風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

パイロット・フィッシュ

2005-09-20 | 風屋日記
ちよっと疲れている。
先週は17日(土)までドタバタ仕事が続き、
一昨日、昨日と頭痛で、バンド練習以外はほとんど横になっていた。
今日も背中から肩、首筋の凝りがひどく、
それが原因と思われる頭痛も熾火のようにチロチロ残っている。
でも今週の仕事は3日だけ。踏ん張るか。

昨日ソファにひっくり返りながら、よしゃいいのに久しぶりの小説を1冊読んだ。
大崎善生の「パイロット・フィッシュ」(角川文庫)
ノンフィクションでの受賞歴のある作者による初めての小説。
吉川英治文学賞をとったものらしい。

大崎善生の本は、7月に「アジアンタム・ブルー」を読んでいるので2冊目だが、
相変わらずオヤジファンタジー(笑)的な甘さがある。
テーマに関係あるのかないのかわからないエピソードも多く、
ストーリーも突っ込みどころ満載で、
だからこそ40を越えた主人公ながら「青春小説」といわれる所以だろう。
でもね、私のように青臭いオヤジが、特にこんな風に弱っている時は、
久しぶりの雨に打たれた乾燥地帯の植物のように
そのエッセンスをどんどん吸い込み、エモーションが溢れてくる。

両作品とも主人公はアダルト雑誌の編集者。
大崎さん自身がそういう仕事をやってたのかな?
でも、風俗の女性達に向けられる目が暖かいから、
単なるエロ編集者じゃなかったんだろうと思うけど。
印刷所での出張校正の描写がやけにリアルなんだよなー(笑)

これは・・・そう、15年程前に手当り次第読んだ安西水丸さんの作品に似てるかな。
学生時代の思いを忘れず、波に揺られるように日々を暮らす主人公達。
その眼差しは概して優しく、決してがむしゃらに生きてはいない。
「それでいいんじゃない?」と教えてくれているような作品だ。

安西水丸に似た読後感と書いたけど、
村上春樹の「国境の南、太陽の西」にも、私的には近い感覚あるかな。
うむ、大崎善生、もう1冊くらい読んでみてもいいかも。



※「アジアンタム・ブルー」について書いた7月20日の記事にセルフTB。
コメント (4)
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