前日、関節鏡手術の後、1歳馬の喉頭蓋下シストのLaser切開手術を終えてから出張に出た。
立位での喉頭laser手術は短時間で終わるにしても神経を使う手術になる。
福島空港の天候不順で仙台に降りるか、引き返すかもしれない、と言われながらも無事行き着くことが出来た。
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1日目は骨折内固定がテーマ。
1時間半ほど講義してから4テーブルに分かれて実技実習。
1テーブルは子牛のプレート固定を練習していただいた。
1テーブルはJRAの先生たちがPIPjointの関節固定と尺骨骨折のプレート固定。
1テーブルは標準的な中手骨・中足骨・第一指骨のスクリュー固定。
1テーブルは学生さんたちの実習になった。
DRテックさんの協力でX線撮影しながら実習を進めることができた。
このDR、値段が画期的に安い。
さっそく何台も商談成立したらしい;笑
しかし!
習作とは言え、狙った位置にscrewを入れるのが難しいことがおわかりいただけると思う。
信頼されて馬の命を任せてもらえるようになるにはもっと練習が必要だ;笑
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第三中手/足骨の球節の縦骨折に入れるscrewの長さについて、過去ログを再紹介しておく。
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第三中手/足骨の遠位にscrewを1or2本入れる手術なら立位でできなくない。
しかし、それは全身麻酔での手術で習熟している馬整形外科医なら、ということであって、
全身麻酔できない環境で、screw固定に慣れていないと厳しい、というジレンマ・逆説がある。
しかし、この記事で紹介したRichardson教授の言葉を嚙みしめたい。
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とうちゃんどこいってたんだ!
学生さんもJRAの先生方も同じ空間で実習だったとは。脚だけ参加の牛さんやおんまさんもお疲れさまでした。
オラ君、hig先生を味わってますね。
地方競馬の先生たちの参加が減って、学生やJRAや乗馬の先生が増えました。女性の比率もさらに増加です。
5日間居なかったので相棒の反応が激しかったです;笑
競馬会の先生にとっても貴重な練習機会となるから参加されるのでしょう。
しかし実習の財源は地方競馬ですよね。。こういう機会の存在をPRするだけでも還元効果はあるのかも知れませんが。
難しさを知って、世間に要求される水準を共有するだけでも必要なのではないですか。
常識的にRichardsonの示唆に近づけるのはこの方法でしょうから。
環境や適性を無視したイノベーション指向ではなく、積み上げによる信用を飼養者との共有資産にしていきたいものです。
今も、JRAは自前で手術の練習もできるのでしょうけど、交流だけでも価値があるのでしょう。
少数ですが、私のところ以外でも子牛の骨折プレート固定の成功例を聞いています。イノベーションだとは思いませんけどね。
競馬を持っていない自治体住民からも投票されていたわけで、吸い上げ効果はわかりやすかったのかもしれません。
今のネット投票なんかはふるさと納税みたいです笑
JRAの研究補助はぐぇーという金額がいろいろなところに支出されていますので、そういう意味のパトロンとしては変わらず無双を感じさせます。
箱を作るのに比べれば安いものなのかもしれませんけれどね。
私は恐らくhig先生以上に外科をinnovationだと思っていないでしょう。
そして昔からinvationだとも思っています。そっちの人ですから。
だから切って治すをイノベーションととらえる方面はあぁ外科じゃねぇな、と思いますよ。
外科的な視点に基づいた診断や処置に矛盾を見つけましたという発表はおおすげぇ、と思います。
治るか否かは判らないけど切ってみよう、ではhig先生が内科やられていた時代の外科そのままではないでしょうか。
プレート固定は黒和子牛が世界レベルで市場価値が高いことをモチベーションにして技術をけん引していますね。
歩留まりを飼養者に示せるレベルの数をこなしているのは恐らく北海道は間違いないですが、九州がどうかですね。
とはいえ天井が知れていますから、成牛でLCPいって成功させる挑戦権を得る人がいたらこれはかなりの信用だろうと思います。
もちろんどこかですでに達成されているかもしれませんけどね。
あっちで子牛の上腕骨骨折が治りそうで、こっちで育成ホルの骨幹端骨折が治りそうです。innovation でしょう。
九州はほとんどやっていないみたいですね。innovator が居ないからかもしれません。
そして何も知らないからやっているんか、となればクライアントは卒倒するでしょうね。
知っている人が知らないことを説明してコンセンサス取って、で進むと治らない症例も進化につながるんですよね。
これがないと二度と頼まん切っても駄目だのキックダウンをこれからも繰り返すと思います。
やってみなければわからないが先に立つ知識と経験で夢と希望の投資をあおるのが外科ではないですから。
九州で技術が伸びてこなかったのはおそらく繁殖地帯で外に売れない子牛を作れないし置く余地もないからなのでしょう。
innovatorがいないわけではないと思いますし、治療した絶対数は馬鹿にできないはずです。
北海道が急先鋒ではありますが、馬でいうところの日高並みに伝統的な生産数が違いますしお金も回しているはずなのですが、いまだにそこに挟まる余地がないのですかね。
これでも売れないか、という症例報告が増えていけば概念を変えられるのかもしれませんね。
それ以外の地域には売れないという損失を抱えられるという豊かさが前提にあって様々なチャレンジが許容されているのかもしれませんが、そこを餌食にはしたくないと思います。
飼う人いなくなりますから。
宮崎大学におられた萩尾先生は牛の骨折プレート固定の先駆者でした。萩尾先生がかつて家畜診療に書かれた牛のプレート固定の文章を私は大事に持っています。
それがどうして発展・継承されなかったのかはわかりません。大学の先生は忙しくなりすぎたのかもしれませんし、畜産は余裕をなくしすぎたのかもしれません。
鹿児島・宮崎の黒毛の数は北海道より多く、密度ははるかに高いです。
クライアントもついてきます。
失敗を前提とした教育や管理は無脳無悩でもできるのですが、クライアントは興味なく若い人も育たないのですよね。
どちらにも嘘ばっかり教えています。
重鎮が名を連ねた手術書まだ大学では使っているのですかね。
印税収まらない先生も出てきてますよね。
その中で萩尾先生は気鋭でおられたから、執筆を任されたのでしょう。
牛を猛烈に増やした高度経済成長初期からバブル崩壊に向けて、それまで全く進歩や興味の対象ではなかった小動物に対応していかなければならなくなったので軸足を移されたのでしょう。
先生としての前提が外科ですから。
専門医の前提である総合医への逆巻きが外科屋特有の底力でしょうね。
かたや牛は自由化で先が見えなくなったので淘汰の圧力が強くなったのでしょう。
宮崎はこの時代に猛烈な改良を推し進めて今の地位があります。
外科の需要も改良圧力に押しつぶされたのでしょう。
今現在のプレート固定の需要も牛不足と高値から生まれてきていると思います。
田舎では腹の数足りないと悩んでいますが、外科が生産改良の後押しをするかと考えるとそうではないのかな、と私思います。
九州で骨折内固定の需要がないとか、以前より減ったとかいうことはないと思いますよ。