ザ・ロイヤル・テネンバウムズ/ウェス・アンダーソン監督
脱力系コメディというか、雰囲気を楽しむ物語というか。結局なんだかよく分からないなりに、深遠な気持ちにもなれる変な文学作品を読んだような面白さである。
最初から奇妙にずれていてかみ合わない感じがそれなりに展開していって、結局終息さえしないようにも見える。しかしながら物語はそれでいいということなんだろう。感情移入はしづらいかもしれないが、いわゆるハマるという人も多いのもよく分かる。人間的な感情がどこか欠けているようにも思えて奇妙なのだけれど、見終わった後には、やはり共通の感傷を受けるということがあるようだ。完全に架空のものだと分かりながら、心の奥にある人生の機微に、奇妙に引っかかるのかもしれない。天才にも平凡なところはあり、当たり前だが心の悲しみを抱えている。取り繕うとしても、ちょっとだけ糸が飛び出すようにほころんでしまうことはあるのかもしれない。しかし、そうやってちょっとだけ目につくような、いわば欠点のようなものが見えることで、かえってお互いの新密度は増すこともある。普段は目に見えないからこそそういう部分がいとおしくもあるわけで、誰もいつまでも表面的な生活ばかりを展開している訳ではないのだ。
ダラダラ続くような展開なのに、何故だが終わるのか惜しいような気もした。そういう意味で妙な気分を味わうには、いい作品といえるかもしれない。もちろんそういうモノ好きな人でなくとも、ひょっとすると気にいることもあるだろう。人を選ぶと考えられるとはいえ、その間口はあんがい広そうだ。僕もおそらくやるんだろうが、この監督作品の別物を素直に見たいとも思う。その上でまた、このけだるさの空気を考えてみることになるのであろう。
脱力系コメディというか、雰囲気を楽しむ物語というか。結局なんだかよく分からないなりに、深遠な気持ちにもなれる変な文学作品を読んだような面白さである。
最初から奇妙にずれていてかみ合わない感じがそれなりに展開していって、結局終息さえしないようにも見える。しかしながら物語はそれでいいということなんだろう。感情移入はしづらいかもしれないが、いわゆるハマるという人も多いのもよく分かる。人間的な感情がどこか欠けているようにも思えて奇妙なのだけれど、見終わった後には、やはり共通の感傷を受けるということがあるようだ。完全に架空のものだと分かりながら、心の奥にある人生の機微に、奇妙に引っかかるのかもしれない。天才にも平凡なところはあり、当たり前だが心の悲しみを抱えている。取り繕うとしても、ちょっとだけ糸が飛び出すようにほころんでしまうことはあるのかもしれない。しかし、そうやってちょっとだけ目につくような、いわば欠点のようなものが見えることで、かえってお互いの新密度は増すこともある。普段は目に見えないからこそそういう部分がいとおしくもあるわけで、誰もいつまでも表面的な生活ばかりを展開している訳ではないのだ。
ダラダラ続くような展開なのに、何故だが終わるのか惜しいような気もした。そういう意味で妙な気分を味わうには、いい作品といえるかもしれない。もちろんそういうモノ好きな人でなくとも、ひょっとすると気にいることもあるだろう。人を選ぶと考えられるとはいえ、その間口はあんがい広そうだ。僕もおそらくやるんだろうが、この監督作品の別物を素直に見たいとも思う。その上でまた、このけだるさの空気を考えてみることになるのであろう。