朝、入院馬の治療。
網嚢孔ヘルニアで空腸切除・吻合され、腹腔内出血もあり、重症だった妊娠末期の繁殖雌馬。
なんとか回復して退院できることになった。
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雪が降って、除雪もしなければいけない。
その前に電話があった別な繁殖雌馬の疝痛の来院を待ちながらトラクターで除雪する。
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来院した繁殖雌馬は、まだ痛い。
しかし、血液所見は悪くない。
超音波でもはっきりした異常は確認できない。
入院厩舎で様子を観ることにした。
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予定の、1歳馬の飛節軟腫のX線撮影。
はっきりした異常は確認できない。
1ヶ月ほど経過を観ることにした。
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入院厩舎の繁殖雌馬がやはり痛い。横臥する。
開腹することにした。
空腸の一部が脾臓近くではまり込んでいるというか、捻れているというか・・・
抜けたりほどけたりしてしまうと、どうなっていたかはわからない。
なにせ予定18日前の妊娠子宮が大きくて、腹腔内探査も十分にはできない。
空腸を1.3m切除・吻合した。
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その手術が終わる前に、2歳馬の切歯骨骨折。全身麻酔で。
開腹手術が終わってから、起立不能で安楽殺された1歳馬の剖検。
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午後は、血液検査業務と、
3歳の喉頭蓋下シストとEEのlaser手術。立位で、内視鏡下で。
合間に、除雪。
暖かくて除雪してあるところは溶ける。
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3時から、1歳馬の骨盤骨折のX線撮影と超音波検査。立位で。
どこが、どう折れているか明瞭には把握できない。
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夜はあまり眠れない。
東京での講演を控えて緊張しているわけではない。
きのうの大手術の興奮と緊張と反省のせいだ。
短縮して直そうとするのが生体でしょうし、整復するならそれを抑制しなければならないでしょう。
つまり、応急処置の段階から投与を始めないとなかなか効果は期待できないと思います。
所謂麻酔前投薬より長いスパンでの投薬が麻酔の質や手術の結果にどのような影響を与えるかという統計はNSAIDでもあまりとられていないでしょうね。
不完全な鎮痛効果しか持たない麻酔?で不動化を試みて呼吸停止までオーバードーズする例はあるようですし、姑息なのでしょうけれども筋弛緩でそれを回避する必要はあると思います。
手術がダメモトだからそのリスクは織り込まれるんじゃないの?で実験を繰り返すなら手術自体の信用を棄損しますよね。
ブトルファノールの全身投与の有効性や、キシラジンを混ぜた硬麻がくも膜下に到達した場合のリスク等々いろいろ手術の手技以上に無頓着な麻酔が展開されていると思いますよ。
幸いなことにキシラジンだけで骨折内固定をやったことはありませんし、牛用トリプルドリップ、プロポTIVA、吸入麻酔で、筋弛緩の差を感じた(考えた?)ことはありません。
ヒトではメトカルバモールを使うことがあるようです。試してみても良いかもしれません。
結合織による瘢痕化が始まることを考えるとやはり直ちに介入するのが正解なのでしょうけれども、筋肉の機能低下を待つという発想もあったようです。
適切なトリプルドリップなら必要のないことかもしれませんが、キシラジンやプロポフォールを主剤にした牛の不動化処置や骨折整復なら併用する価値があると思うのですよね。
筋弛緩で馬のパドリングが減らせるなら骨折整復以外でも使用価値があるのかもしれませんが、こちらの期待よりプロポフォールの覚醒の質を落とす可能性のほうが少なくないかもしれませんね。
小動物でも筋肉の拘縮が整復の障害になるのでどのタイミングで侵襲するかというのは一つの勘所になっているようです。
パースピレーションの先生に取りましてはとうに過ぎたインスピレーションかも知れませんが。。
外科医も手術の興奮や緊張が残ります。本当は酒に酔うより温泉に入るとかスポーツするとかの方が健康的なのかもしれません。でも、違法薬物に手を出してしまったスポーツ選手やミュージシャンの事情もわずかに理解できる気がします。
それとも除雪は当番制とか?
すみません、余計なお世話ですね。
外科医でお酒の好きな方は多いそうですが、そういう理由なんですね。
雪の質、量、日中の気温、水たまりのでき方などを考えながら除雪します。
最後の画像は1歳馬の大腿骨骨折です。300kgを超えていますからなかなか厳しかったです。
コンサート後の歌手とか、試合後のプロスポーツ選手だけでなく、外科医も興奮が残って眠れなくなる、というのはあるでしょうね。
妊娠後期だと開腹して、元にもどすのも大変そうです。重症だった母子、退院
最後の画像は1歳馬の骨盤骨折でしょか?
先生方、手術の後は眠れないことがあるそうですね。「大丈夫、きっとうまくいくよ」というメッセージ付きの入浴剤があるくらい、世の中、そういう人がいるものなのでしょう。今日は体と脳のリカバリーできますように。