goo blog サービス終了のお知らせ 

馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

訃報 そして慟哭

2022-03-05 | ワンコ修行

オラ君こと我が家の愛犬、私の相棒Duke でゅーく が旅立ちました。

このブログで皆さんに可愛がっていただき、ありがとうございました。

           ー

獣医師で、飼主、という立場でどうしたか、というのを書き留めておこうと思います。

1/11 突然、元気食欲がなくなり、心拍数が増え、口粘膜が白く、ただごとでないと小動物病院を受診しました。

腹腔内で出血している、脾臓に腫瘍がある、ということで、緊急で脾臓摘出手術を受けました。

1/14 退院し、1/18 病理検査の結果を聞きました。血管肉腫という悪性の腫瘍でした。

抗腫瘍剤により治療する方法もありますが、うまく行っても数ヶ月の延命治療にすぎず、抗腫瘍剤の副作用は個体差が大きいとは言え、多かれ少なかれ体調を落とすでしょうから、苦しい期間を延ばすだけ、と考え抗腫瘍剤治療はしないことにしました。

手術後の痛みが消えていくのか、元気を取り戻し、ほとんど元の生活に戻ることができました。

1/25 にまた貧血し、食べられなくなりました。危ないかな、と思いましたがまた復活しました。

もう、私と行動をともにして車で行き来するのはやめにして、自宅で過ごさせることにしました。

それからは、調子の良い日もあるし、体調が悪化して嘔吐や下痢したり、また食べられるようになったり・・・

2/11は体調が良く、娘を苫小牧に送っていくのに一緒にドライブ。それが最期のドライブになりました。

2/27は私の居なかったのですが、近くの丘の上まで散歩に行けたそうです。

自分で歩きたがった、とのこと。

腹が張ってきているのに気づいていたので、3/2に小動物病院を受診し、緩和ケアとして腹水を抜けないか相談しました。

腹水を抜くと出血量が増えること、しかし胸水を抜けば呼吸が楽になるかもしれないので、腹腔と胸腔を穿刺してもらいましたが、どちらもほとんど血液。

これでは抜くのは危険、ということになりました。

止血剤も、輸液も、死期を延ばし、苦しい期間が長くなるだけ、と考え断りました。

3/2は少し食べたり飲んだりもできましたが、3/3はほとんど飲めず、食べられず。わずかに食べたものも吐いてしまいました。

雪の上が良いらしく、夜になっても林の中でうずくまり、それでも夜中はよろよろ帰ってきて寝所に居て。

3/4朝、私が外に出たら、よろよろ車まで歩きました。ドアを開けてやってももう自分では上れず。

前足と腰を持ち上げてやったら車の中で寝ました。

こんななのに車に乗りたくて、私に置いていかれるのが心配で、と思うとけなげで。

私も車の中でずっと一緒にいてやりました。

午前中は苦しい呼吸で、午後はさらに唸るような息遣いになり、

午後2時半、ちょうどじいちゃんとばあちゃんがショートステイから帰ってきたタイミングで横に倒れ、呼吸が止まりました。

聴診するとまだ心拍はありましたが、やがて痙攣するような心音になり、それも止まりました。

          ー

何かしてないと声を上げて泣きそうになるので、遺体をいつも居た場所へ運んでやり、

花を買いに行き・・・

死に際には間に合わなかったけどにいちゃんも帰ってきて、

丸くなった姿は生きているようで、でも撫でるたびに冷たくなっていきました。

           ーー-

Duke おまえはいいイヌだったよ

いつも、なんでも喜んでくれた

明るくて

無邪気で

人が大好きで

みんなに愛された

ありがとう

うちに来てくれて

いつも一緒にいてくれてありがとう

おまえは最高の相棒だったよ

 

 

 

 

 


エンロフロキサシンによるショック 

2022-03-03 | 馬内科学

分娩による直腸穿孔で、腹腔内に直腸便による汚染もあり、開腹手術もした繁殖牝馬。

私は手術の翌日の夜が当番で、次の朝、持続点滴の管理と抗生剤の投与をした。

凶暴な馬で、採血をするのもたいへんとのことで、持続点滴の三方活栓を利用してエンロフロキサシンを投与した。

それだと痛くないので、馬は暴れないだろうから。

そのあと腹腔洗浄もした。

            ー

その朝は、もう一頭重症馬が入院していた。

子宮穿孔による腹膜炎で開腹手術した馬で、どういうわけかひどい筋変性を起こしてしまい、前日は起立不能だった。

その朝はなんとか起立できるようになり、その馬も腹腔洗浄しなければならなかった。

その馬を診ていると・・・・あっちの馬房が騒がしい。

観に行ったら直腸穿孔の馬が倒れて痙攣していた。

「これはダメかも・・・・」

            ー

しかし、その馬はしばらくすると立ち上がった。

特にそういった発作の履歴もない。

エンロフロキサシンによるショックと痙攣、くらいしか思い当たることはない。

ニューキノロン系抗生物質の投与で痙攣が起こることがあることは知られている。

NSAIDsにより増強されるとされている。

この馬は前日の夕方にフルニキシンを投与されていた。

エンロフロキサシンは、他の抗生剤で効果が得られないときに使うことが多いので、解熱鎮痛消炎剤と併用することはざらにあるだろう。

バイトリルの添付文書にも、「相互作用」として「まれに痙攣が発現する」と記載されている。

                                     ////////////////

日高獣医師会の講習会をオンラインで視聴した。

BTCは浦河の奥にある育成馬調教施設で、主に1歳後半から2歳になって競馬場へ行くまでの馬がトレーニングされている。

若い、あるいは幼いサラブレッドたちを競走馬としてデヴューさせる難しく、かつ重要な期間である。

ほかの多くの育成牧場でも行われていることなのだが、BTCは規模が大きく、専属の獣医さんがいる。

BTCで調教を受ける馬にどのように故障がおき、どのような診療を受けているかは、育成馬を診る獣医師にとても勉強になる。

              ー

今回のオンライン講習会では、

BTCでどのような診療が行われているか。

育成馬に見られる骨折。

中手骨掌側近位部の障害。

そして、跛行診断のための診断麻酔のHow to.

をBTCの先生がたから学ぶことができる。

いずれも学術的にも素晴らしい内容だった。

教育的にも良くできているので、ぜひ多くの獣医師に視聴していただきたい。

生産地の獣医師にも、

競馬場の獣医師にも、

乗馬の獣医師にも、

これから馬の獣医師を目指す獣医科学生にも、

彼らを教育する獣医学科の教員にも、

役に立つと思う。

           ー

https://39live.jp/e0217

にアクセスして、

所属、氏名を入力後

ID:eisei01

PW:0301

で視聴できる。

 

 

 


日高獣医師会オンライン講習会

2022-03-02 | 講習会

日高獣医師会のオンライン講習会が観れるようになった。

オンライン講習会の利点で、世界中(はちょっとoverかな)、日本中で観てもらうことができる。

https://39live.jp/e0217

にアクセスして、

所属、氏名を入力後

ID:eisei01

PW:0301

で視聴できる。

3月1日から7日まで。

早く観ないと1週間くらいすぐ経っちゃうよ!

私も今朝、駒沢会長の挨拶を聴いただけ;笑

          ー

おしらせでした。