稀人の死

2011-09-05 | 【断想】ETC
 一年前の昨日の朝、藤井ちゆきさんから、猪坂豊一さんが亡くなったとの報せを受けた。
 その日を忘れたくなかった。
 携帯電話の受信記録を残している。
 その日、病院の霊安室で彼の顔を見た。
 先日、彼の追悼の集まりがあった。
 大勢の人が集まり、彼を偲んだ。
 とりわけ私は、長年の付き合いだった。
 そのわりに、彼の個人的なことは知らなかった。
 それは、彼が語らなかったということもある。
 憶測するところもあるが、その限りである。
 いや、何を知ろうというのか。
 彼が、己の利を考えず、あれだけの人脈をつくったこと。
 彼が大切にしたものが伺える。
 何かへの挑戦といえば、挑戦である。
 彼の胸のなかにあったものが何か、気にかかる。
 追悼集が出された。
 みんなが語るが、彼は沈黙。