カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

800 two lop runners

2008-07-03 | 映画
800 two lop runners/廣広隆一監督

 陸上競技の物語なのかと言うと少し疑問はある。確かに陸上で走っているので間違いではないのだけれど、そういう競技が中心になっているのではない。800メートル走はタフな競技であるということはわかるけれど、なんとなく地味である。いや、これを走れる人というのは陸上選手の中では尊敬されるのかもしれないけれど、なんとなく中途半端でどれだけすごいのか一般の人にはわかりにくい感じもあるのかもしれない。しかし欧州では人気があるらしく陸上の格闘技と言われているらしい。日本人には苦手な分野のようで、記録も人気もあまりたいしたことがないように思われる。僕も陸上を走っていた頃があるが、800の人はちょっと変わっているという感じもあった。基本的に中距離という分野で、短距離でも長距離でもないということだ。400メートルだと短距離系の人が速いし、1500だと長距離系の人の方が速い。800に強い人は一種独特のポジションだったように思える。そういう意味では確かにこの距離に魅せられる人は、偉い人なのかもしれない。
 物語は恋愛が中心である。やたらにすぐ寝てしまうのはどうかとも思うが、高校生の恋愛ものとしてかなり特殊な関係性が売りのようだ。誰が誰に惹かれているという関係が複雑で、そうして必ずしも相思相愛でない関係の方が肉体関係が深かったりする。説明するのが煩わしいので端折るけれど、そういうことになっている理由もそれなりに理解はできる。不思議と悲壮感が感じられないだけで、本当は傷ついているのかもしれないが、僕にはよくわからない問題だった。近親恋愛と同性愛と片思いと謎究明が絡んで、そうして性の問題が絡んでいる。もう勝手にしてくださいである。まあ、しかし、そんなに難しくしなくても、恋愛というものは不条理なものなのではないかとは思うので、楽しめる人は楽しめるだろう。主人公の人格もあると思うが、ワルのくせに妙にまっすぐで、好感は持てるのだった。それにこの高校生たちはみんなものすごく大人すぎるのである。ああそうか、ちょっとこれってやはりありえないおとぎ話なんだ。
 まあしかし、そういう具合に青春は疾走し、どっちが勝ったかなんかよくわからんうちに(ちょっとネタばれ)終わってしまうのだろう。みんな演技が下手だったけど、走っているのはホントっぽくて(というか本当に走っている)、僕はそういうのを見ているだけでも楽しかったのであった。
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