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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

牛のプレート固定を普及させたい

2015-09-18 | 学会

昨夜は2歳馬の結腸捻転。

結腸はほとんど膨満していないが、捻じれかたはけっこうなもので、結腸はかなり傷んでいた。

肥厚は中程度、粘膜はアズキ色、結腸動脈周囲は出血し浮腫状。

手術が終わって、片づけして、カルテをざっと書いて、2時間ほど。

濃密な時間だ。

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今日は7歳競走馬の去勢。

午後は私は会議。

手術室では副管骨の摘出手術。

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今週は、早朝から書き物をしていた。

獣医麻酔外科学会の抄録。

シンポジウム「大動物の整形外科」で45分の話を頼まれている。

「馬の内固定」というタイトルになっているが、間違いです;笑

馬の内固定はさておき、牛のプレート固定をメインに話そうと思っている。

だけど、このタイトルでアナウンスされてしまっているので、馬のプレート固定についてもしゃべる。

12/19・20の土日です。

牛の獣医さんには麻酔外科学会はあまり感心がないかもしれないが、

「牛の局所麻酔」の講演やら、

「牛の麻酔」の講演やら、

「牛の輸液療法」の講演もある。

北海道獣医師会員は、麻酔外科学会員扱いで10,000円で事前登録できる。

牛の獣医さんも麻酔と外科のスキルアップの機会にしてはどうだろう。

私も、聞いた牛の獣医さんがプレート固定をできるようになるような内容にしたいと考えている。

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徳瞬別山から見えたのは、マッカリヌプリ(後方羊蹄山)とそのむこうにニセコアンヌプリ。

そして、しこつ湖を囲む山々。

 


北海道産業動物獣医学会2015

2015-09-14 | 学会

9/10 海はツートンカラーだった。

学会のために札幌へ移動する日だったのだが、午前も午後も手術予定を入れざるを得なかったので、午後の手術を終えてから出かけた。

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ことしの北海道産業動物獣医学会は演題数は過去最高の104題。

産業動物獣医学会だけでも、完全に2つの会場に分かれて行われた。

演題数が多いのは良いことのように思われるが、

・結局、半分の演題しか聴けない。

・1/3近は学生、あるいは大学からの発表。

・内容とその質に問題がある発表も少なくない。

ので、手放しで喜んでよいものかどうか。

以前にも書いたことがあるが、私は、この学会は産業動物獣医「師」学会だと考えていて、

北海道で産業動物分野で働く獣医師が、自分達の日々の仕事の中から調査結果や研究成果を持ち寄って研鑽しあう場所であって欲しい。

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卒論発表は大学でやれば良いし、

研究費や大学の施設や実験動物を使って学術的価値がある成果が出たなら、それは日本獣医学会で報告して評価を受ければ良い。

臨床獣医師が聴きたいのは、自分の診療に役立つ情報で、臨床応用できない情報は興味があるときに調べればそれで済む。

発表者が学生だと質問しても意味のある答えが返ってくることはほとんどない。

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AAEP アメリカ馬臨床獣医師協会の年次大会は、馬臨床獣医師にとって興味深い演題ばかりだが、実は厳しく選抜されていて、

発表されている演題の4倍ほどの申し込みから選択しているそうだ。

それでいて、学術的な報告ばかりではなく、「How to」のセッションとか、記念講演とか、シンポジウム形式のセッションなどもある。

臨床獣医師が参加したい、参加しておかなければならない、参加すれば自分の診療の役に立つ、そういう集まりであり続けている。

見習ってはどうかと思う。

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しかし、北海道産業動物獣医学会も全体には素晴らしい。

とても密度は濃い。疲れるけど;笑。

今年もたいへん勉強になった。

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・放牧牛のミズナラのドングリ中毒の事例報告は興味深かった。ミズナラのドングリに含まれるタンニンは腎毒性を示すことがあるようだ。

 食べさせなければ良いのだが、ミズナラやカシワが生えている放牧地はたくさんあるだろう。

・牛の骨折内固定の発表が数台あったのが注目される。

・馬の診療の発表はとてもレベルが高い。(手前味噌;笑)

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また、がんばろう。そう心新たにさせてもらった。

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苦労して頂上へついた。

ニセコ・チセヌプリ。

アンヌプリ、イワオヌプリも見えていた。

下りは父ちゃんがバッグをはずしてくれた。

ペットボトルの水は空になったし、下りで岩にひっかかると危ないから。

 

 

 

 


第43回生産地シンポジウム

2015-07-17 | 学会

きのうは恒例の生産地シンポジウム。

第43回だそうだ。

私はその31回に参加してきた。

急患や、入院畜がいて参加しなかったこともあったかもしれないが・・・

ことしは、画像診断が午前中のテーマ。

生産地シンポジウムの第1回あたりのテーマは子馬の虚弱や腰痿や白筋症が混同されて取り上げられていた。

その頃から思えば日本の馬獣医学もずいぶん進歩したものだ。

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西日本は台風接近中だった。

関西から来ていた方たちは帰りついたのだろうか。

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シンポジウムの前日は、

当歳馬の下顎骨折のプレート抜去。

3歳あがり馬の下顎骨折のプレート固定。

LCPをMIPOで。(なんのコッチャ;笑)

午後は関節鏡手術。

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とうちゃんに耳の毛、散髪された

けっこう涼しくなった

                         

 

 


日本獣医師会2015 骨折治療の基本と最新情報

2015-02-22 | 学会

学会も3日目。いいかげん疲れてきたが、私自身の出番は最終日の午後。

午前中は、小動物の骨折治療の基本と最新情報についての講演を聴いた。

講師はコーネル大学の林慶先生。

USAで小動物外科専門医となって、さらにいくつかの大学で教育・指導に当たっておられることは素晴らしい。

林先生には、以前、札幌で外科麻酔学会があったときに馬のセッションとしてUSAの外科専門医制度について講演していただいた。

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今回の講演では、基本に忠実に!を繰り返し述べておられた。

日本では小型犬が圧倒的に多く、それも室内飼育されることがほとんどなので、骨折事故はテーブルから飛び降りたとか、飼い主から落ちたとかによる橈尺骨骨折がとても多いらしい。

実は、USAでも近年は小型犬が増加していると聞いたことがある。

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犬も骨折内固定手術後は、2週間はケージレストさせ、その後、すこしずつ歩かせ始める。

犬はケージに入れておけばほとんどの時間を寝て過ごすので、馬房内でも立って歩き回る馬とはかなり事情が異なる。

馬は体重が重いだけでなく、気性的にも、種の動物としての生活様式でも、骨折の良い患者とは言えない。

同じ大動物でも牛は気性が穏やかで、ほとんどの時間を寝てすごし、骨の形も太くて短かく丈夫で、馬よりははるかに骨折の良い患者だ。

最近は牛の骨折を治療した症例報告を見かけるようになっているのだが、あまりに獣医さんに整形外科の基礎知識がなくて残念に思うことが多い。

いきあたりばったりで、あるいは目の前で骨折した動物を見て、はじめて考えてやってみる。というのは「素人」がすることだ。

それでは失敗した経験談だけが積み重ねられていく。

あるいはうまく行ったとしても、それは幸運に支えられたまねをしない方が良い経験でしかない。

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腕節を屈曲させてキャストを巻くとか、

髄内ピンによる牛の骨折の治療とか、

創外固定とか、

私はナンセンスだと思う。

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基本を学ぶことの大切さをあらためて教わった講演であった。

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日本獣医師会年次大会2015 CTとMRIと核医学

2015-02-20 | 学会

岡山の2日目午前はCTとMRIと核医学のセッションを聞いた。

学生の頃、超音波画像診断装置を初めて見せられて、これが断面なのだ、ということがなかなか理解できなかった。

今や獣医科大学にはCTかMRIかどちらかは設備されていて、両方を備えた大学も多い。

セッションの中で、どなたかが述べておられたが、X線画像診断はX線による「影絵」だが、CTやMRIは被写体そのものを立像化できる。

CTは骨、MRIは軟部組織、という区分とは限らず、CTもかなり軟部組織にも使えるし、MRIに比べて検査時間が短いのも利点のようだ。

器械そのものの値段も高いが、ランニングコストも問題で、産業動物診療では畜主に負担願える症例は多くない。

大学では教育や研究のためということで牛の診療に用いることが多いとのこと。

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経済動物の診療では、ただ診断がついた、というだけでは喜んでもらえない。

診療費がかかっても、「治せる」ということになって初めて診断の意味を感じてもらえる。

その点では、治せる可能性がある病気や事故の診断や、手術前の診断や術中検査に使う適応症例があるか?も課題だろう。

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馬の核医学、シンチグラフィーも欧米では馬の臨床に取り入れられて久しい。

最も多い適応症例は疲労骨折なのだろう。

しかし、放射性物質の取り扱いに厳格な日本では、検査のランニングコストもかなり高くなる。

そして、病傷が疲労骨折にしても、腱や靭帯の付着部炎にしても、積極的な治療というよりは保存療法が選択されることになる。

診断されないまま無理な調教や競走を続けて致命的な骨折につながるリスクは減らせるかもしれないが、費用をかけて検査をする馬がどれだけいるのか想像するのは難しい。

立地条件にもよるだろう。

美浦や栗東周辺ならJRAの現役競走馬が使うかもしれないが、それらの馬も帯広や鹿児島まで検査に行くかどうか・・・・

ただ、欧米で行われているBoneScanを、日本の獣医科学生は知らない、見たことがないという状況が続くことになるのはよろしくないというのは理解できる。

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CTはこんなのもあるゾ。

私のところなら馬の骨折手術に年間10症例、肢の診断に年間10-20症例、頚椎症による腰痿の診断に50症例、頭と喉の診断に10症例くらいは使うカナ?

NeuroLogica Portable CT Scanners

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 暖かい日が続いて、抜け毛がひどい。

今が一番のモコモコ、モフモフ状態なのだろう。