新聞を読んでいると、増税への布石を固めているものが多くなった。このままでは財政は立ち行かないということは、記事から読み取るに明確であると判断するよりない。もちろんそれは記事を読んでそう読むしかないということである。また別の書物などを読むと、これは嘘であるということが書いてある場合も多い。官僚に騙されるなということらしい。まあ、確かにいろいろと騙されてきたことは覚えがあるから、そういう意見を信じたいという気持も強い。しかし、それってやっぱり何とも納得がゆかない話なのである。
そもそも今の財政状況がまともであるとは最初から思えない。しかし、日本の資産ということを考える上では、借金の額が少ないと言い張る向きもある。いや、しかし収入と支出だけを見ると、やはり異常だ。資産が売れるという保証もよく分からない。足りなくなったから増税だというのは、やりくりがどうかしている家庭のようで、将来性は感じられない。増税は確かに嫌なことだし、そういうツケを安易に他人になすりつけるような政治形態は虫が好かない。実感は伴わないにしろ、近年の日本の景気はずっと上向いて良かったらしかった。それ自体が信じられない人が多いだろうにしろ、それでも財政は健全化されなかった。よい時期に手を打たなかった上に、これから悪くなるだろう最悪のタイミングで増税が行われることは、おそらく歴史的な取り返しのつかない過ちになることは、猫が考えても予想できるシナリオである。しかし危機感をあおって合意へ持ち込もうという目論見がある側は、そういう方向へ暴走せざるを得ないようである。つまり、これはやはりどこかに政治があることは間違いない。
しかしながら、変に民主的を装う議論に消費税の不公平性をいうことが多いように思うが、今の税制において一番公平な税制は間違いなく消費税である。金持ちを優遇してけしからんというが、今の税制の方が明らかに低所得と中間層に不利だ。もちろんある程度の累進性は必要で、事実現在はそのような所得税制になっている。もともとちっとも金持ち優遇ではない。その上に大企業ほど税制に有利な海外へ流出している事実からも、日本は大企業優遇の国などではない。日本企業は日本という苦しい土壌においても努力を重ねて国に貢献していると考えるほうが、実は素直なことではないかと思う。ヤクザや脱税をしている連中にとって、逃げも隠れもできない税制は、ほぼ消費税しかない。なぜ彼らをかくまうために僕らは苦労して天引きの税金を守らなくてはならないのか。クルマに乗る人間がガソリン税から逃れられないように、消費税はずるいやつからも公平に税金をむしり取るシステムなのである。
もちろん今のまま消費税だけを増税するのは単純に不公平だ。ちゃんと所得税の大幅なカットとともに段階的に消費税を上げるべきだろう。段階的に消費税が上がることが分かっていれば、駆け込み需要などのメリハリが出て、加えての景気刺激策となるだろう。日本経済の巨大さを思うと、やはりある程度の内需拡大で自国を潤すことが可能である。浪費が奨励されると簡単にバブルになる危険はあるが、もう少し持っているものを持っている人から放出されるような気分を作ることが、政治的な駆け引きなのではないか。今の絶望感から増税を引き出す作戦は、目的達成のためには、まったくの的外れなのである。