風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「本日は晴天なり」

2022-11-09 | 映画・芝居・TV

会社を辞め、長距離通勤がなくなってから
毎日NHKの朝ドラを観ることが習慣になった。
我が家ではBSPで7時台に観る。
7:15からは古い朝ドラ、7:30からは新作。
もちろん新作も面白いのだが、
かつて観るチャンスがなかった古い作品もまたいい。
「タイトルを聞いたことはあるなー」ぐらいの作品を
今改めて観ることができる。
実は「おしん」もこの時間帯で初めて全編観ることができた。

今放送されているのは「本日は晴天なり」。
1981年9月から1982年3月までの放送とのこと。
あぁ、自分の人生で最も暗黒の半年間だ😅
まだ学生時代で、古く狭いアパートで
テレビは点けていても内容が全く頭に入ってこなかったころ。
仮にこのドラマを観られたとしても覚えているわけがない。

で、このドラマがとても興味深い。
40年も前の作品だから、もう亡くなった役者も多いし
東京下町が舞台でチャキチャキの江戸っ子言葉も嬉しくなる。
そして一番印象に残るのは戦争の描き方だ。
1981年といえば終戦からまだ36年。
脚本家やプロデューサー、ディレクターなどのスタッフ、
ベテラン役者さんたちはリアルに戦争を経験している。
もしかしたら従軍経験者もいたのではないか?
だから戦争の描き方が、
現代のドラマのようなステロタイプなものではなく、
実にリアルで、知らなかった事実を知ることができる。
しかも戦中から戦後にかけての市井の人々の生活視線で描かれ
単に「抑圧された生活」「物資不足の困窮」だけではなく、
戦時下にあっても笑顔があり、でも理不尽な死があり、
玉音放送の時の戸惑いがあり、進駐軍への恐れや不安、交流があり、
昔ながらの職人の、変化に対応できない生活力のなさがあり、
それでもしたたかに、柔軟に生き抜こうとする人間の姿があった。
今は終戦直後の昭和20年秋の場面だが
「6人にひとりが失業」という言葉、
エリート将校だった人も力仕事で食べていかざるを得ない状況、
復員を心待ちにしている家族たちの思いなど
これまであまり知らなかった事柄に驚きを禁じ得ない。

リアルなのはもうひとつ。
終戦までは放送局のアナウンサー(女子放送員)だった主人公。
もちろんこの放送局は現代のNHKであり
局の歴史や残っている資料などによる裏話が描かれた。
エビデンスのある、その後継者たちによる場面。
そりゃリアルにもなる。

まもなく開始から半分となる。
後半は主人公の結婚生活と新たな仕事人生が中心となりそう。
それも物書きの仕事らしいから、
私の仕事柄、それはそれでこれからも結構楽しみだったりしている。
コメント
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