この1月に28年も務めた会社を辞めた元朝日新聞の社会部デイスクを担当した稲垣えみ子(51歳)さんが、本当の幸せ(Are you happy?)とはを求め、その生活ぶりを除くと電気代、月200円の節電女子だったのです。
「得ること、拡大することばかりを考えて生きて来ました。でも平均寿命の半分を過ぎた頃から、来るべき死に向かい、閉じていくこと、手放すことを身に付けねばと思うようになりました。」と彼女は自分のコラムにそう書いている。
退職を機に体調不良を整えようとインドの療養施設に滞在した際、肩こり、不眠、ストレスによる湿疹など延々と続く私の訴えを聞きとった医師が最後に尋ねた言葉。「それで、あなたは幸せなの?」と的を得た質問に虚を突かれ、彼女は思わずたじろぐ。
「私たちは何かを手に入れて幸せになろうとしている。モノ、お金、そして健康。でも手に入らなければ不幸なのか?例えば病人は不幸なのか?だとすれば私たちは皆、不幸にまみれて一生を終るのだ。」
「だって病と死からは誰も逃げられないもの。でも本当は病人だって、モノやお金が無くたって幸せになれるはず。肝心なのは何かを手に入れることじゃない。ハッピーになること。」
「ある」幸せがあるなら、「ない」幸せがあったっていいんじゃないでしょうか。そう考えると意外なほどに心は浮き立つ。人生は自由だ。そして、どこまでも開かれている。アー、ユー、ハッピー?
何が「幸せ」で、何が「不幸せ」なのか、人それぞれの価値観や考え方があるように、自分の選んだルートを迷いながらも突き進めばいいんだと私は思う。