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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

子牛の感染症対策、牛伝染性リンパ腫対策のセミナー

2021-10-27 | 講習会

症例報告を再投稿する期限が迫ってきているので、朝5時から修正稿に取り組んだ。

なんとか、再投稿することができた。

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今週は検査当番なので、細菌検査もやっておく。

2件、スマホで撮影し、培地の状態と、それだから有意な菌だと思えない、というショートメールを担当獣医師に送った。

有意な菌だと思わなくても、いくつかコロニーが発育したら”±”と報告する。

すると、担当獣医師は原因菌として可能性があるととらえてしまいがちだろう。

気持ちはわかる。

原因菌を捕まえたくて細菌検査しているのだから。

しかし、単一、あるいは2種までの細菌がある程度の菌量生えてこないなら、原因菌だとは思えない。

感染し、炎症を起こしているのだ。

数コロニーしか生えないことは考えにくい。

すでに抗生剤投与しているから、とかは採材時の状況で考えてもらうしかない。

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休みの今日。

投票日は所用があるので、不在者投票に出かけた。

一票なんか無力かもしれないけど、投票しなければ文句を言う権利も、愚痴をこぼす権利もない。

モリ・カケ・サクラの時代はもうウンザリだ。

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午後、企業さんのセミナー on line.

・子牛の病気は腸炎と肺炎がほとんど。

予防するためにはどうする?

どうすれば丈夫な子牛を育てられる?

というお話。

たいへん興味深かった。

どこかで、じゃあ子馬はどうなんだろう?と思いながら聴いたりもした。

・牛伝染性リンパ腫の話もたいへん興味深かった。

いまさら牛白血病か、と思われがちかもしれない。

国を挙げて清浄化を目指さないなら、個人や地域ではどうしようもない、と思われがちかもしれない。

伝染性リンパ腫対策が必要だ、と言うと異常に反発する牛の獣医さんが居ることも知っている。

しかし、できることはあるはずだ。

研究だけでなく、普及や社会活動と言ってもよい近内先生の姿勢に感動した。

 youtube で今月中は観れるらしいよ。

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この秋はカシワの黄葉も美しい。

こちらはヤマモミジの黄葉、と秋を楽しむヤツ。


馬臨床高度化研修2021 3日目

2021-10-02 | 講習会

朝、初日に喉嚢真菌症の手術をしたので、その手技について講義。

毎年要望の多い馬の疝痛の診断についても講義。

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午前中、特別うるさい1歳馬が陰睾ではないかということで手術台に乗せて去勢。

鼠径部に発育の悪い精巣を触ることができた。

鼠径部陰睾だ。

特に精索が短い側は、捻転式ではなく結紮と去勢鉗子で去勢した。

この馬、チフニービットにも逆らう。

狼歯があるので、抜歯。

斜歯もあるようで、電動歯鑢で鑢整。

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午前中、子牛の中手骨再骨折を内固定したプレートの抜去。

吸入麻酔で。

午後、突球の当歳馬の浅屈腱支持靱帯の切断手術。吸入麻酔。

1歳馬の両腕節骨折の関節鏡手術。吸入麻酔。

当歳馬の後膝の骨病変のPRP療法。立位で。

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3日間の研修で、馬も牛も、静脈麻酔や吸入麻酔下で、いろいろな手術を行うのを観ていただけた。

地元での毎日に何か役立つことがあればと思う。

帰り道は、それぞれ5時間以上かかる。

おつかれさまでした。

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朝の散歩はまだねむたい?

無為徒食のおまえが言うな;笑

 

 

 


馬診療技術高度化研修2021

2021-10-01 | 講習会

28日夜はSHCカンファレンスだった。

今年はオンラインでZoomを使っての開催だった。

移動時間が必要ない。地理的条件に縛られない。会場よりスライドが見やすい。必要なら発表を聞きながら周囲とディスカッションできる。必要なら中座できる。寝転んで観れる。ビールを飲みながら観れる。

などなど、オンライン中継学会ならではのメリットもある。

たいへん勉強になった。

若い先生たちが熱心に勉強し、新しい治療方法や難しい症例に挑んでおられて感心した。

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29日からは3日間、他の地域のNOSAI獣医師の馬診療技術高度化研修2021。

診療の方は関節鏡手術ばかりにならないように調整した。

静脈麻酔での臍ヘルニア、吸入麻酔での喉嚢真菌症、繋靭帯のトリミング、などバラエティーに富んだ症例を観ていただけている。

29日は、牛と馬に分けて麻酔の講義。

ケタミンは使いにくく、プロポフォールは入手できなくなってしまったが、なんとか牛も「キシラジンだけ」でない上質な麻酔をできるようになってもらいたい。

馬も診ることがある、ということを考えると、全員ではなくても必要なときにはケタミンを使えるようにしておくのが良いのではないだろうか。

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30日午後は時間を空けておいて、子牛の骨折のプレート固定の実習。

2グループに分かれて、前肢と後肢をそれぞれプレート固定していただいた。

脛骨、大腿骨、橈骨、上腕骨。

それぞれに、アプローチ、血管や神経の走行、その骨の形状、多発する骨折の状態、荷重の力学的特徴、など知っておきたいことがある。

それにまず、ドリルやスクリュープレートの扱いに慣れないといけない。

その第一歩になればと思う。

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オンコの実

食べられないことはないが種の中には毒がある。

ということは馬の口に入ると危ないのだろう。

そもそも葉にも毒がある。

馬の飼料に混ざらないようにしたい。

 


オンライン講習会 撮影

2021-01-29 | 講習会

今日は、地元獣医師会の講習会として、オンライン講習会の撮影。

なにせ初めてのことなので要領がわからず、外部の先生を呼ぶのは不安なので、手前味噌で家畜高度医療センターの獣医師が講師を務めることにした。

1人20分の持ち時間で話してもらい、5人で2時間弱の内容になる、はず。

業者が編集作業をしてくれる。

オンラインで、サーヴァーから観られるのは2月15日10時から、2月16日の午後までの予定。

獣医師会を通じてみなさんのところへパスワードとIDが届く。

他にも観たい人は連絡ください。

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きのうの夜は、疝痛の来院で呼ばれた。

去年5月に結腸捻転の手術をして、colopexyもしている馬。

あと2-3週間で分娩予定だが、痛くて、PC55%、とのこと。

超音波で左で肥厚した結腸壁が見えた、とのこと。

それでは開けてみなければなるまい。

しかし、開腹したらすでに腹腔内は消化管内容で汚染されていた。

助かる可能性はない。

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剖検したら胃破裂だった。

結腸はcolopexyにより固定されていて、捻転や変位をしていた形跡はない。

なぜ胃破裂した?

十二指腸は膨満していた。

上位空腸炎か? 

           ー

先日は、家畜共済の保険給付に関わる研修会があった。

このように、腸管手術途中で予後不良の判断をしたら、その手術は家畜共済の給付対象にしないのだそうだ。

ひどい話だ。

診療手技を完遂していないから、ということらしい。

しかし、準備して、麻酔して、手術を最後までやる人手も器材もそろえている。

「無駄な行為だ」とでも言うのだろうか??

臨床をやらない、できない、やろうともしなかった、やったことがない”官僚”が決めごとをするからこんなことを言い出す。

臨床に対する理解も、夜中に呼び出されて命を救うために努力する者への敬意もない。

そのくせ死亡廃用事故は減らしてくれ、という。

矛盾している。

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先日は、生パスタのランチを食べてきた。

大丈夫、感染対策はされているし、密にはなりそうになかった。

飲食店は今ほんとうにたいへんだろう。

様子を観ながら、地元のお店を利用したい。

 

 

 

        

           

 


馬臨床技術研修 

2020-11-05 | 講習会

今日は、社内の獣医さん5名を集めて、馬臨床技術研修会。

講義のあと、実習馬で馬の見方、触り方、保定の仕方、などを実習。

昼休憩のあと、リクエストが多かった疝痛の診断について講義して、引き続き実習。

超音波検査、疝痛診断のための直腸検査、X線撮影、などを実習していただいた。

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今は馬に触ったことがないまま獣医学科を卒業させている獣医科大学も多いようだ。

良いのか?

馬を加入引き受けしておきながら、馬臨床の基本も習っていない獣医師がほとんどのNOSAIもある。

いいのか?

せめて卒後教育の機会があればと思うが、初期研修でも馬の臨床は習わない。

それほど馬の診療はない、というのが現実ではあるのだろうが、

一方で、馬の診療がトラブルの元、とか、馬の診療依頼は恐怖、とか、馬は診たくない、という獣医さんも少なくないようだ。

本当は獣医科大学で最低限のことは教えなければならないと思う。

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雑木林の秋。

今日は風が強くて寒かった。

カシワも葉を落とすだろう。