春日一幸といっても、その声咳に触れたことのある人が周りから減ってきた。さみしい限りだ。ウイットに富み、独特の言い回しで、有無を言わせぬ言説を吐かれた。皆、それを聞くのを楽しみにしていた。
あのような言説をなせる奥には、何かがあると思っていた。氏が、若き日に作った詩を以下に書き写す。「虚」という短詩である。奥にあったものが察せられるであろう。
羨しいぞへ
雪達磨
日向ぼっこをしながらに
溶けて消え逝く
身の上が
春日一幸の秘書を長くつとめた長尾務生さんに、時折会う。昔話をする。長尾さんから、梅澤昇平さんに渡して欲しいと春日氏の著作を三冊あずかった。「天心無頼」と銘打たれた一冊に、その詩が収められている。その一冊は、私も持っているのだが、本棚の奥である。たまたま、その一冊を目の前にして、開いて久しぶりに読んでみた。
「泥水をくぐりて浄き蓮の華」なのだ。
あのような言説をなせる奥には、何かがあると思っていた。氏が、若き日に作った詩を以下に書き写す。「虚」という短詩である。奥にあったものが察せられるであろう。
羨しいぞへ
雪達磨
日向ぼっこをしながらに
溶けて消え逝く
身の上が
春日一幸の秘書を長くつとめた長尾務生さんに、時折会う。昔話をする。長尾さんから、梅澤昇平さんに渡して欲しいと春日氏の著作を三冊あずかった。「天心無頼」と銘打たれた一冊に、その詩が収められている。その一冊は、私も持っているのだが、本棚の奥である。たまたま、その一冊を目の前にして、開いて久しぶりに読んでみた。
「泥水をくぐりて浄き蓮の華」なのだ。