真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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地下鉄連続レイプ 愛人狩り/ex.DMM戦
か行
/
2020年01月03日
「
地下鉄連続レイプ 愛人狩り
」(昭和63/制作:獅子プロダクション/提供:にっかつ/脚本・監督:片岡修二/プロデューサー:奥村幸士/企画:塩浦茂/撮影:下元哲/照明:白石宏明/編集:酒井正次/助監督:笠井雅裕・小原忠美・瀬々敬久/色彩計測:片山浩/撮影助手:小山田勝治・林誠/照明助手:シャオ・チャン、安部力・本橋義一・伊藤裕/車輌:JET・RAG、アラヤ・ロケーションサービス/ヘアー・メイク:木村たつ子/音楽:周知安/スチール:津田一郎/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/出演:岸加奈子・高橋めぐみ・瞳さやか・木村さやか・螢雪次朗・外波山文明・池島ゆたか・ジミー土田・中根徹・佐野和宏・鈴木幸嗣・渡剛敏・狼狂二・ジャジャ・桃太郎・石井一春・新井賢二・大杉漣・下元史朗)。出演者中、渡剛敏から新井賢二までは本篇クレジットのみ。
エンディング曲:竜童組「GET IT BACK」のイントロがメイン・テーマの、テレビ東洋の生放送番組「ニュースハッカー」の副調整室。クレジットが何もないのを見るに、恐らく、大絶賛無断使用か。さて措きADの中根徹が最初に飛び込み、中根徹が体を前に乗り出した陰から、ディレクターの野沢(下の名前はどうせ俊介/下元史朗)が現れる。キャスターの江藤倫子(岸)が伝へる最初の話題は、新宿で発生したホテトル嬢殺害事件、そんなのがトップかよ。嬢が所属してゐた風俗店「チェリー」の社長か店長(外波山)に、リポーターの嶋村圭(高橋)が突撃を敢行。取材を拒んだ外波山文明が暴れ始める修羅場を囲む、野次馬の輪の中からOLの黒崎悦子(瞳)が離れる。特筆すべきなのが、高橋めぐみの目に、未だ表情がある。再度閑話休題何某か技術的な要因でもあるのか、急に画がバカにハイキーになる地下鉄駅。悦子が乗車すると、第一作・第三作を踏襲する地下鉄視点のタイトル・イン。すると日が東から昇るが如く、パンクス四人組(後述)が悦子を輪姦。その場に乗り合はせた、写真週刊誌『シャッター』のカメラマン・轟(下の名前はどうせ渉/佐野和宏)は現場を激写。掲載された記事の信憑性を疑ふ警察が動かない一方、「ニュースハッカー」の視聴率低迷で尻に火の点いた野沢は、菊の御紋よりも先に俺の番組が事件を解決すると、明後日か一昨日に意気込む。
ここで改めてパンクス四人組の面子が、一列横並びに座つたファースト・カットの、画面右から岩淵達也(渡)。以降全員役名不詳でグラサンで顔も隠し正体不明の桃太郎、ハードコアパンクバンド「リップ・クリーム」(昭和59~1990)二代目Vo.のジャジャに、二度目の地下鉄連続レイプ隊となる狼狂二。ガッチガチの本職を含むだけあり、現場スチールをそのまゝ、所謂アー写に使へさうなくらゐサマになつてゐる。
配役残り、大杉漣はテレビ東洋のプロデューサー氏。ジミー土田はカメラマンの佐伯、となると下の名前は恭司か。池島ゆたかも会議に参加する、ポジション不明の「ニュースハッカー」スタッフ。螢雪次朗と鈴木幸嗣は、地下鉄連続レイプとは別のヤマで起動する、花粉症刑事と連れ。石井一春と新井賢二がもう一組のパンクスは兎も角、木村さやかが劇中三人目の被害者となると、悦子のお母さん役に該当する名前が、クレジットには載つてゐない格好に。
片岡修二昭和63年第三作は、初めてヤクザが一人も出て来ない―チェリーは怪しいが―「
地下鉄連続レイプ
」シリーズ最終第四作にして、最後の買取系ロマポ兼、大杉漣的には矢張り最後の量産型裸映画出演作と諸々盛り沢山。最後の量産型裸映画出演作とはいへ、絡みひとつ大杉漣がこなすでもないのだけれど。
視聴率ジャンキーと化した下元史朗の指揮下、地下鉄連続レイプ事件を官憲を出し抜いて追はうとする、限りなくワイド寄りなニュース・ショウ。社会派バイオレンスの傑作として今なほ評価の高い一作ながら、平成さへ終つたこの期に初見の節穴には、ワーキャー絶賛する熱狂は凡そ遠かつた。何はともあれ、ピンクと然程変らない上映時間に、小難しい主題なり、アッと驚く超展開を盛り込み過ぎ。報道の在り方を問ふ、終に平行線の域を出ない野沢と倫子の相克は、野沢の愛人の座を巡る倫子と圭の他愛ない女の争ひに寧ろ喰はれ、下元史朗のラスト台詞こそカッコいいものの、驚天動地の轟殺害事件に関しては、満足な形にすらなり損ねる。集団ならば兎も角実はいふほど連続してゐる訳では全くない、売りの“地下鉄連続レイプ”を都合二度繰り出す点は集大成の気概も窺はせるにせよ、ただでさへパッツンパッツンに尺が圧迫される中、女の裸の満足度は決してどころでなく高くない。冷えた個人主義に閉ぢこもる倫子を超絶のタイミングで切り取つた、鮮烈なラスト・ショットは確かに一撃必殺の威力を誇りつつ、衆人環視の地下鉄車内で、完全に枠の外に外れた連中が女を連続レイプする。そもそもか大概な荒唐無稽に、モーゼルなもうひとつの荒唐無稽を当てるクロスカウンターで上手いことシンプルな展開に捻じ込んだ、第三作「
制服狩り
」(昭和62/主演:速水舞)をシリーズの白眉に挙げるものである。
締めに俳優部の戦歴を整理すると、下元史朗・ジミー土田・外波山文明が如何にもプログラム・ピクチャーらしい、全四作皆勤を果たしてゐる。三作で準込みの主役を張る下元史朗は、「制服狩り」ではカメオに後退。逆に残り三作で端役の外波文が、濡れ場要員ながら「制服狩り」に於いて最たる大暴れを披露する。濡れ場要員×
下元史朗の片腕
×地下鉄連続レイプ隊と来て比較的大きな見せ場も設けられる今作と、何気に最も安定した功績を残すジミ土は、前述した狼狂二に五十音順で郷田和彦・渡剛敏共々、地下鉄連続レイプ隊を二度務めてゐる。
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