昨日に続いて映画編。
ピアノの森/小島正幸監督
実はアニメと知らずにDVDセットして、始まったら一気にのめり込むように見てしまった。素直に面白い。まあ、漫画ならではのありえない話なのかもしれないが、思わず力を入れてみてしまうような力のあるストーリーなのではないか。元気にもなるので年末にいいのではと思います。
天空の草原のナンサ/ビャンバスレン・ダバーン監督
この人たちは今もこういう生活を続けているのだろうか。そしてこのナンサという子供も大きくなってもこの生活を選択するのだろうか。坦々とした展開の中にそういうことを考えずにいられない人間の不思議さを思った。僕も田舎生活をしているとはいえ、人間の叡智を結集したある意味で完結した世界が以前にはあったのだろうということを忘れがちである。文明というのは、進んでいくものではないのかもしれない。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド/ポール・トーマス・アンダーソン監督
これって、ちょっとめちゃくちゃなんじゃないかという話なのだが、妙に心を打たれた。演技が凄いというべきなのか。観終わってしばらくはまとまりのつかない感情に支配されて戸惑った。人間の欲望に忠実な生き方というか、どんどん暴走していく怖さというか。変な話には違いないが、いい映画だと思います。
ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた/エイドリアン・シェリー監督
フェミニストが観ると、なんじゃこりゃ、という映画ではないか。今だに米国というのはこのような閉鎖性のある社会が残っているということでもあるのだと思う。まあ、それでもカタルシスはちゃんとあるので大丈夫である。コメディといえばコメディで、見た目よりおしゃれでないところが気に入った。
春夏秋冬そして春/キム・ギドク監督
不思議な話だが、この世界観は凄いと思った。性描写などはあからさまだから注意はいるかもしれないが、だからといって悪い映画ではない。最後の方で監督自ら演じているが、なかなか凄い人なんだなあと改めて感心した。哲学があるんでしょうねえ。
イカとクジラ/ノア・バームバック監督
あからさまに家庭というものが何であるかということを実験的に考えさせられる。ここまで家族をさらけ出せたということも、なかなか見事というよりない。日本だと個人主義である親の身勝手と考えてしまう人もいるかもしれないけど、彼らは正直なところがあるというだけのことなんだろう。
マーダーボール/ヘンリー=アレックス・ルビンとダナ・アダム・シャビーロ監督
これは本当に紹介しそこなったという後悔があった。もの凄く面白いし、多くの人に見てほしい映画だ。変だといえば変だけれど、人間という生き方の面白さに僕は感動すらしてしまった。あくまで人工の突き進み方なんだろうけど、僕には人間の業のようなものさえ感じられて、唸ってしまった。ああ、一応ドキュメンタリーですけどね。
アメリカ、家族のいる風景/ヴィム・ヴェンダース監督
変な映画ともいえるけど(まあ、変な映画は好きだけど)、割合まともでもある。いまさら感のある親子の愛情だが、どうしても許せないのは、それはいまだに愛しているからなんだと思う。思ったほど軽々しくないのが愛なんだと再確認できて、大変に良かったのであった。