梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

数々の示唆と助言(その2)

2014年12月13日 07時50分05秒 | Weblog
「梶哲さんは、過去から端板を在庫していてノウハウもあり、中小溶断業者にきめ細かく販売していることは評価出来ます」、「しかし、仕入れ価格とか内部コストは下げる余地があり、それが課題です」。U氏からの指摘はそのようなものでした。

経営者とは傲慢なもので、自分は理解していても他者から進言されると、カチッと来るものです。ましてわが社は利益を出しているとの自負があります。折角提言されたU氏には今から思うと失礼な話ですが、その言葉は素直に受け取ることが出来ませんでした。

しかしそれから二年後のわが社の決算は赤字に転落します。市況の乱高下による影響もありましたが、常に仕入れと経費を下げる努力を怠ったことは否めませでした。予言されたことがその通りになると、U氏に対して理屈はもう通用しませんし、逃げ場がありません。素直になることを思い知らされした。

当時わが社は葛西に本社倉庫があって、国内メーカー以外にも、外国材も直に輸入して在庫販売をしていました。国内メーカーはわが社の倉庫持ち込渡しです。一方外材は東京付近の埠頭に船で入り、乙仲によって水切りされ保管されそして内陸輸送する訳です。それらの費用はわが社が負担し、数量が多くなればそのコストはバカになりません。

それを踏まえた上でのU氏の提案はこうです。「梶哲さんは、外材が入る岸壁で倉庫を借りて、そこで店を開いたらどうか。わが商社も店売り用の在庫を保有しているので、梶哲さんが借りた倉庫に全部移す。当然保管料や荷役料は払う。コストは軽減出来る」

つまり、仕入れに掛かる不要なコストは極力低減して、他社の在庫も預かり、副収入を稼ぐ。そして預かった商社の在庫は、あたかもわが社の在庫として活用出来るし、自己負担の在庫も削減出来る。言い換えれば、鋼材の販売業であり倉庫業です。

このような発想は私には絶対浮かびません。奇想天外とも言えるアイデアでした。今までのやり方を全部ご破算にして、本質を捉えて、自由な考えを貫いた提案でした。しかし、どこから岸壁の倉庫を借りて、そして自社で使っている倉庫をその後どうするか、また新規倉庫賃料と自社倉庫収入の見合いはどうなるのか、課題は残っていました。 ~次回に続く~
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