goo blog サービス終了のお知らせ 

馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

認定馬臨床獣医師

2019-09-11 | How to 馬医者修行

今年、ウマ科学会で認定馬臨床獣医師の試験が行われる

すでにあちこちお知らせが出ている。

何だそれは?!という疑問もあるだろうし、

すでに馬臨床獣医師を自認している獣医師には、何でいまさら認定される必要がある?とか、

どうして試験なんぞ受けなければいけなんだ?という思われる方もいるかもしれない。

             ー

しかし、われわれは獣医師として診療に当たっている。

獣医師であるということで、信頼も得ている。権限も与えられている。

ところが、日本の獣医学教育と獣医師国家試験は馬の臨床についてみると残念ながらとてもお粗末だ。

ほとんどの獣医科学生は馬に触れることもなく卒業しているし、

獣医師国家試験には馬の臨床についての問題はほとんど出題されない。

だから、日本では獣医師であるというだけでは馬の臨床ができるということにはならない。

馬の診療も行う資格はあたえられているのだけれど、中身が伴っていない。

それでは馬の臨床については資格制度がないのと同じだ。

             ー

馬の臨床医として活動する意欲があって、

馬の臨床について勉強していて、

最低限の知識と技術と経験を身につけている、ということを認定してもらうということはそういうことだと思う。

現在馬の臨床医として診療に当たっている獣医師を落とすための試験ではないはずだ。

先々は、こういうことは知っておいて下さいよ、という指標にもなるはずだ。

そして、馬獣医師としてスタートした若い先生たちには努力目標にもなるだろう。

             ー

多くの先生方に認定試験を受けていただきたいと思う。

試験問題や、認定方法や、更新方法など、まだいろいろ試行錯誤があるだろうが、日本の馬臨床獣医師が寄り集って、好い認定制度にしていけば良いのだと思う。

落ちたらどうしようなどと心配する必要はない。

オレが受からない馬臨床認定試験なんて試験の方がおかしいんだ、試験問題や試験方法を変えろ!と胸を張っていればいい。

そして、当たり前に馬の臨床をやっている獣医師は認定を受けられる試験になるはずだ。

            ////////////

研修センターの壁になんか付いてる、と思ったら・・・・

北海道では珍しいコウモリだ。

もっと暗くて安全なねぐらを探せば良かったのに。

                ー

この研修センターも取り壊される。

6部屋の新しい宿泊施設が建築される予定だ。

                        

 

 

 


夏期実習生の皆さんへ

2019-08-05 | How to 馬医者修行

今日も暑い。

が、晴れて、風があるので少しは好い。

曇っていて蒸し暑いのは耐えがたい。

           ー

夏の実習生が来る季節になってきた。

JR日高線は走っていません。(もともと「電車」じゃないし;笑)

代行バスが運行されていますが、国道を離れてJRの駅へ入っていくのでひどく遅いです。

千歳空港か札幌から浦河行きのバスが出ているので、それに乗って来るのが良いと思います。

千歳空港からの浦河行きのバスは1本しかないので、飛行機もその時間に合わせた便を予約すると良いです。

苫小牧から浦河へは直通バスはなくて、静内で乗り換えになるようです。

バス停についたら電話ください。迎えに行きます。

お父さんに、実習先への交通手段を問い合わせてもらうのはやめた方が良いです。

家庭の教育と大学生としての成熟度を疑われます。

           ー

着いた日と翌日の食べ物は持ってくると良いです。

実習中はコンビニなどに車で連れて行きます。

たいていの期間、数名の実習生が居るので、一緒に自炊すると楽しいと思います。

何を食べてイイかわからないとか、食事の用意なんかできない、という人はいままでの生活を考え直した方が良いです。

           ー

集合時間はありません。学校の行事ではないし、団体行動ではありません。

でも、実習前日に、遅くならない時間に来るのが常識でしょ?

           ー

訊きたいことがあれば電話をかけてきて構いませんが、要領よく目的を果たせるよう電話して下さい。

「あの~ワタシ・・・何訊けばいいんでしょ?」みたいな電話とか、「また電話してイイですか?」という小学生がするような電話の練習の相手はしたくありません。

到着予定時間も業務時間内なら、こちらは聞いておく必要はないと思います。

そのために体を空けておいたりしないし、バス停で待ってたりしないし、予定の時間に来なくても問い合わせたり探したりもしません。

           ー

持ち物は、生活道具と実習に必要な物です。

着る物は、白衣でも、スクラブでも、ツナギでも構いません。

長靴は特別なサイズでなければ貸すこともできます。

聴診器はあったら持ってくると良いです。

          ーーー

タフでなくても出来る獣医師の仕事は多いですが、大動物臨床獣医師はタフで、世界中どこでも環境が整っていないところへ行ってでも活動できるような能力があれば望ましいです。

学外実習は、大学で学ぶ獣医学だけでなく、自分の生活力や生き方を見直すきっかけにもなると思います。

大学入試も獣医師国家試験もマークシートになっていますが、社会に出て働き生活していくとき、あなたの目の前に置かれるのはマークシートではないのです。

           ////////////

おっ?お~?これってあれだよね。

今は、そこがどんなとこかネットで下調べできるはず。

便利だけど、つまらない世の中になったのかもしれない。

 

 

 

 

 


北里大学での講義 獣医衛生学 馬の管理衛生

2019-07-20 | How to 馬医者修行

北里大学へ講義に行ってきた。

講義棟が新しくきれいに、そしておしゃれになっていて驚いた。

4年生対象の獣医衛生学の一コマ。

獣医衛生学とは、家畜の飼い方や管理方法で防げる病気にはどのようなものがあり、どうすれば良いかを学ぶのだが・・・

私はサラブレッド生産地では、馬がどんな診療を受けていて、どんな病気で死んでいて、それを防ぐにはどうすれば良いか、について話した。

どういうわけか、今回は割りとまじめに聴いてもらえたように思う;笑

あとで何人かの学生さんが質問に来た。

臨床実習についても尋ねられたし、

「面白かった・・・・」と言ってくれた学生も居た。

                   -

講義棟の掲示板には、臨床実習の案内や、就職情報が貼られている。

われわれの職場もリクルートに力をいれないといけない時代になっている。

新卒獣医師の供給源は獣医科大学しかないので、大学へ出かけていって、自分達の仕事について話す機会は増やすべきなのだろう。

                   -

太鼓の音を聞きながら、八戸城跡を歩いた。

好い時間だった。


馬の科学 廃刊

2019-06-30 | How to 馬医者修行

「馬の科学」が廃刊になるのだそうだ。

驚いたし、とても残念だ。

私が馬の獣医師になった頃、年に12巻発行されていた。

馬の獣医学や臨床や研究や海外情報の記事がいっぱいで、毎号隅々まで読んでいた。

前身の「獣医技術」も書庫に蔵書されていた。

専用のファイルもあったので、私は全巻そろえていた。

JRA競走馬総合研究所の普及誌ということになっているが、臨床家にとってもとても興味深い内容で、若い馬の獣医師にはたいへん勉強になった。

JRAのトレセンでどのような診療や研究が行われているかを知ることもできた。

                      -

日本ウマ科学会が発足したとき、「臨床家には関係ない会だな」と思って入会しないつもりだった。

(そう思う充分な理由があったと思う)

しかし、「今後はウマ科学会の会員に配布するが、それ以外には配布しません」とお触れがあったので、

馬の科学を欲しいためにウマ科学会に入会した。

                      -

そのうち季刊になった。

そして、今回、廃刊されるとのこと。

現在は情報が取り易くなったので、情報誌としての使命を終えた、とのこと。

それには疑問も残るが、経費削減や手間のこともあるのだろう。

かえすがえす残念だが、致し方ない。

「馬の科学」を楽しみに読んで刺激を受けた時代を思い出すし、

たいへん勉強させてもらったことに感謝したい。

 

 


北米の馬病院と比べてどうだい?

2019-05-03 | How to 馬医者修行

朝、予定を変更して飛び入りの結腸捻転の開腹。

助手を務めてくれたのは馬外科専門医レジデントのYoshi先生。

カナダのその病院では、疝痛の開腹は年に20頭ほどだそうだ。

            -

午後、大腿骨骨嚢胞のscrew固定。

カナダのその病院にはX線透視装置はあるが、あまり使わないそうだ。

Subchondral Cystic Lesionのscrew fixationもやったことはない、とのこと。

            -

次いで、頚が動かなくなる1歳馬の跛行診断。

その日は後肢の跛行に見えた。

C5-6、C6-7の関節突起関節の骨関節症がひどい。

足根関節にもDJD所見がある。

保存療法するしかない。

超音波ガイド下で関節にステロイドを入れては?と、Yoshi先生のアドバイス。

効果を示すかもしれないが一時的で、長期の完快は望めないだろう。

             -

続いて、当歳馬の細菌性股関節炎。

関節穿刺して、関節洗浄して、抗生剤を入れた。

             -

夕方、金属製バケツを蹴飛ばして後肢ツナギを切った2歳馬の外傷縫合。

             -

吸入麻酔2頭。

静脈麻酔2頭。

カナダのその病院では外科医が麻酔することはまずないそうだ。

うちの診療件数は北米のほとんどの馬病院の手術頭数より多い。

            //////////////////

オラ 青草くうゼ