吉澤兄一のブログ

お江戸のど真ん中、平河町から、市井のトピックスを日記風につづりたいと思います。

思考(脳を働かせること)しない世界ーIT革命のゆく先?

2006年09月16日 | Weblog
 IT革命というと、創造的思考(Intelligence)がますます大切になり、”生きること”や”成功すること”の条件のように思われるが、実は全く逆で「考えないで済む社会」に向かっているのではないかと思う。「おたく族」「ゲーム族」「ケイタイ族」や「デジタル族」あるいは「コンテンツ族」を生み出したのは、IT革命というデジタル化やコンピューター化およびネットワーク化だ。クドクド長いアナログ的説明など面倒、「Yes,No」や「1,0」という反応形の方がわかりやすいと、コンテンツ傾向をすすめたのもIT革命だ。
 「バカの壁」(養老孟司、新潮新書)がその続本も含め超大ベストセラーになったこととオーバラップして、脳や脳科学についての本やテレビ番組および脳力を向上させるとするゲームなどがモテモテだ。一方で「考えない(脳を使わない)人」を育て、一方で「考えましょう(脳を使おう)」とやっているのだ。小泉劇場に始まる政治的ワンフレーズ説(声)明、テレビ・コマーシャルの”刷り込み”テクニックや「みのもんた」番組の与える消費者行動などをみれば、明らかに”考えない”国民や大衆づくりに指向していることがわかろう。
 少々難しくなるが、考えない人々や無意識の世界を対象にマーケティングする技法としての「心脳マーケティング」(米国、ジェラルド ザルツマン2003年、日本語訳、ダイヤモンド社2005年)が浸透しているのだ。
 消費者の買い物行動を”あまり考えず商品をカゴにいれて買って”結果、決して自分が思っていなかったモノや間違ったモノを買ったりしていない無意識の合理性と、意識してタテ、ヨコ、ナナメにチェックして買う商品とに、商品やその他の市場に分け、かつ過去(経験)の修正や将来(期待)の操作に、心と脳に働きかけることで関わろうとするのが心脳マーケティングだ。
 一般の消費生活者からみれば、”心脳されては、たまらない””洗脳されては、たまらない””だまされたり、操作されては、たまらない”ように、生活の知恵や自分の思考力の強化に努めなければならないのが情報化社会やコンテンツ社会なのだ。パソコンやケイタイ(メール)の語句自動変換およびエクセルなどの自動計算は、まだ序の口だ。口に入れる食べ物の選定だけでなく、これを”口に入れること”まで、ロボットがしてくれることなど想像したくないだろう。
 早い話が、「でっち上げたり」「嵌められたり」「刷り込まれたり」する世の中は決して望ましいことはありませんが、人の心や脳は結構このようなテクニックにはまってしまうということを認識して、自分が”考える、思考する”という姿勢を強めていくことが大事だということです。
コメント (2)
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