん出てくるが、これも継承されていくのだろうか……。