冷たい夜
2022-11-07 | 読書
冬の夜に
私の心が悲しんでいる
悲しんでいる、わけもなく……
心は錆びて、紫色をしている。
私の心が悲しんでいる
悲しんでいる、わけもなく……
心は錆びて、紫色をしている。
丈夫な扉の向うに、
古い日は放心している。
丘の上では
棉の実が罅裂ける。
古い日は放心している。
丘の上では
棉の実が罅裂ける。
此処では薪が燻っている、
その煙は、自分自らを
知ってでもいるようにのぼる。
その煙は、自分自らを
知ってでもいるようにのぼる。
誘われるでもなく
覓めるでもなく、
私の心が燻る……
(中原中也「在りし日の歌」より)
覓めるでもなく、
私の心が燻る……
(中原中也「在りし日の歌」より)
北国では11月が冬の入り口。