馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

中手骨外顆骨折も螺旋骨折へと悪化することがある

2015-04-28 | 整形外科

まだ能検前の2歳馬が右前肢第三中手骨外顆を骨折した・・・・・

X線写真を見せられて、骨折線の走り方が嫌な感じはした。

話を聞くと、骨折してからすでに2週間経っているという;驚

外側関節面からの骨折では、悪くても外へ開いて変位するだけで致命的な骨折に悪化することはない。ほとんど・・・

キャストも巻かずに来院した。

跛行もひどくない。

注意しながら全身麻酔してx線撮影したら・・・

骨折線は近位へ伸び、危ない状態になっている。

骨幹部で斜骨折、螺旋骨折しかねない。

本当ならプレート固定すべき状態だが、馬はあまり痛がっていないし、プレートを入れることによるダメージと、治療費を考えて、骨端だけをスクリュー固定することにした。

骨折線は見えにくくなったが、完全には消失しなかった。

発症から2週間経っているので、骨折部で骨吸収が起きているのと、骨折線の中で再生組織ができはじめているからだろう。

もっと近位部までスクリュー固定が必要かもしれないが、角度を変えてX線撮影しても骨折面を3次元で確信できない。

骨折面に対してあまりに斜めにlag screwで圧迫するとかえって骨を割る力が働いてしまう。

それでこれ以上スクリューを入れるのはやめた。

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治療するかしないか、手術するかしないか、迅速に判断しないと危ないことになってしまう。

応急処置も重要だ。

骨折でも。

疝痛でも。

 

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ゆうべは結腸捻転、結腸変位で入院しているお母さん馬2頭の輸液管理。

今朝は血液検査、抗生物質投与、輸液継続の判断。

朝、2歳馬の喉頭形成・声帯切除・披裂喉頭蓋ヒダ切除手術。

不調の2歳馬の診察。

繁殖雌馬の歯科治療。

3歳競走馬の腕節DJDの関節鏡手術。

2歳馬の結腸便秘。

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今日も暖かかった。

サクラの樹がそろそろピンクになってきた。


4 コメント

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Unknown (piebald)
2015-04-28 21:38:45
痛がらないのは、どうしてでしょうか?

オラ君になら、このボールは、噛まれてもいたくないようですね。
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Unknown (はとぽっけ)
2015-04-28 22:06:23
 応急処置って、知っているとなんてことないけど、知らないと、やったことないと、できないものなのかもしれませんね。ヒトの鼻血でさえそんなこと思うときあります。かんでもかんでも止まらなかったとか。
 画像大きくして、ちょっと怖かったです。
 つい先日まで雪の白が残っていたのに、もう緑色がいっぱいですね。オラ君、いまさらですが、大きな手!明日ものよほーっ!
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>piebaldさん (hig)
2015-04-29 05:09:15
もう骨折線が伸びていこうとしていないからではないかと判断しました。だからといって安心はできませんが。

このボールが大好きです。同じような新しいボールを買ってやろうと思うのですが、なかなか見つけられずにいまs。
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>はとぽっけさん (hig)
2015-04-29 05:13:20
二次診療が確立されるにしたがって応急処置がより大切になります。正しくやってもらうことで助かる馬も増えるでしょうし、重症化させずに済みます。

相棒の手は面白いですね。しげしげとながめ、握って・・・触ろうとすると嫌がります;笑。
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