前日疝痛だったという繁殖雌馬。
まだ予定日前だったが分娩が始まり、しかし肢が直腸側へ入って、怒責も強く押し戻せない。とのことで来院。
すぐに全身麻酔して、後肢を吊り上げる。
なんとか膣壁から肢を引き抜き、顎を引張り出す。
下胎向(胎仔の背中が母馬の腹側を向いている)なのを捻って直す。
あとは引張って娩出させた。
が、母馬の腸管も出てきた。
小腸で、腸間膜が裂けている。
これは開腹手術しての腸管手術をしなければならないし、膣壁も縫わなければならない。
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で、後躯を高くしたポジションを保って手術台に乗せ、手術台でも後を高くしておく。
トレンデレンブルグ・ポジションと言う。
呼吸には無理がかかるが、膣の穿孔創から腸管がたくさん出るのは防ぎたいから。
空腸下部で腸間膜が裂けていたが、腸管の損傷はひどくない。
血行を失うであろう部分を切除して吻合する。
腸閉塞を起こしていない腸管手術は、腸捻転などの手術に比べれば楽だ。
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膣の穿孔創は開腹手術創からは縫えない。
トレンデレンブルグ・ポジションにしているので、縫合しやすいかと思ったらそんなことはなかった。
膣鏡で開いても周りが寄ってきて見えない。
仕方がないので、吸収糸に三稜針を付けて手探りで連続縫合する。
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腹水を見るとベージュ色がかっている。
羊水が腹腔へ入ったのだ。
引っ張り出した胎仔は胎便をもらしていた。
死ぬ前に低酸素になるとそうなる。
生理食塩液を腹腔内へ入れて、吸引機で吸引することを繰り返した。
腹腔ドレーンを残して閉腹する。
終わったのが3時過ぎ。
もう夜明けだ。
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今日は、
1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。
繁殖雌馬の蹄葉炎の深屈腱切断術。
午後は、競走馬の腕節chip fracture の関節鏡手術。
肢軸異常の当歳馬の診察。
繁殖雌馬の来院。
疝痛で来院して、左膁部の腹側あたりで見えた。
受胎しているのは確認されている。
体表からこの時期にこれだけはっきり見えるのは珍しいかもしれない。
雄雌がわからないか観ようとしたが、良い位置と角度にこなかった。
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電話では別な相談。
もう分娩が50日遅れているがどうしたら良いか?
待つしかありません。と答える。
結局、60日遅れで生まれたそうだ。
妊娠期間1年という馬はときどきいるが、2ヶ月遅れというのは記録的だと思う。
馬は長期在胎で過大仔になったりはしないようだ。
胎盤の機能が悪いのか、胎仔の発育が悪いとちゃんと育つまで生まない。
60日遅れで生まれた子馬は長さはあるが、肉付きの良くない新生仔だとのこと。
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今日は、
1歳馬の臍ヘルニア。
肢軸異常が矯正されたのでスクリュー抜去。
3歳馬の後肢の跛行診断。
当歳馬の肢軸異常、左右の腕節
10:38に起こされる。
難産、頭失位、両前腕節屈曲、そして後肢も産道に入ってきているとのこと。
近くの牧場なので急いで準備しなければならない。
難産介助器具の用意。
全身静脈麻酔の準備。
直腸検査用カッパを着て、手袋をはめて、etc.
11:05 準備が全部終わらないうちに馬が到着した。
すぐに倒馬する。
プロポフォールを使いたかったが、使い慣れたTIVA(Total IntraVenous Anesthesia 全静脈内麻酔)にする。
頭部失位は牧場で治してきたとのこと。
だが、まだ羊膜は破れていない。へんなお産だ。
腕節を伸ばさなければならない。
なんとか片方直す。11:20
あらためて産道を触ると後肢がしっかり入って来ている。
どうも胎仔の姿勢もおかしい。
それでも鼻がヒクついて生きている。
「大事な馬なら帝王切開したほうが良いかもしれません」
「そうして下さい」
ということで、他の当番獣医師を呼び出す。
新生仔の蘇生もあるので人手が必要だ。
手術台の用意、吸入麻酔の準備、帝王切開の道具の用意、etc.
術野の消毒を始める。11:30
11:50には手術開始。
ふつうは子宮の中の胎仔の飛節を探してその上の子宮を切開する。
が、後肢もすっかり産道へ向いているらしい。
仕方がないので、血管が少ない部分を切開し、子宮の中から後肢を引っ張り出す。
産科チェーンをかけてホイストで吊り上げて胎仔を娩出させる。
胎仔は飛節が曲がり、腕節が伸びず、背中も湾曲していた。
それでこんなひどい難産になったのだろう。
馬の帝王切開では子宮壁からの出血が多い。
子宮壁の血管を締めるように子宮壁をひろいながら子宮を縫合する。
あとは腹腔に抗生物質を入れて閉腹する。
終わって12:45。
覚醒室へ運び出す。
器具の片付け、診療室、手術室の掃除、洗濯、ざっとカルテを書いて、1:20。
1:50には馬が動き出したが、まだ眼球脳振盪している。
2:10 馬が伏臥して起きようとするが、前肢が立てない。
その後も何度が立たそうとするが、前肢が立てない。
どうも立ち上がろうという意欲に欠ける。
2:45 馬の耳元で携帯のヴォイスレコーダーに録音しておいた馬のいななきを聞かせたら、顔つきが変わって立ち上がった。
入院厩舎へ歩かせて2:55。
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今朝6時前に診察すると低体温(35.7度)、ずっと軽度の疝痛があり震えたり不穏感があったとのこと。
高張食塩液を1リットル投与したら水を飲んだ。
その後、オキシトシンを混ぜた酢酸リンゲルを点滴する。
フルニキシンを投与したら不快な症状は見せなくなった。
排尿し、草を食べるようになった。
あとは後産が出れば退院しても大丈夫だろう。
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今日は、子宮穿孔した繁殖雌馬の安楽殺。
競走馬の腕節の関節鏡手術。
黒毛和種子牛の細菌性精巣炎?
腸炎の新生子馬の入院。
午後は当歳馬の臍ヘルニアの手術。
帝王切開馬の胎盤を少しだけ牽引して陰部から出し、重りをぶら下げて、オキシトシンを投与した。
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さ・ん~~~ぽ
いくべ
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すっきりした
朝、難産の連絡で起こされる。
予定日を3週間遅れてのお産。
前肢は出てきているが、下胎向(胎向とは、胎子の背中が上を向いているか下を向いているかを言う)で、頭はおろか頚にも触れない。
全身麻酔をして、後肢を吊り上げ、押し戻してみたり、捻ってみたりしてもまったくダメ。
身長180cm超の助っ人を呼んで頚の付け根にチェーンを回してもらって引張ってみるが、ぜんぜんダメ。
胎子のひどい失位は帝王切開するしかないのだが、状況からそれは選択肢ではなかった。
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前肢は産道から出てきているが、まだ下胎向で、
写真の右側、左子宮角に胎子の頭と後肢が入っている。
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(胎子の写真です。見たくない人はクリックしないでください。)
上の写真の子宮の中の胎子のポジションを撮った写真。
このポーズで頭が子宮角に入っていたので、整復したり、引っ張り出すことはできなかった。
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研修に来られているJRAの先生の言葉。
「生産地に来て、トレセンへ入厩して来る馬の価値を感じ直しました」
そのことだけでも、生産地へ来てもらう価値はあるのだろうと、生産地の獣医師としては思う。
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