馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

馬の疣 パピローマとサルコイド

2018-10-06 | 皮膚病

馬の代表的な皮膚の腫瘍。

馬パピローマ(乳頭腫)。

ひどくなって治らない、ということなので、切除した。

アリス鉗子で引きちぎるのが一番効率的。

全身麻酔下で。

組織は研究者に送って、馬パピローマウィルスがPCRで確認された。

馬はずっと見栄えがよくなったそうだ。

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馬サルコイド(類肉腫)。

上瞼には皮膚をかぶった病変があった。

上瞼は切開して肉芽様の組織を切除した。

その組織を細切して凍結して皮下に埋め込む免疫療法も試みている。

組織は研究者にも送って、牛パピローマウィルスがPCRで確認された。

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何例か診てると、外見でかなり判断できるはずだ。

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馬パピローマウィルスによるパピローマは、馬同士でもうつる。

しかし、たいていは数ヶ月の経過で自然に消えていく。

馬サルコイドは、別な馬にうつると言うほどの伝染力はない。

しかし、その個体の中では、別な箇所へ広がっていくことも多い。

自然に消えることはほとんどなく、外科的に切除しても再発することが多い。

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馬パピローマも馬サルコイドも人にはうつりません。

しかし、動物との過剰な接触はお気をつけ下さい。

牛の真菌性皮膚炎はしばしば人にうつります。

馬の真菌性皮膚炎はあまり人にはうつらないように思う。

イヌの疥癬(疥癬ダニによる皮膚炎)の中には人にうつるものがあるようです。

うちは大丈夫だったけど・・・・・

 

                   



4 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2018-10-06 07:24:31
 皮膚疾患に遭遇すると、うつるかどうかは一番気になることで、次はほかの疾患に合併するものかどうか、で、次に治るかどうかの順番、はとぽっけはね。
 今週末は馬、牛、ほかに会う予定なのでタイムリーなアドバイスとなりましたが、そういう個体はきっとスタッフさんが先に気づいてるはず。
 オラ君、なんかやばいかと疑うようことあったですか?!もうダニも少ないでしょ?
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>はとぽっけさん (hig)
2018-10-07 03:02:56
その気に仕方は正しいですよね。
子牛の真菌性皮膚炎はけっこう人にうつります。獣医科学生や若い獣医さんで悩まされる人は少なくないと思います。そのうちかかりにくくなるので、やはり免疫なんでしょうね。
相棒は、タヌキに疥癬をうつされたことがあります。セラメクチンで治療しました。人にはうつりませんでした。
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Unknown (zebra)
2018-10-14 08:42:08
馬パピローマ様になる牛パピローマもありますね。
ウイルス相違があると思いませんが、真面目に調べたほうが良いのかもしれませんね。
ちなみにサルコイドを毟ったらどうなりますか。

相棒さん内地旅行で遊びすぎて病気貰って帰ったんではないですかね。
犬疥癬は狸との交差が大問題でしょう。
猫にもうつりますが増殖はできない様ですね。
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>zebraさん (hig)
2018-10-14 18:56:28
sarcoidを削ったり、むしったりするしかできないこともありますが、当たり前のように再発します。

相棒がタヌキ疥癬をもらったのはもう何年か前です。セラメクチンなどで治療しました。イヌの疥癬も飼い主にうつることがあるようですから気をつけないといけませんよね。
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