朝、難産の連絡で起こされる。
予定日を3週間遅れてのお産。
前肢は出てきているが、下胎向(胎向とは、胎子の背中が上を向いているか下を向いているかを言う)で、頭はおろか頚にも触れない。
全身麻酔をして、後肢を吊り上げ、押し戻してみたり、捻ってみたりしてもまったくダメ。
身長180cm超の助っ人を呼んで頚の付け根にチェーンを回してもらって引張ってみるが、ぜんぜんダメ。
胎子のひどい失位は帝王切開するしかないのだが、状況からそれは選択肢ではなかった。
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前肢は産道から出てきているが、まだ下胎向で、
写真の右側、左子宮角に胎子の頭と後肢が入っている。
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(胎子の写真です。見たくない人はクリックしないでください。)
上の写真の子宮の中の胎子のポジションを撮った写真。
このポーズで頭が子宮角に入っていたので、整復したり、引っ張り出すことはできなかった。
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研修に来られているJRAの先生の言葉。
「生産地に来て、トレセンへ入厩して来る馬の価値を感じ直しました」
そのことだけでも、生産地へ来てもらう価値はあるのだろうと、生産地の獣医師としては思う。
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3週間の遅れはこの失位のためなのでしょうか?
どうすれば母仔ともに健康な姿を見るにいたったのでしょう。
雨が降ったのですね。
珍しい難産だったと思います。仔馬は最初生きていたようだったので、間違えて産道ではなく子宮角に頭をつっこんでしまったのが原因になったのでしょうか????
すぐに帝王切開すれば・・というところですが、種付けは来年、仔馬が生まれるとしても2年後。売買される1歳になるのは3年後です。
生産とは本当にリスキーで、時間がかかる事業です。
いつも「こんなこともあるのか!」と驚きの連続です。
でも、こうしたことを知ることができて、
日々、これ「新たなり」!!
生産現場に携わるものとして、健康な子馬出産が最大の目的
さて、選択は、、、いろいろ考えさせられます。
今後もよろしくお願いします。
そう感じずにはいられません。
本当にいろいろタフでないとやっていられませんね。。。お産事故は一番痛々しいですね・・・疝痛もそうかもしれませんが、母馬の痛みに仔馬が加わるだけに(T人T)馬天国に行けますよう。(其所には獣医さんはいないでしょうかね^^;)
すこしでも予防や、事故防止や、良い処置のために役立てば嬉しいです。
生きていることとか、「無事」であることとか、健康であることのありがたさを感じます。
天国が苦痛や苦労がないところなら病気も事故もなく、医療者も不要でしょうね;笑。
同じ母でもその年でお産の様子は違うので、本当に気が抜けません。
「馬のお産、日々これ新たなり」ですかね。
昨年、我が家で無事生れたものの、自力で立てない子馬を致し方なく「淘汰」しました。こういう血統は、乗馬でも残してはいけないのだ!と、確信した次第です。。。。。。
無事これ名馬。というのは生産にも言えることなのかもしれませんね。