真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「ザッツ・ロマンポルノ 女神たちの微笑み」(昭和63/提供:にっかつ/製作:にっかつ撮影所/構成・監督:児玉高志/プロデューサー:三浦朗/企画:谷口公浩/編集:山田真司・島村泰司/ネガ編集:渡辺明子/記録:山田一美/録音:福島信雅/選曲:細井正次/リーレコ:河野競司/撮影:佐藤徹/照明:須賀一夫/ナレーション:林美雄/効果:協立音響/現像:IMAGICA)。提供に関しては事実上エクセスか。
 後藤大輔の処女作「ベッド・パートナー BED PARTNER」と共に日活ロマンポルノの最終番組となつた、金澤克次の「ラブ・ゲームは終はらない」の撮影現場風景にて開巻、一面の大量のポスター・スチールに被せられるタイトル・イン。
 小生が生まれるちやうど一年弱前に封切られた「団地妻 昼下がりの情事」(昭和46/監督:西村昭五郎/主演:白川和子)で幕を開き、「ベッド・パートナー」と「ラブ・ゲームは終はらない」で五月末に幕を閉ぢた二週間後に公開された、日活ロマンポルノのアンソロジー映画。数十本分のハイライトは、確かにイイとこ取りなだけあり羅列ながら九十五分といふ長尺をそれなりには楽しませて観させる。とはいへ、一応初つ端こそ「団地妻 昼下がりの情事」から始まるものの、以降は気が付くと紹介順がガンガン前後してゐたり、その割には観客を明確に誘導しようとする特定の映画観なり思惑が透けて見える訳ではなければ、当然十六年半の歴史の流れを忠実に追はういふ形でもない。裸比率も案外低く、ロマンポルノに対して郷愁を持たぬ身としては、然程どころでもなく魅力的なり効果的な構成とは思へない。当時の雰囲気を酌めば大人気ない難癖をつけるやうだが、TBSアナウンサーの林美雄による如何にもテレビ的な薄つぺらいナレーションでロマンポルノをあれこれ賛美しつつ、それならば何故、斯くも優れた素晴らしい映画群が、何時か人ならぬ時代の流れに押し流されたのかといつた敗因に対しては、一瞥だに呉れてゐない。先様はピンク映画とは違ふと鼻息を荒くしておいでのやうだが、売り言葉に買ひ言葉でいはせて貰へば、土壇場の正念場を何年続けてゐるのか判らないが、ピンクゴッド・小林悟の遺志を継g・・・継いでゐるのかどうかは兎も角、ピンク映画が五十周年も通過しそれでも今なほしぶとく存続する中、ロマンポルノ如き所詮は後から生まれて先に死んだ量産型裸映画の一類型に過ぎまい。個人的には、「オリオンの殺意より 情事の方程式」(昭和53/監督:根岸吉太郎)内の亜湖が、未完の小さな大女優・華沢レモンに酷似してゐる点が唯一突発的に琴線に触れた。

 締めは裸の女神たちに謝辞を述べ、今作中に登場するしないに関らず、ロマンポルノでデビューした女優の名前をダーッと網羅した上で、今作固有のクレジット。その為、亜希いずみや小川真実が何処に見切れてた?と一瞬戸惑はされる羽目になる。にっかつが新たなる挑戦を開始する旨を謳つて終るオーラスは、何なら今回の新版公開に際しては削つてみせるのも、昔の歌謡曲に歌はれたやうな屈折した優しさであるのかも知れない。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )