例によって、ペンシルヴァニア大学D.W.Richardson教授に内固定の画像をおくって評価してもらった。
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画像がとても解像度が悪いので多くを述べるのは難しい。
(縮小しないjpeg画像で送っているだが、あちらでは縮小された画像しか見られないらしい。どうしてだろう? 以降は画像をパワーポイントに貼り付けてファイルとして送ることにした。)
印象ではとても良く見える。手根中手関節に近すぎたのではないかと少し気になる。 (*足根中足関節の間違い) プレートはもう少し長いものを使って、わずかに遠位に置けるだろう。私ならスクリューを入れないのは外側のプレートの孔一つだけにする。
しかし、全体にかなり良く見える。私ならキャストはすぐはずし、バンデージをしっかり巻く。
皮膚は健常だったか?
不幸にして感染が起こらなければうまく行くだろう。とても良い仕事だ!
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Richardson教授は褒めてくれているが、私は手術の”でき”に満足できなかった。
それで、
1. minimally invasiveでなく、大きく皮膚切開して整復固定すべきか? あるいは仔馬ではできるだけminimally invasiveでやるべきか?
2. もっと骨折部に圧迫compressionをかけるべきだったか?
3. いつも専門医研修生と学生とを助手にして手術を行っていると思いますが、難しい手術では助手を選びますか?
と尋ねた。
以下、その回答。
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1. 私なら完全なminimally invasiveでやった。しかし、私ははるかに多くの経験があるからだ。比較的小さな切開をして1枚目のプレートを入れて、2枚目はminimally invasiveでやるという君の選択はとても良かったと思う。
2. 言ったようにとても画像が小さいので(携帯で送る画像より小さい)、君がやった基本手技がわからない。絶対的な答えは言えないが、私が思うに、もっとコンプレッションをかけてもより良くはならないだろう。コンプレッションが役立つのは、完璧な整復ができているときで、それは関節固定でより重要だ。
3. 私はいつもはレジデント(専門医研修生)とインターンとで手術するが、最近は代わりの者を教育している。彼女は認定を受けた馬外科医で、難しい症例では手洗いして参加する。2月からだ。私にとっては楽だ!できる二人目の外科医が居るのはまったく素敵なことだが、”必要”ではない。
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ボッキリ折れた馬の肢を治すというのは、とても複雑かつ膨大な作業量が必要だ。
(minimally invasiveでやるなら)プレートは皮下に滑り込ませて、次から次へ骨に孔を開け、スクリューをねじ込んで固定しなければならない。
しかも、正確に!
そのためには手術中に適切なx線撮影もしなければならない。
できる馬整形外科医がしっかりやることも大切だが、そのためのチームを創っておくことも重要だろう。
USAの大学病院もそれなりにたいへんなはずだ。レジデントやインターンは数年で入れ替わるからだ。
自分でできる馬整形外科医が二人でやるのが理想だろう。
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ということですが、日本には、何名くらいいらっしゃるのでしょうか?
ということは手術費用2倍でしょうか?
DrRichardsonの手技は極致かも知れませんが完全解であるわけではなく一つのポリシーだと思いますよ。
それを理解したうえで別のことを考えることはそれぞれでしょうし、結果がついてくればまたそれもありだろうと思います。
プロセスが違っても結果が同じならまたその理由も考えなければなりませんが笑
同じようなことをやっても結果が違うなら理解の程度が知れてしまいますから悩ましいでしょうね。
理解していれば途中から手洗い加勢するくらい自由に動いてもらったほうが術者としてはかが行くでしょうし、理解していなければ頭から手洗いで入っても手数を減らすだけという事になります。
進歩しているところはこの辺がうまくいっているところだと思います。
内固定の方法は、理想も一つではないと思っています。背反する要素も多いですから。
ただ、結果に結びつかないなら、検討しなければなりません。