ポール・デスモントとジム・ホールらが演奏したジャズ、静かで、整然として、熱くならない、大人しいジャズ、これが《大人のジャズ》と呼ばれる。
ポール・デスモントの「イージー・リビング」(1963~65 RCA)は、そのように評されているアルバムだ。
演奏メンバーは、以下の6人で、特に、うえから3人がメイン。
ポール・デスモント(ts)
ジム・ホール(g)
コニー・ケイ(ds)
ユージン・ライト(b)
ジーン・キャリコー(b)
パーシー・ヒース(b)
汗の臭いがしないジャズとも言えるか。
やむにやまれぬ思いを伝えようとするのでない。
ドロドロしたものは封印されている。
口角泡を飛ばす議論ではなく、ウィットにとんだ会話を楽しむというスタイルだ。
大騒ぎしてもことは進展しないことがある、そういうことをわきまえたスタイル。
CDには、10曲収録されていて、うち2曲がボーナス・トラック。
5曲目に、アルバム名となっている「イージー・リビング」。
シンプル・ライフという言葉が思い浮かぶ。
こういう滑らかで静かなジャズ、いつもやるのは、結構しんどいのでなかろうか。
このアルバム、CAMDENの「フィーリング・ブルー」との関係はどうなるのだろう。収録曲が似ており、日本版では、「イージー・リビング」と言われたりしている。
ライナー・ノーツをよく読めば、何か書いてあるのだろうが。
ポール・デスモントとジム・ホールは、仲がいいそうで、二人が組んだアルバムが何枚も出ている。
ホレス・シルバーの「ホレス・スコープ」や「フィンガー・ポッピン」、特に「ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ」で、快適なトランペットを鳴らしていたブルー・ミッチェルのリーダー・アルバム「ブルース・ムーズ」(1960 Riverside)、ハード・バップの名盤。
〈パーソネル〉
ブルー・ミッチェル(tp)
ウィントン・ケリー(p)
サム・ジョーンズ(b)
ロイ・ブルックス(ds)
収録曲は、以下の8曲。
1.アイル・クローズ・マイ・アイズ
2.エイヴァース
3.スクラップル・フロム・ジ・アップル
4.カインダ・ヴェイグ
5.サー・ジョン
6.ホエン・アイ・フォール・イン・ラブ
7.スウィート・パンプキン
8.アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー
これぞモダン・ジャズと言う気分で、素直に愉しめる演奏である。
スピード、軽快さ、屈託のなさ、それに時に、しっとりと、・・・・名盤と呼ばれることに納得。
なんだかカッコイイんだよ。
こんなジャズをやれること。
リズム・セクションもいいからだな。
「わたしが恋に落ちたとき」、とてもいいよ。
この曲、マイルス・ディビスもやってるな。聞いてないな。