カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

今年はどうもありがとう

2008-12-31 | 雑記

 大晦日なので一年を大きく振り返りたい気持ちになりがちなのだが、別に大きく振り返らずとも、勝手に報道などが振り返ってくれているので、恐らく多くの人にはそのような行為は食傷気味なのではないかと推察するものである。しかしながら小さくであるならば、多少なりとも振り返ってみてもいいのではないかなどともしつこく思うので、やはりそれが大晦日の魔術というものなのかもしれない。一年の区切りなんて、個人的な感慨以外に、本当に重要なものなのかということ自体がかなり疑わしいにもかかわらずなのだ。今年一年何があったと振り返ることで、本当に意味のあることになるのかどうなのかということをもう少し真剣に考えてみてもいいのではないかとさえ思う。しかしやはり今年は何であったのかという記憶を忍ばせて新年を迎えるということに、人間としてのささやかな喜びというものがあるのかもしれないとも思う。過去の無い人間がしあわせとも思えないし、反省の無い人間に未来も開かれないだろうからだ。
 何もかも反省だけは上手だという人間に碌な奴はいないのだけれど、僕なりに反省をすると、今年の僕は新たな環境の変化の中で、かなりの戸惑いをもてあましてしまった一年のような感じがした。職場の環境も大きく変わったし、家に帰るようになったので子供との関係も少しだけ密になったようでもあり、そういうわけで僕の立ち位置自体がかなり大きく変化した。まずまずやれたこともあったし、したりないことも当然あった。すべてがそうであったとは客観的にいっていえないにしろ、立場的にやはり僕にまだまだ力の足りないところがたくさんあったというべきだろう。確かにそう思えるということは、僕なりにまだまだ伸びしろが残っているともいえるわけで、いまどきの流行の前向き思想は大嫌いにしろ、総括としての今後へつながる材料として、まずまず健全な了解であろうとは思う。世の中の環境が厳しいという認識は持ちつつも、希望をもって新年を迎えるに値するといえるのではないか。個人的にこれほど慶賀に値する認識はなかろう。だから、今年はまずまずにしろいい年だったと総括できる。少なくとも、僕はまだまだ新たにステップを踏めるのだということなのだ。
 実は昨日訳あってスペースワールドで息子と一緒に「ザターン」というジェットコースターに乗った。僕は人一倍怖がりで何事も信用できない性格なので、自分から進んでジェットコースターに乗るなどということは普通にありえない。ここの施設の別のアトラクション事故の記憶に新しい状況が無かったら、決断できなかったかもしれない。事故があったということはそれなりに点検が厳しくなっているだろうから、安全度が上っているに違いない。そう考えると気分が楽だ。ということが本当に覚悟を決めたわけでは実は違って、最初に息子が乗りたいと強がっていて、一緒に乗らなければならないような空気になっていき、どうにも後に引けないような状況に引きずり込まれていった。そうであるならいつまでもびくびくしているわけにもいかない。じゃあ乗ろうとようやく覚悟を決めると、実は息子の方が逡巡していることがはじめて判明した。出来るだけ後回しにして決断を先延ばししようとしている。乗り場の階段の前であれこれ言い訳をしている。僕はぐずぐずするのも待つのも大嫌いだから、まあ、そこのあたりは適当に言って、本当は僕だって逃げ出したい状況なのにもかかわらず、大丈夫だなどといいながらリラックスする方法なんかも交えて説得にあたったのだった。そうして何とか僕らの順番まで回ってくることになった。どんより暗い顔をしている息子と一緒にザターンに乗り込んでみると、体を固定するバーの状態やベルトの着装の心配で、息子はろくにアナウンスされる説明さえ聞けないほどのパニックに陥っていった。もうどうにも逃げられず降りることさえ許されないということを悟った息子は「もう終わった、終わった」と繰り返し深い絶望に包まれてしまったのだった。しかし僕はこのような息子の取り乱しぶりを目の当たりにして、同情と憐れさを感じたのは確かにしろ、むしろ息子がどうしようもなくいとおしくなり、愉快になって勇気がわいてくるのを感じた。もうほとんど何も怖くない。そして、ものすごい強烈なスピードに圧倒されてなんだか訳の分からない嵐のような迫力のある数秒の体験に包まれて、感動というか高揚した時間を満喫することが出来たのである。
 これが、ある意味で象徴的な今年の姿である。付属するというか、語るべき言葉は他にたくさんあるだろう。しかし、だからといってとても語るに足りるとは思えない。だから、たとえ言葉足らずに終わるかもしれないとは言うリスクはあるとはいえるにしろ、語られない部分には触れないでおくことにしよう。ある意味で、度胸が据わって逃げ場が無いような切羽詰ったホンネがあふれるような、そんな新年と、これからの自分を楽しむ為に…。
コメント
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