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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

全国公営競馬獣医師協会生涯研修2017 1日目

2017-02-16 | 講習会

水曜の夜?木曜の朝?寝たのは4時。

金曜の夜は眠らないまま開腹手術を2頭こなし、車で千歳へ走り、夕方那須へ飛んだ。

安着祝いもほどほどに眠らせてもらった。

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日曜日、自己紹介のあと講義で開始。

野外、あるいは立位でできる手術。を1日目のテーマにした。

今回、私のパートの参加者は約35名。過去最高ではないか、とのことだった。

こうなると皆さんにやってもらう形式での実習は無理。だいたいそんな器材もない。

デモンストレーションをして、あとは各自体験してもらう。

お互い話し合ったり、教えあったりも大事。

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耳にできた馬類肉腫equine sarcoid の切除もたのまれていた。

これはM先生がたいへん丁寧な切除をしてくれた。

私は講義で、馬サルコイドに切除と免疫療法を併用した症例を講義した。

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内側膝蓋靭帯の切断術を観ているところ。

どんどんやりましょう、という手術ではないが、立位でできることを知っている馬獣医師が増えることで助けてもらえる馬もいるはず。

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とうちゃん、オラおいてどっかいった・・・

 

 

 

 


師走

2016-12-17 | 講習会

今週、火曜は生産地疾病等調査研究の打ち合わせ会議。

月曜の前夜はその懇親会だった。

今週、木曜は獣医師会の講習会。

南保教授を講師に迎え、地元の獣医さん4名にも講演してもらって、馬の繁殖をテーマの講習会だった。

その前夜は、南保先生を囲んで懇親会。

金曜の夜は職場の忘年会だった。

夕方、疝痛の1歳馬が来て、当番2名は忘年会に参加できず。

おまけに夜中もまた開腹手術があったそうだ。

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オラは朝から全開さ

 

 


Dr.Ducharme講演会 in Shizunai

2016-12-02 | 講習会

何年か前、海外の馬臨床の優秀な先生を招いて講演をしてもらいたい。ついてはどこで講演してもらおうか? という話が出たときに私は希望した。

「日本の馬の半数以上は北海道にいて、だから日本の馬獣医師の半数以上は北海道に居ます」

「しかし、東京での講演に、それほど多くの北海道の獣医師が行けません」

「だから、ぜひ生産地へも来て、講演、実習をやってもらいたい」

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多くの関係者がわれわれの希望をくんでくださり、東京での講演、美浦での実習に加えて、生産地での講演や実習が実現してきた。

獣医師だけでなく、生産牧場や育成牧場など関係者広くを対象として講演してもらうことも意義のあることだと考えている。

獣医師だけが理解していたのでは、いろいろな技術や知識も普及していかないし、向上していけない。

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昨夜は、参加者100名くらいだっただろうか、静内の最も大きなホテルの最も大きな部屋がほぼいっぱいになるくらいの人がDucharne先生の講演を聴きに集まった。

獣医師でない方、あるいは獣医師でも馬の喉の症例を多くは診ない方には、すこし難しい内容だったかもしれない。

通訳が入るので、2時間の講演でも実際には1時間の話になる。

それだけの時間の中でもDucharme先生の講演は、多くの動画や写真が含まれていて、とても価値あるものだった。

大学教授でもあり、上部気道の問題についてはあらゆる文献を把握しておられるので、話される内容には根拠があり、間違いがない。

その世界の頂点であり、最先端を知ることの意義は、スポーツの世界にも似通っているかもしれない。

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実はDucharme先生はJRAとの共同研究のために何度も日本を訪れていて、日高に来られたこともあるのだそうだ。

忙しい中で快く招聘に応えてくださったのも、そのような経緯もあったのかもしれない。

あらためてJRAのすごさを実感するとともに感謝した。

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私は興奮さめやらず、眠れない夜をすごした。

さあ、今日は獣医師向けの講習・実習だ!

 

 

 


子牛の脛骨骨折内固定のデモンストレーション

2016-11-26 | 講習会

先日の、十勝獣医師会の講習会では、最後に子牛の脛骨骨折の内固定のデモを観ていただいた。

写真をもらったので、紹介しておく。

持っていった実習用の使い古しの3.2mmドリルビットがあまりに切れなくて、手こずった。

よく切れるドリルビットを使えば、子牛の骨に穴を開けるのは苦労しません。

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私と豆作先生は同級生で、一緒に日高へ臨床実習に行ったりもした。

30年、私の頭は薄くなり、豆作先生の頭はすっかり白くなった。

無くした若さの代わりに、ベテランになったか・・・・

思えば遠くへ来たもんだ。

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いっきに寒くなった。

さらに寒くなって・・・・

そのせいでもないのだろうけど、相棒は胃腸炎? 嘔吐と軟便になった。

何かヘンなものでも食べたかと心配したが、それはいつものことだし・・・・

一晩、吐いたのと、次の朝食欲がすぐれなかっただけで回復した。

やんちゃで、丈夫で、無邪気なだけが取り柄だもんな。

 


十勝獣医師会 サラブレッド生産地のmedicine and surgery

2016-11-19 | 講習会

日高山脈を越えて・・・(なっが~いトンネルでくぐって)帯広へ向かった。

十勝の風景は私には懐かしい。

広々としていて、空気が澄んでいて、木々の種類が少しちがう。

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十勝獣医師会の主催の講習会で、「サラブレッド生産地のmedicine and surgery」と題して講演させていただいた。

タイトルの示すところは・・・・

32年を振り返れば、私がやってきたことは、馬臨床先進国の馬臨床獣医学を日本に持ち込んで実践すること、だったということ。

そして、今日は繁殖reproduction の話はしません、ということ。

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ただ、私が話すと、全身麻酔しての手術が中心になってしまう。

吸入麻酔機が無く、馬の数がそれほど多くない、それも重種馬の地域の獣医さんにそのまま話しても役に立たないと考えた。

しかし、少なくとも馬も診療することがある獣医さんたちなので、初歩のHow toは職場の中で学んだり伝承できるはず。

それで、サラブレッド生産地では馬はどのような病気や事故で死んでいて、それを助けるためにどうやってきたか、この30年の推移がわかっていただけるように話の内容を考えた。

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腸捻転、骨折、分娩事故が生産地の馬の3大死亡原因だ。

保険加入前だが、これに仔馬の死亡が加わる。

どうしようもない事故のように思われるが、どれも治す方法はある。

具体的にはどうする?どうやってきた?をお話したつもり。

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ついでに、馬はこうやってますけど、牛はどうですか?ということで、輸液の話や骨折内固定の話もした。

時間が押してしまったが、子牛の脛骨骨折内固定のデモンストレーションも観ていただいた。

皆さん興味はあるようで、あとは正しくAO法を取り入れていくだけだと思う。

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カシワ林の赤銅色。

カラマツ防風林の黄金色。

行き帰りの道すがら、倒れている樹があったり、沢沿いが崩れていたり、台風の被害のあとが散見された。

倒木や流木がさかんに片付けられていた。

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来年の牛馬の飼料不足を心配する声も聞いた。

豊かな食糧生産地になっている十勝地方だが、天候に左右され、天災に打撃をうける農業畜産であるのは今になっても変わらない。