風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

冷たい夜

2022-11-07 | 読書
冬の夜に
私の心が悲しんでいる
悲しんでいる、わけもなく……
心は錆びて、紫色をしている。

丈夫な扉の向うに、
古い日は放心している。
丘の上では
棉の実が罅裂ける。

此処では薪が燻っている、
その煙は、自分自らを
知ってでもいるようにのぼる。

誘われるでもなく
覓めるでもなく、
私の心が燻る……
   (中原中也「在りし日の歌」より)


北国では11月が冬の入り口。
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