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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

日本獣医師会年次大会2015 女性獣医師の労働環境について

2015-02-19 | 学会

初日、牛の蹄病のセッションのあとは、女性獣医師支援のシンポジウムを聴いた。

今は獣医科大学の学生の性別はほぼ男女半々となっている。

獣医師として採用される公務員も小動物獣医師も産業動物獣医師も、近年は男女半々に近い。

今回のシンポジウムでは、公務員、小動物獣医師、産業動物獣医師、として働いてこられた女性獣医師がパネラーとして自分の半生を紹介し、女性獣医師として働いてきた中でのさまざまな問題や解決方法や要望を述べておられた。

これはとても大きく、かつ難しい問題で、「うちの職場は女性はチョット(困る)」ではすまなくなっている。

医師にしても獣医師にしても、男性の卒業生は半減しているからだ。

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そして女性の採用には産休・育休問題がつきまとう。

つまるところ、産休・育休取得者の分、増員して補充できるようにしておかないと対応できない。

しかし、公務員はともかく、民間企業や自営小動物病院やNOSAIでそれができるか?

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最近は男性獣医師でも奥さんも働いている人が多くて、自分の職場の女性の産休取得や子育てのために融通を利かすことにとても理解がある、という話は興味深かった。

もうそれ(夫婦共働き)が当たり前の時代なのかもしれない。

しかし、そうやってダブルインカム(2人分の収入)を得ている家庭のために、シングルインカムの人がいつまでも気持ちよく無償協力できるのか?

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これからは子育てだけでなく、介護の問題も増えてきているので、多様な働き方を認めていかないと退職者が増えるという話も身につまされた。

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男が家事や育児を半分負担しているといっても、女性から見れば平日のしなければいけないことの半分をしているだけで、溜まっている家事を集中的にやっている週末の分や、そもそも妊娠、出産、育児のかなりの部分は女性しかできないので、半分半分にはならない、という指摘も厳しくも納得がいくものだった。

女性参画社会では、男は妊娠できない、産めない、哺乳できないヒトでしかないのか??

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オホーツクNOSAIの先生が紹介した大動物分野の実情は、私達にもっとも身近で考えさせられるものだった。

僻地に来てくれるだけでもありがたい。急に明日から牛の診療を代わってくれる獣医師などいない。

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総合討論にコメンテーターとして登壇しておられた山形NOSAIの酒井参事に、経営上の問題を聞いてみたいと思ったら、

「それらのことを踏まえて国に要請していきたい」

と御自分で述べられた。

本当に少子化が国をあげて取り組まなければならない問題だと言うなら、どんどん生んでください、国が面倒みますから。と言わないと、子どもの数は増えないだろう。

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女性問題は男性問題でもある。という指摘は納得がいくものだった。

男女を問わず、今までだって余裕をもって、明るく楽しく仕事をできているなら変化に対応していけるのだ。

過酷な労働環境とか、満足のいかない報酬とか、職業上の危険とか、業界の不安定さとか、(どこの業界の話かお分かりでショ;笑)

今までというか、未だに解決できない問題が女性問題として切羽詰まっている。

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分娩や育児や介護のために時短や夜間勤務の免除や危険な、あるいはキツイ労働の免除を考えるなら、横並びの給与体系ではなく業績や人の評価も考えなければならない。

しかし、それすらできていない職場がほとんどだ。

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たいへん勉強になったシンポジウムだったが、問題解決へのアプローチは何も見えなかった。

そして、今は半々だが、欧米では獣医科大学生の8割は女性という国もある。

さて、大丈夫なのか?

とくに産業動物分野は大丈夫なはずがないだろう。

日本獣医師会主催のシンポジウムで大会場が用意されていたが、会場は空席がめだった。

う~ん・・・・・

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う~ん、画像が回転できない。

シャチホコ立ちしてしまう・・・・・

 


日本獣医師会年次大会2015 牛蹄病について

2015-02-18 | 学会

初日は、牛の蹄の講演を聞いた。

田口先生の講演は素晴らしかった。

ダッチメソド、趾皮膚炎の多発など牛の蹄病が大きな問題になり注目されて久しいが、私は細部も全体像もわかりにくかった。

しかし、田口先生の講演を聞いて、

牛の削蹄方法がどう変遷してきたか?

それぞれどのような問題があって改良法が生み出されてきたのか?

削蹄すれば蹄病は本当に減るのか?

趾皮膚炎が増えたのはなぜか?減らすにはどうすれば良いのか?

などなど牛の蹄に関するだいじなことを理解することができた。

さらには、実践というか臨床における科学と技術の関係や、アニマルウェルフェアについての考え方や、

問題とそれを起こす要因と、それらの関係のとらえ方について、つまりチェーンリアクション(連鎖反応)なら理解しやすいが、現実の因果関係は複数が関連していてツリー構造であったり、さらにはお互いが影響しあうネットのような複雑系であることが多い。

牛の蹄の問題もまた然り。

という科学的なものの考え方についてまで、とても示唆に富んだ内容でもあった。

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桃太郎話の起源には諸説あり、どうも岡山がゆかりの地かどうかははっきりしないらしい。

でも、まあ、昔話だ。

駅前に銅像まで建てる力の入れようはみごと。

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臨済宗の宗祖である栄西、浄土宗の宗祖である法然の出身地でもあることは、田口先生の講義で知った。

そしてコンクリートの上の牛は屎尿地獄との指摘は私が以前から思いながら声に出すのがはばかられることだった。

地獄から救ってやることは獣医にはできないのだろうか?

 


日本獣医師会年次大会2015

2015-02-17 | 学会

今年は岡山で開かれた日本獣医師会年次大会。

この学会には私は30年で4回目の参加。

はじめて行ったのは島根で、地区学会賞受賞発表をしに行った。

2回目は宮崎で、学術奨励賞の受賞発表をしに行った。

3回目は札幌で、開催役員とシンポジウムの座長だった。

つまり、あまり馬関連の発表や講演がなく、全国持ち回りで開催されるので遠い所が多く、行く機会はほとんどない。

馬関係者もほとんど集まらない。

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今回はシンポジウムでの講演を頼まれた。

馬関係者は集まらない学会ではあるが、日本ウマ科学会から持ちかけて馬を専門としない獣医師に馬獣医学や馬の臨床について知ってもらう機会にしたいとのこと。

それで、私は馬を専門としない獣医さんに知っておいてもらうと、不幸な馬をなんとかできるのではないかという麻酔と外科手技を紹介した。

「生兵法は怪我のもと」などという言葉もあるが、まずは知ることから始めないとなにごとも進まない。

知った上で自分でできるか判断してもらったり、じゃあ遠いけど大学教育病院へ頼もうか、と考えてもらえば良い。

具体的な内容は・・・・・まあ日頃このブログに書いているようなことなので省略;笑。

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3日間をとおして、普通の学会とは異なり、シンポジウムや教育講演やランチョンセミナーが多くてたいへん勉強になった。

いつもは聞かない内容の講演やシンポジウムも聞くことができた。

おいおい紹介したい。

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岡山について時間が少しあったので、岡山城を訪ねた。

黒いので烏城(うじょう)とも呼ばれることがあるらしい。

りっぱなお城だった。

歴史があり、城があり、公園がある街ってイイね。

 

 


生産地シンポジウム2014

2014-07-20 | 学会

恒例の生産地シンポジウム。

すでに42回だそうだ。

私はそのうち30回ほどながめてきたことになる。

かつては文化センターで行われていた。

冷房もなく、青焼きのスライドでの講演のためカーテンが閉められていて、すごい熱気だったのを覚えている。

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P7176425今年は午前中は眼科のシンポジウム。

アメリカ獣医眼科専門医の辻田先生の講演。

馬の眼科も日々進歩している。と感心させられた。

頑張って着いて行こう・・・・

というより専門家に任せた方がイイナとも思った(笑)。


ウマ科学会学術集会2013

2013-12-04 | 学会

Pc025371
日曜日、東京へ移動。

月曜は、朝からJRA調査研究発表会。

昼は理事・評議員会。

合間に企業展示を覗く。

実は、海外の著名な先生を招聘できているのは展示をしている企業の負担のおかげだ。

以前は展示場が狭すぎる感じがしていたが、今年は余裕がある気がした。

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午後からも調査研究発表会。

私は3年振りだったのだが、とても興味深い演題が多かった。Pc035374

途中から、ウマ科学会の一般発表に移動した。

自分の発表もあったので;笑。

全然、自分の発表の練習はしていなかった。

興味を持っていただけたようでよかった。

馬臨床の発表の場として充実して行ってくれればイイナと思う。

地域や職域を越えて馬臨床獣医師が勉強しあう学会はほかにないから。

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調査研究発表会の会場へ戻ったが、もう最後の演題だった。

そのあとは懇親会、なんとその後に会議、そのあとは二次会(青木会!)。

Pc035375翌朝はWhite先生を囲んでの症例検討会。

繁殖雌馬の腸間膜の孔へのヘルニア、

クロストリジウム・ディフィシルによる大腸炎、

消化管型リンパ腫、

colopexy後の妊娠末期の疝痛、

手術後の癒着と再手術、

それぞれとても興味深い課題と質問だった。

発表される症例はWhite先生に送っておいたので、White先生はコメント用のスライドも用意してくださった。

はっきりと「私にはわからない」「私の分野ではない」とコメントされることがあるのも好ましかった。

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私は昼も会議。

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午後はWhite先生の特別講演。

馬の疝痛の診断と手術適応の判断。

実は馬の疝痛にどう対応するかの中で最も重要な部分かもしれない。

早く、的確な判断ができなければ、手遅れの症例が増え、

「手術なんかしたって助からない」

となりがちだ。

おまけに手術は3時間も4時間もかかる重労働になる。

開腹手術適応症例が手術施設に早く運ばれるようになれば術後生存率は向上し、

「腸捻転の馬だって助かるんだな」

となる。

状態が悪くなっていないので、手術も短時間で済み、術後治療も短く、そして安く済む。

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診断方法も検査手技も、当たり前のものも多かったが、それらの判断方法とその根拠は科学的で経験と学術報告に裏打ちされていて、なおかつとても実践的なものだった。

「何か疑うことがあれば、開腹手術すべき病変がある」

40年以上、馬の疝痛に取り組んでこられたWhite先生の言葉だから重みもある。

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White先生をお見送りして、発表会場に戻ったが、もう私には精神力も残っていなかった;笑。

4時に会場を出て羽田に向かったが、飛行機にギリギリだった。