比較解剖学とは・・・・加藤嘉太郎先生の「比較解剖学図説」には、
比較解剖学 Comparative Anatomy は動物部門全般を対象として、各種器官の相同、相似を論及し、動物の類縁関係を明らかにすることを主目的とする。
系統解剖学とは・・・
系統解剖学 Systematic Anatomy とは動物体を各系統(骨格、筋、消化器、呼吸器、尿生殖器、脈管、神経、感覚器、外皮等の各系統)に分けて、順次に説明していく方法で、特定の動物(人・家畜等)を対象とする。
とある。(こんな大事なことが「頭蓋骨の構成」の章の脚注に書いてある;笑。)
そもそも私は、臨床と絡めながら馬を系統解剖学的に眺めなおしてみたいと思っていた。
しかし、人と比較することは、考察する上でわが身を参考にできるし、人については情報が多く、馬について考える上でも参考になるので、人と比較し始めた。
ところが、人と馬を比較するだけでは判断できないものもあり・・・・
-
さて、鎖骨。
四肢動物には鎖骨は無いほうが機能的なのだろうということ。
筋肉で体を支えるとことの優位性。
鋸筋は体をぶら下げるだけでなく、肢を振るためにも機能していること。
を以前に書いた。
それは進化・退化からみて正しいと思われるか?
さすが、加藤嘉太郎先生の「家畜比較解剖図説」には、肢骨の進化について書いた章がある。
右上は「脊椎動物の前肢骨の原型」。
肩甲骨、鎖骨、烏口骨、が上腕骨との肩関節を支えている。
この前肢のようすは、魚から進化して陸上へ上がり始めた生物のようだ。
右2枚目は「カエルの前肢帯、腹面」Schwenk原図。
正中上から、上胸骨、肩胸骨、鎖骨、上烏口骨、胸骨、剣状突起とあり、
鎖骨から外側へ肩甲骨、上肩甲骨とつながっている。
烏口骨が発達しているのも特徴だが、上胸骨、肩胸骨などがあるのも他の動物と違っている。
あの体が柔らかそうなカエルが立派な骨を前肢帯にもっていることは面白い。
右は「アヒル(鳥類)の前肢帯、腹面」Ellenberger原図。
中央の大きいのが胸骨。
そこから烏口骨、そして癒合鎖骨。
組み合わさって、まるで西洋の甲冑のようだ。
右は「家畜の前肢帯、背側(肩甲骨だけで成立し、胴骨と全く連絡がない)」。
体の脇に大きく平坦な肩甲骨を貼り付け、それを筋肉だけで支え、すばやく前後に振ることで、四肢で速く滑らかに走れるように「進化」したのだろう。
その過程で、烏口骨も鎖骨も「退化」したのだ。
そして、左が「人の前肢帯、腹面(鎖骨だけで胴骨の一つである胸骨と結ばれる)」とある。
前肢を腕として自由に使うためには、大きすぎる肩甲骨や、動きが限定される肩関節は都合が悪いので、肩関節は浅く接触するだけになり、
腕をあちこちへ動かすための支柱として鎖骨が必要なのだろう。
それは、「頑丈」「丈夫」ということとは違うように思う。
////////
明治初期の群像劇でもある。
少し間を置いてみれば、作者の人物評はひどく好悪があるように思われる。
敬意を払われているのは大久保利通、西郷隆盛ただ二人だろうか。
歴史上から視れば何も為さずに非業の死を遂げただけなのかもしれない村田新八などは、好感をもって描かれている。
大隈重信あたりは俗人扱いで、それは言ったこと、行動、それに対する世間の評判までが記録として残ってしまっている近代の人ゆえなのかもしれない。
(早稲田の卒業生が司馬遼太郎の本をどう読むのか聞いてみたい。)
歴史とは道理にしたがっては動かないものか・・・・歴史とは人の世の記録のこと。