R.equi高度免疫血漿の予防効果については懐疑的、あるいは否定的な研究結果も報告されている。
Evaluation of a commercially available hyperimmune plasma product for prevention of naturally acquired pneumonia caused by Rhodococcus equi in foals
J Am Vet Med Assoc 2002 Jan 1;220(1):59-63
Objective: To determine efficacy of a commercially available hyperimmune plasma product for prevention of naturally acquired pneumonia caused by Rhodococcus equi in foals.
Design: Randomized clinical trial.
Animals: 165 foals.
Procedure: Foals were randomly assigned to 1 of 2 groups (hyperimmune plasma or nontreated controls). Foals with failure of passive transfer (FPT) of immunity were treated with hyperimmune plasma and evaluated as a third group. Foals that received plasma were given 950 ml between 1 and 10 days of age and between 30 and 50 days of age. A tracheobronchial aspirate was obtained from foals with clinical signs of respiratory tract disease for bacteriologic culture.
Results: A significant difference in incidence of pneumonia caused by R equi in foals with adequate passive transfer was not detected between foals that received plasma (19.1%) and nontreated foals (30%). Of 13 foals without FPT that received plasma and developed pneumonia caused by R equi, 12 developed disease prior to administration of the second dose of hyperimmune plasma. Incidence of undifferentiated pneumonia of all causes was not different between groups.
Conclusion and clinical relevance: Intravenous administration of the commercially available hyperimmune plasma was safe, and the product contained high concentrations of anti-R equi antibodies. However, within this limited foal population, the difference in incidence of pneumonia caused by R equi observed between foals that received plasma and control foals was not significant.
目的: 子馬のRhodococcus equiによって引き起こされる自然獲得性肺炎の予防に対する市販の高免疫血漿製品の有効性を調べること。
設計: 無作為化臨床試験。
動物: 165頭の子馬。
方法: 仔馬は2つのグループのうちの1つ(高免疫血漿または未治療の対照)にランダムに割り付けられた。免疫の受動的伝達(FPT)に失敗した子馬は、高免疫血漿で治療され、第3のグループとして評価された。血漿を投与された子馬には、1〜10日齢と30〜50日齢の間に950mlが与えられた。気道疾患の臨床徴候を有する子馬からは、気管支吸引液を細菌培養のために採取した。
結果: 血漿を投与された子馬(19.1%)と未治療の子馬(30%)の間で、適切な受動的移行を伴う子馬におけるR equi肺炎の発生率の有意差は検出されなかった。血漿を投与され、R equi肺炎を発症したFPTのない13頭の子馬のうち、12頭は2回目の高免疫血漿投与前に疾患を発症した。あらゆる原因による未同定肺炎の発生率は、グループ間で差がなかった。
結論と臨床的関連性: 市販の高度免疫血漿の静脈内投与は安全であり、製品には高濃度の抗R.equi抗体が含まれていた。しかし、今回の限られた子馬集団内では、血漿を投与された子馬と対照の子馬の間で観察されたR equi肺炎の発生率に有意差はなかった。
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衝撃的否定的成績。
165頭の仔馬が試験期間である2000年にこの牧場で生まれた。
3頭はR.equiと無関係な問題で死亡したので除外した。
14頭はFPTがあり、別なグループとした。
148頭のFPTがない仔馬のうち、68頭は高度免疫血漿投与を受け、
80頭は非投与対照とした。
高度免疫血漿投与群68頭のR.equi肺炎は19.1%、その他の肺炎は33.8%
非投与群80頭のR.equi肺炎は30%、その他肺炎は40%
FPT群14頭のR.equi肺炎は35.7%、その他肺炎は50%
(ずいぶんその他の肺炎が多い。Florida州Ocalaのサラブレッド牧場で、劣悪な衛生状態とは思えないのだが・・・・・)
165頭のサラブレッドを生産する大牧場なのだが、R.equi肺炎の発症率、そしてR.equi肺炎が診断された中央値が36日齢であったことからも、相当な多発牧場であり、仔馬たちは早期に高濃度の曝露を受けているのだろう。
これほどの曝露を受けると、高度免疫血漿でR.equiに対する免疫を与えても予防効果は出ない、のかも知れない。
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考察の最後に書かれている。
” 多発牧場でR.equiの抑制のために用いるのであれば、
高度免疫血漿の投与は抑制のための他の手法、感染曝露を減らすこと、
そして感染仔馬の早期発見と治療などと組み合わせるべきだ ”
私も異論はない。
高度免疫血漿を投与すればR.equiの問題が解決する、とはいかないだろう。
そして、感染仔馬を早期に発見し治療することで、多発牧場から散発牧場へ、そして非発生牧場へ牧場環境を清浄化することが重要なのだと思う。
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この野外調査での投与量は950ml。
この量は十分ではなかったのか・・・・・?
500mlくらいで成果をあげるなら、作るのも、投与するのも楽なのだけど。
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それと使っているのは市販の高度免疫血漿だ。死菌ワクチンで免疫しているのだったか・・・・
生菌で免疫しているより免疫応答に乏しい部分があるかもしれない。
高度免疫血漿で仔馬に与えられるのはIgGだけではなく、免疫を活性化させる炎症性サイトカイン、フィブリノーゲン、補体、その他もろもろの、成馬がR.equiの攻撃を受けたら反応して体内に創り出す成分が大量に含まれている、はず。
そこに、死菌ワクチンと生菌による刺激では違いがあるかもしれない。
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大雪高原温泉を訪ねた。
周囲のトレッキングは、ヒグマ情報センターでクマに関するレクチャーを受けてからでないと行けないことになっている。
ここのヒグマとの付き合い方は特有だ。
「ヒグマは居ますよ。
きのうは6頭いました。
でも、人が注意していればクマは悪さはしません。
事故があったこともありません。」
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林道を10kmほど入って行かないと行けない山奥。
一般の観光客はまず来ない。
ゴミを捨てるヤツや、クマに餌を与えるバカもまず来ないから成り立つ管理方法かもしれない。
仲良くしたいとも、仲良くできるとも思わないけどね;笑