ラグビーワールドカップ・イングランド大会で大躍進をした日本代表チームを
陰で支えたITベンチャー、ユーフォリアに、今日はスポットを当ててみたいと
思います。
日本代表チームのヘッドコーチ、エディ・ジョーンズ氏は、フィジカルとメンタルを
鍛えるために今までにない厳しいトレーニングを代表選手たちに課したのです。
その選手の体の状態(コンディション)を主観と客観の双方の視点に立って、
多種多様なデータを蓄積し、強化策の一環として選手に関する緻密なデータ
管理を採り入れようとエディヘッドコーチの依頼を受けてユーフォリアが開発
したものが、ジャパン・ウエイという、ラグビー強化のための専用システムです。
選手たちが簡単にスマホやタブレットで入力できるように、ONE TAP RUGBY
と名付け、代表選手に朝起きた後に1日1回程度でコンディションに関して主観
データを入力することを義務付け、疲労度・睡眠の質・ストレスレベル・筋肉痛
など、自分の状態を感じて直感的に各項目について入力してもらう。
入力も手間が省けるようにスライド式のバーを動かすだけの1回30秒程度で
終わるインターフェースを採用した。また、客観データ(体重・体温・脈拍・血液中
の酸素飽和度)も適宜に入力できるようにしてある。
これによって、コーチやトレーナーは、刻々と変わる選手の状態をクラウド上の
データを分析した様々なレポートが閲覧でき、選手個人やチーム全体のコンディ
ションの傾向や変化が見える形で確かめられるのです。
世界で戦うためには、客観データよりも、メンタルにも通じる主観データの質を
高めることが強化や試合に大切になるからです。
例えば、ある選手がきついトレーニングの後、何か痛みを抱えていて、それが
限界を超えた痛みかどうかを適切に判断しないと、ケガを誘発したり、自覚症状
はないが、無理をして気付かずに試合に出場させたが勝てる試合をふいにして
しまうこともあり、ONE TAP RUGBYは、腰部・臀部・肩・頚部など筋肉痛の症状
を記録でき、設定した基準値を超えると警告メールをコーチに送る機能も備えて
いる。
この緻密なデータ管理は、ラグビーだけでなく、他のスポーツ競技の関係者にも
データを軸にする「ストレングス(筋機能の能力)&コンディショニング」の高い
効果が注目されています。(※後日、またご紹介したいと思います。)
このシステムは、障害者スポーツにも高齢者のリハビリにも幅広く応用できる
ヒントをくれているような気がします。
短期間でパラリンピアンを強化するには、是非、このシステムが必要不可欠です。
(日経新聞、エディーが頼ったベンチャーラグビー日本、躍進の裏側
ITが変える「スポーツの常識」より、2015/11/27)