Dr.Brooksから聞いた馬眼科に関することの覚え書き・・・・
角膜炎
・馬の眼科疾患には2種類ある。角膜炎とそれ以外の疾患。
・角膜炎への対応は非常に重要。なぜなら治せるから。
・角膜の深い部分からの採材のためには綿棒などで擦るのではなく、メス刃の柄につける部分で掻き取るのが望ましい。
・馬の角膜の厚さは、中央部で1.0~1.5mm、辺縁部で0.8mm。
羊膜
・融解を起した角膜炎には結膜フラップを行ってきたが、角膜上に結膜が残り、治癒後の見た目が悪く、視界を妨げる。最近では6mm以下のものにしか結膜フラップはせず、羊膜を使っている。
・羊膜は原理的には光沢がある側が角膜に接するように、血管がある層を剥がした側が表を向くように乗せる。実際には裏表による差はないようだ。
・冷蔵と冷凍で差は感じていないが、幹細胞の定着が研究で証明されれば冷凍しない羊膜が望ましいのかもしれない。
白内障
・手術しか治療方法はない。瘢痕組織が形成されるので、半年後には良好でも、6年後にはどうなっているかわからない。
緑内障
・ダイオードレーザーによる毛様体の凝固術もよく行う。角膜輪部から5-6mmの強膜上で、出力1.5mwatと時間1.5secを設定しておいて30~40箇所に接触照射する(全周やってはいけない!)。ポッピング音が聞こえることがあるが、毎回聞こえるようだと出力が高すぎる。この手技による併発症はまれだが、効果がないこともある。
眼瞼縫合
・十字縫合or8字縫合をお勧めする。
虹彩脱
・飛び出した虹彩は切除する。「押し込めない!」
Dr.Brooksは馬臨床医のための眼科学の本も書いておられる。
持っている人も多いようだ。
ハンドブックというか、マニュアル的だが、私は便利で良い本だと思う。
上に書いた覚書以上に、詳しく、その理由なども書かれている。
例えば、虹彩脱は・・・・電気メスで切除する。とある。
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適切に対処したいものだ。