哀しい気分のジョークにもならない製作本数の僅少に素直に連動してか、薔薇族除くピンク全作を例年よりも随分早からう、十月第二週には踏破してあつたにも関らず、結局何やかにやとモタモタ手をこまねいてゐやがる内に、結局代り映えしないタイミングでの2011年ピンク映画の私選ベスト・テンとワースト・スリー、裏ランキングその他与太である。如何ともし難い公開ラグに関してはこの際胡坐をかいてしまふと、これでも幾分は早い方である。だ、か、ら、管理人が人並にしつかりしてゐれば、更にもう少しは早くなつたのだが。相変らず粗相ばかり仕出かしては、稀に頂くコメに何故か恐々とする大間抜け管理人のどうでもいい近況としては、ある意味我ながら実に俺らしいが、二十年来の親友から以外には特段の反響も別に無いままに、感想実質千本もそれなりに順調に通過。目下新田栄の感想百本ことハンドレッド・新田栄を当面の目標に、行けるところまで既に一杯一杯のアクセルを、依然踏み続けてゐるものである。壁が越える為にあるものだとするならば、底なんてものは、抜く為にあるんだぜ。
今年もそんな塩梅でうつらうつらと、11年(昭和換算:79-7年)ピンク映画ベスト・テン
第一位「あぶない美乳 悩殺ヒッチハイク」(オーピー/監督:森山茂雄)
完全に他作を圧倒してゐるやうにしか思へないのだが、世評の高い風情も特に窺へないのは、例によつての小生のバッド・チューニングか。この期に及ばずとも、そんなもの一向に一切構はないが。
第二位「母娘《秘》痴情 快感メロメロ」(オーピー/監督:渡邊元嗣)
異形の月が鮮烈なヴィジュアル・ショックを叩き込む並行世界を舞台に、母娘が“再び手に入れる大切なもの”に辿り着くエモーショナルなナベシネマ・オブ・ナベシネマ。伝説のグラマラスクイーン・美咲レイラが、凡そ十年ぶりとなる電撃ピンク復帰を果たすトピックも重要。
第三位「囚はれの淫獣」(オーピー/脚本・監督:友松直之)
徒か戯れに醸される物議の陰から撃ち抜かれる、孤独なオタク青年の、誰からも理解されぬエモーション。現し世は夢であり、夜ならぬ小屋の暗がりの中の夢こそ誠。俺は思ふ、これこそが映画だ。
第四位「女真剣師 色仕掛け乱れ指」(オーピー/脚本・監督:田中康文)
四年ぶりに本篇に返り咲いた田中康文が、なほも余力を残す鉄板娯楽将棋ピンク。池島ゆたかのドス黒い貫禄は出色。
第五位「極楽銭湯 巨乳湯もみ」(オーピー/監督:加藤義一)
マトモな脚本家と組むと矢張り加藤義一は強い。タイトル明けの銭湯ラップに際しては結構本格的なミュージック・クリップを披露、何気に度肝を抜く。
第六位「人妻旅行 しつとり乱れ貝」(オーピー/監督:渡邊元嗣)
筆の根も乾かぬ内に何だが、総合的には目下ナベ最強論未だ揺るがず。ナベ・ゴールデン・エイジ第二章の到来に、一体何時まで気付かないつもりか。
第七位「トリプル不倫 濡れざかり」(オーピー/脚本・監督:関根和美)
伊豆映画をイイ話に捻じ込む老練の力技に感服。
第八位「艶剣客2 くノ一色洗脳」(新東宝/監督:藤原健一)
稲葉凌一が一作目と同じ悪の黒幕役で、兄貴と称して出て来たのには拍手喝采。主役二人の息も合ひ、「くの一媚薬責め」よりは明らかに面白く、思へたのは気の所為か >何故自信がない
第九位「白昼の人妻 犯られる巨乳」(オーピー/監督:竹洞哲也)
レス・ザン・ドンパチをソリッドなショットで乗り切るピンク・ノワール、日本語で話せ。
第十位「愛人OLゑぐり折檻」(オーピー/制作・出演・音楽・脚本・監督:清水大敬)
明後日には兎も角正方向の映画的評価はさて措き、ひとまづ藤崎クロエを嬲り尽くしてみせたエクストリームは圧巻にして天晴。
と、一段落したところで・・・・うわあ、田中康文が四年ぶりならこちらは三年ぶり、ピシャリと決まるサゲの一言が見事な「となりの人妻 熟れた匂ひ」(オーピー/脚本・監督:後藤大輔)を忘れてた!慌てて次点。後藤大輔が清水大敬より下だとか頭おかしいんぢやねえのか?うつらうつらどころか完全に寝言だろがよ(;´Д`)
簡略に個別部門、新人賞以外の全部門を森山組が舐めて別に問題もないのだが、撮影賞を飯岡聖英、音楽賞を與語一平が同時受賞。新人賞は管野しずかの一択。帰還賞が、俳優部では十三年ぶりの羽田勝博、では勿論なく、華麗なる大復活を遂げた美咲レイラ。演出部での後藤大輔と田中康文の激突は、田中康文に軍配が上がる。今後の展望としては、エクセスからの越境も望めないものか。
幸いにも凶悪な破壊力には欠いたワースト・スリーは
第一位「いんび快楽園 感じて」(オーピー/監督:池島ゆたか)
蛮勇を拗らせ敢てワースト・ワン。現し世と夜の夢とを秤にかけ、現し世を選び取るやうな物語には、駄々にも似た激しいアレルギーを仕方なく覚えるものである。
第二位「女囚701号 さそり外伝」(新東宝/監督・脚本:藤原健一)
漆黒の闇に沈む画面、“外伝”と称してフォーマットから半歩たりとも踏み出ではしない展開、何故かモッサリモッサリしたさそりルック。チャーム・ポイントを探すのにも苦労する一作。
第三位「淑女の裏顔 暴かれた恥唇」(オーピー/監督・出演:荒木太郎)、か「人妻OL セクハラ裏現場」(オーピー/監督・脚本・出演:荒木太郎)
どちらでもいい、昔は積極的なアンチであつたが、最早昨今の荒木太郎には殊更に叩く気も失せて来た。
我慢しきれずワースト次点は「夏の愛人 おいしい男の作り方」(Xces/監督・脚本:工藤雅典)
呪はれたヒロイン・星野あかり主演で満足な映画を撮れる猛者は居らぬのか。
裏一位は二年続けてこの人、「性犯罪捜査Ⅲ 秘芯を濡らす牙」(オーピー/脚本・監督:関根和美)
過積載のツッコミ処、へべれけ極まりない一部始終、そして火を噴く大排泄、紛ふことなきシリーズ最珍作。キャンプな楽しみはもう満腹なので、Ⅳがあれば正方向の面白さをキボンヌ。
裏二位は「若妻と熟女妻 絶頂のあへぎ声」(オーピー/監督:小川欽也)
現代ピンクの極北・小川欽也の伊豆映画に対抗し得るピンク映画界のアルティメット・ウェポンといへば、最早新田栄の温泉映画しか残されてはゐないやうな気がするのだが。切札中の切札・城定秀夫の新作もいいけれど、ヨロシク頼むよ、エクセス!
裏三位は「奴隷飼育 変態しやぶり牝」(オーピー/脚本・監督:山邦紀)
「ユニバーサル・ソルジャー リジェネレーション」(2009/米/監督・編集:ジョン・ハイアムズ/撮影監督:ピーター・ハイアムズ/出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ドルフ・ラングレン、他)をピンクに翻案してみせた、偉業は確かに買へもするものの。
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『悩殺ヒッチハイク』が1位ですか、私もこの映画、好きです。
ちょうど昨日、拙ブログに記事をアップしたところなので、よろしければ覗いてやってください。
シネロマン池袋では現在、上映中なんですよ(明日までですが‥‥笑)
そして1000本達成、おめでとうございます。
1000本って、何だか凄すぎて眩暈がします。それくらい凄いです!
>『悩殺ヒッチハイク』が1位ですか、私もこの映画、好きです
ここだけの話(何処だけだ)、残り数本かまで(2011年作を)残した時点で、
友松直之をナベが僅差でかはす図式が大まかに出来上がつてはゐたのですが、
完璧に度肝を抜かれました。抜かれ倒しました。
そちらにもお邪魔致しましたが、そもそも、今作殆ど騒がれてすらゐないやうな・・・・
まあいいか、他人様のことは。私はこの映画、本当に大好きです。
>そして
いやもう、催促したみたいで済みません >>しとるだろが
状況に屈し頓挫する覚悟もなくはなかつたのですが、
今は兎に角、この際行けるとこまで行きます。