新古今和歌集巻第四

2024-10-04 | 読書

 【新古今和歌集 巻第四 秋歌 下】
 秋歌の下より、なんとなくいいと思った九首をピックアップした。
 風や夕暮れの空などに秋の到来を感じてのもの、荻や萩、女郎花、七夕の天の川、月・・・が詠み込まれている。
 曽禰好忠 朝ぼらけ荻のうは葉の露みればややはださむし秋のはつかぜ
 山部赤人 この夕べ降りくる雨は彦星のと渡る舟の櫂のしづくか
 式子内親王 ながむればころもで涼しひさかたの天の河原の秋の夕暮れ
 待賢門院掘河 たなばたの逢瀬絶えせぬ天の河いかなる秋か渡り初めくむ
 寂蓮法師 さびしさはその色としもなかりけりまき立つ山の秋の夕暮れ
 藤原定家朝臣 見渡せば花も紅葉もなかりけり浦のとまや秋の夕暮れ
 和泉式部 秋来れば常磐の山の松風もうつるばかりに身にぞしみける
 和泉式部 たのめたる人はなけれど秋の夜は月見て寝べき心地こそせね
 左京太夫顕輔 秋風にたなびく雲の絶え間より漏れ出づる月の影のさやけさ
      ◇
 和泉式部の「たのめける・・・」、特別いいとは思わないが、彼女らしい歌だと思った。
 間違っているかも知れないが、以下のように解した。
  秋の夜
  訪ねてくれと頼みにしていた人はやって来ない
  今夜はさみしくひとり寝かしら
  頼りになるのは空のお月さん
  わたしを訪ねてくれるのはお月さん
  お月さんを見て
  お月さんと一緒に寝よう