Dr.Ducharmeが示してくれたDDSPの外科治療の一覧。
1)口蓋帆切除
2)吻側口蓋形成
a)口蓋縫縮
b)熱口蓋形成
c)laser口蓋形成
3)尾側口蓋形成
a)laser口蓋形成
b)硬化剤
c)Pillarの手技
d)Berwitzの手技
4)喉頭蓋増強
5)牽引筋切除
a)胸骨舌骨・胸骨甲状筋
b)胸骨舌骨・胸骨甲状筋・肩甲舌骨筋
c)Llewellynの手技
6)Tieforward
まあ、なんとこんなに方法がある。
逆にいうといままで決定的な方法はなかった。
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軟口蓋の尾側縁を切除する。
古くは、この部分が喉頭蓋にかぶさるのがDDSPなのだから切って短くしてしまおうと考えられたらしい。
しかし、短くしてしまうと喉頭蓋が簡単に下に落ち込んでどうしようもなくなる。
今は、硬くしてやって、喉頭蓋が落ち込みにくいようにしようというのがその考えのように思う。
だから0.75cmしか切らない。
最近は喉頭切開せず、laserでやる馬外科医もいるようだ。
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これも軟口蓋を硬くしようという考えなのだろう。
しかし、焼きすぎると孔が開いたり、裂けたりしてしまう。
軟口蓋の尾側部分は薄いので注意が必要だ。
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いろいろな外科治療でずいぶん良好な成績が報告されたりもしてきたが、詳しく研究されたり、他の人がやってみると結果はそんなによろしくない。
そこで!Dr.Ducharmeは画期的な方法を考案した。
喉頭蓋が尾側に引かれて軟口蓋の腹側へ落ち込んでしまうなら、喉頭蓋が付いている甲状軟骨を前(吻側)へ引っ張ってしまおう!
ひっぱる支点には・・・舌骨を使おう!
これがTieforward手術。
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しかし、この手術にも問題はあって、舌骨にドリルで孔を開けて糸を通すのだが舌骨が壊れてしまうとか、
甲状軟骨が壊れてしまうとか。
左図はEquine Surgery 4ed.に載っている図。だそうだ。
(私はまだ去年出た最新版を持っていない)
底舌骨にドリルで孔を開けて糸を通していたのを、舌突起に糸を巻くように縛りつけている。
香港では、さらに改良された糸の通し方を教えてもらってきた。
以前の方法より甲状軟骨を前、背側へ強力に牽引することができ、喉頭蓋は強く上を向く。
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最新の教科書を読んでも書かれているのは既に報告された知見だ。
学会発表を聞いても既に数年前から集められた成績だ。
トップにいる先生が現在進行形で今、何を考えて、どうやっているか、それを直接教われる今回のような機会はたいへん貴重で価値があるものだ。
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香港の大学には獣医学科は今は無いそうだ。
香港ではほとんどの人が集合住宅に住んでいるので、大型犬を飼える人はほとんどいないだろう。
小型犬や猫も飼い辛いのかもしれない。
小鳥や、爬虫類が人気があったりするのだろうか・・・