馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

橈骨皿状骨折からの腐骨化と骨柩症

2018-02-10 | 整形外科

腐骨・骨柩症は、腐骨化と骨柩ができているのがX線画像で確認されて手術依頼されることが多い。

ので、いつ皿状骨折したのかわからない場合が多い。

あるいは、はっきりした外傷や骨損傷の経過がある場合もあるが、最初の皿状骨折のようすを確認できることは少ない。

                         -

この1歳馬は、跛行して来院した。

X線撮影で橈骨に皿状骨折が見つかった。

まだ骨柩と呼べる状態ではない。

腐骨化しているか確信は持てない。

それで1ヶ月経過を観てもらった。

                         -

跛行は治まらず、橈骨の腫れ(骨増勢)はひどくなった。

最初の来院から3週間後に再来院してもらって、腐骨の摘出手術をすることになった。

手術台上で仰臥にし、橈側手根伸筋の内側からアプローチした。

腐骨は橈骨の背側正中にあるのだが、前腕近位部は内側が筋肉がなくてアプローチしやすい。

筋肉がないため、骨増勢も内側で目立つ。

増勢した軟らかい骨をひたすら削って、掘って・・・

ゼリー状物の中に腐骨を見つけて摘出した。

 

                         -

こちらが外側面だ。

こちらが内側面。

破骨細胞が活動できる間は、血行を失った腐骨は吸収されるのだろう。

最初のX線画像から推測できる皿状骨折の大きさより、ずっと小さい。

しかし、壊死組織に囲まれてしまうと、もう破骨細胞が腐骨に近寄れず、骨を吸収できなくなる。

あとは、骨は骨増勢し、骨柩を作ることで覆ってしまうが、刺激があるので骨柩の増勢は止まらない。

壊死組織が体内にある刺激が、痛みとして続く。

                          //////////////////

深い雪だ。

跳ねて進む。

疲れると身動きとれなくなる。

ウンチするにもお尻が冷たい。

 

                        

 

 



6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (piebald)
2018-02-10 20:50:05
オラ君がこの状態だと、うちのチワワは遭難します。私も、この冬、久々に雪の中を歩いて、記憶以上の体力消耗を感じました。老化もあるでしょうし、来年の雪のために、今から体力増加対策、考え中です(未実行)。
返信する
Unknown (はとぽっけ)
2018-02-10 21:15:14
ゴルは子牛の骨の髄のところが好きでした。海綿骨をガシガシやって髄に到達するわけで。
 骨折のとき、髄のところはどうなっちゃうんだろ、といつも思います。
 オラ君、わっせわっせ跳んだらこういう跡が残るんだね。ほかの生き物の足跡もあるように見えるのですが。
 うんこするとき、掘らないんですか?
返信する
>piebaldさん (hig)
2018-02-11 07:02:17
ノーリードにしてやれる所はこんな感じです。長靴でついていく私も息が切れて・・・笑。いつか相棒を連れて雪山登山と思っていましたが、あきらめた方が良さそうです。
返信する
>はとぽっけさん (hig)
2018-02-11 07:05:26
長骨はパイプです。と講習でいつも教えています。皮質骨でしっかり固定することが大切と。
皿状骨折の1ヶ月後には骨髄腔内へ皮質骨が厚くなっているのがわかります。

ウンチのときは掘りませんし、土や砂もかけませんね。もっとくるくる回れば踏み固められるのでしょうけど。
返信する
Unknown (はとぽっけ)
2018-02-12 20:56:34
腐骨・骨柩症を発症しやすい個体がいる、ということはありますか?栄養状態とか、内科的な合併症とか、遺伝的要因とか。
 皿状骨折の成因に炎症が関係するから腐骨・骨柩症になる、なりやすい、ということでしょか?いずれにしても、なったらこういう治療で予後は良好に経過するわけですね。
 今日はおんまさんに会えると思うと途中、山の吹雪もニンマリ。会えたのは1頭、ブリキのオブジェだけお散歩中のアルパカには会ったけど。
返信する
>はとぽっけさん (hig)
2018-02-13 05:36:30
疝痛や、OCDで、「これの親も・・・これの兄弟も・・・」と聞くことはあるのですが、腐骨の症例では聞いたことはありません。遺伝要因は大きくないだろうと思います。

皮膚穿孔を伴う外傷にあわせて皿状骨折をすると腐骨化しやすいというのはあると思います。
一方で皮膚に損傷がない例もかなりあります。今回の例も初期の皿状骨片よりかなり小さい腐骨でしたので、皿状骨折も腐骨化せず治ることもあるのではないかと思います。ごくまれに骨柩を掘ったけどはっきりした腐骨は無かった、という症例も経験しています。
返信する

コメントを投稿