今年も別れの季節がやってきた。先週いっぱいで川島信二、秋山真一郎両騎手が鞭を置いた。川島信二はJRA通算341勝、秋山真一郎は2/25の小倉3Rの勝利でJRA通算1059勝を挙げ、有終の美を飾った。そして今週は7名の調教師が引退する。昨年は最終週に五十嵐忠男調教師が2勝、一昨年は最終週の土曜日に高橋祥泰調教師と浅見秀一調教師が勝利し、最終日に藤沢和雄調教師が2勝を挙げた。果たして…。
今年引退するのは、飯田雄三調教師、加用正調教師、小桧山悟調教師、高橋裕調教師、中野栄治調教師、松永昌博調教師、安田隆行調教師。この中で、もっとも実績を残したのは安田隆行調教師。JRA通算成績8315戦965勝(JRA重賞勝利59勝)で、現役時代はトウカイテイオーとのコンビで【日本ダービー】を制覇、調教師としては世界的スプリンター・ロードカナロアを筆頭に、主に短距離路線で多数の一流馬を送り出した。ロードカナロアは凄かったけど、僕は2010年【ジャパンカップダート】などG1・4勝挙げたトランセンドと藤田伸二のコンビが思い出深いなぁ。強いダート馬だったなぁ。
競馬ブームの象徴だった中野栄治調教師。騎手として史上最高となる19万6517人が詰めかけた1990年の【日本ダービー】をアイネスフウジンで制し、この時の「ナカノコール」は競馬史に残る名シーンのひとつだ。調教師としては JRA通算成績6581戦290勝(JRA重賞勝利8勝)。主な管理馬トロットスター(2001年【スプリンターズS】などGⅠ・2勝)やブローザホーン(2024年【日経新春杯】)などがいるが、やっぱり僕の記憶に残るのはトロットスター。ブラックホークが好きでその好敵手として一喜一憂していたなぁ。
調教師としてG1を獲れなかった小桧山悟調教師。JRA通算成績7320戦218勝(JRA重賞勝利5勝)で惜しかったのは2008年【日本ダービー】2着だったスマイルジャック(12番人気)。勝ったのがディープスカイだったので歴代のダービー馬の中ではノーチャンスではなかったなぁ。僕がそのスマイルジャックより思い出に残っているのは2021年【七夕賞】を勝ったトーラスジェミニ。キングスベスト産駒でとてもタフだったイメージだ。
記憶に残る名馬・ナイスネイチャの主戦騎手だった松永昌博調教師。JRA通算成績4499戦370勝(JRA重賞勝利11勝)。ナイスネイチャは【有馬記念】3年連続3着など、“善戦マン”の愛称でファンから愛された存在だったが、調教師としての代表管理馬がウインバリアシオン。この馬もまた、同世代に三冠馬オルフェーヴルがいたため、G1レースで2着が4回あるもののタイトルには手が届かなかった。映画で言うなら助演男優賞か。他ではエイシンアポロン、エイシンボストンなどの「エイシン」の勝負服も印象深いなぁ。
「ウイン」や「マイネル」のメインステーブルとして有名な飯田雄三調教師はJRA通算成績4804戦320勝(JRA重賞勝利3勝)。主な管理馬ビーアストニッシド(2022年【スプリングS】やマイネルクロップ(2015年【マーチS】)がいるが、僕が記憶に残っているのはミスティックエイジ。デビュー当時はクラシックに行けるのでは…と思った馬だった。ダイワメジャーやハーツクライなど同期に強い馬が多すぎた。
加用正調教師はJRA通算成績7532戦638勝(JRA重賞勝利14勝)。主な管理馬にランニングゲイル(1997年【弥生賞】)やドリームバレンチノ(2012年【函館スプリントS】など)がいるが、やっぱりランニングゲイルは印象深い。【ダービー】ではサニーブライアンより強いと思っていたが…(僕の本命はシルクジャスティス)。父ランニングフリーというのも歴史を感じるなぁ。
高橋裕調教師はJRA通算成績7054戦478勝(JRA重賞勝利6勝)。主な管理馬スキップジャック(2004年【京王杯2歳S】)、セイクリッドバレー(2011年【新潟大賞典】)がいるが、僕の印象深い馬は1993年【共同通信杯】でビワハヤヒデを完封したマイネルリマーク。結局その後は勝てなかったが、大塚栄三郎とのコンビは魅力的だったなぁ。
兎にも角にも、皆さまお疲れさまでした。
明日の予想。中山メイン【オーシャンS】は11番キミワクイーン。相手は1,2,4,9,10,14,15番。阪神メイン【チューリップ賞】は8番セキトバイースト。相手は5,6,9,10,13,14番。小倉メイン【早鞆特別】は10番タマモヴェナトル。相手は6,8,12,13,14,15,16番。
今週の一口馬は3頭。まずはアースライザーが明日の中山10R【上総S】(1800mダート・混ハンデ)に木幡巧騎乗で出走する。管理する鈴木慎調教師は「今週の出走に向けてこの中間もしっかりと乗り込むことができました。追い切りの反応が競馬に直結しやすい馬ですが、今週はしっかりと動くことができていて、いい状態でレースに向かえそうです。体重は今週計測で498㌔と大きく増えていますが、前走で大きく減っていたため太め感は全くなく、問題ないと思っています。その前走もスタートで躓いてしまったことにより全く競馬にならなかったですし、今回改めての気持ちで臨むつもり。1戦大敗したことでハンデが54㌔と恵まれまたのもプラスになりそうですし、この年齢になっても更に力を付けているので、まずはクラスに目処を立ててきてもらいたいところです」とのこと。いい意味で期待を裏切ってくれた“奇跡”の馬。どんな走りを魅せてくれるのか楽しみだ。次はベルシャンソンが明日の中山12R【4歳上2勝クラス】(1800mダート)に坂井瑠星騎乗で出走する。西田調教師は「疲れを残さないために今週もダートコースで追い切っています。単走で走らせていますが、動き、タイム共に上々でしたし、いい状態に持ってこられたと思います。先週の時点で状態がグンと上がってきましたが、今週も更に良くなった感じ。やっぱりベルシャンソンにはこの調整方法が良さそうですね。勝った頃の出来にありますし、楽しみを持って送り出せそうです。平場であっても何頭か強そうな馬がいますが、この馬もまだ底を見せていませんし、ここでどれだけやれるか楽しみにしているところ。坂井騎手がどんなふうに乗ってくるかも注目していますし、まずはクラスに目処を立ててきてもらえればと思っています」とのこと。牝馬ながら6戦2勝は優秀な成績。2勝クラスはさすがに相手が強いが、どんなレースになるか楽しみだ。最後はウインクリード。明後日3/3中山3R【3歳未勝利】
(1800mダート)に松岡正海騎乗で出走する。水野調教師は「先週びっしりと追いましたし、週末も併せ馬をやったことで状態が上がってきました。今週の追い切りは楽に速いタイムが出ていましたし、先週の重い感じが解消されていました。これなら今週行けると思います」続けて、「初戦は除外があって暑い中、急遽札幌への輸送もありましたからね。状態が本物ではありませんでしたし、初戦の内容は度外視でいいと思います。休みを挟んで大きく成長したという感じはありませんが、元々稽古は動く馬ですし、能力はあります。稽古ではしっかりと自分からハミも取っていい動きを見せますからね。初戦のようにハミを取らず、ということはないはずです。今の未勝利ならいきなりいいレースを期待しています」とのこと。元々デビュー時も調教駆けするので、期待していた馬。仕切り直しの一戦。頑張ってほしい。