真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 予めお断りしておくと、フラグが立つのは小生の日程ね。

 こちらのエントリーの、続報である。
 プロジェク太上映の駅前ロマン―と一応パレス―のみしかピンクの小屋を持たない、シケた地方中枢都市・福岡市。既報通り、さういふ福岡市の(旧姓)親不孝通りに今のところ現存するミニシアター「シネテリエ天神」が、十月十二日(月曜日)を以て休館、といふ形で恐らく事実上は閉館する。因みに十日(土曜日)から三日間限定の最終番組は、今時のジャパニーズ・スラッシャー、あるいは血しぶき切株映画「吸血少女対少女フランケン」(2009/監督:友松直之・西村喜廣)。重ねて因みにこの手の映画はあまり得意ではないので、当方に観戦予定はない。そして間に三日挟んでの十月十六日に、案の定といふか矢張りといふか何が何だか何だかなあ、とでもいふか。さて措き相変らずプロジェク太上映なのだが、新しいピンクの小屋である「天神シネマ」がオープンする。何はともあれ、状況を鑑みれば絶対に目出度いことには変りない。といふ訳で、具体像が少しづつながら見えて来もした、そんな天神シネマに関するあれこれである。
 個人的なシネテリエ納めとして「アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ」を観に行つた折に拾つて来た、チラシにはかうある。
 “「気になるけど入れなかつた。」”
 “「入つてみたいけど恥づかしい。」”
 “「どんな映画か興味ある。」”
 “そんなあたなのための新しいオトナの映画館が”、
 “天神・親富孝通りにオープンします。”(以上、原文は珍かな)
 といふ、コンセプトを鵜呑みにしてみるならば、ライト・ユーザー向けのピンク映画上映館といふ仕様か。ある意味、画期的といへば画期的だ。続いて料金設定としては、三本立てで男性\1,500、女性\1,000。ひとまづ、女客を優遇して呼び込まうといふ姿勢は看て取れる。ピンクの小屋に女が来るのかよ、といふ異論に対しては、とりあへず天神シネマの場合、シネテリエ天神として既に勝手を知られてゐる、といふ点は案外と大きいのかも知れない。スクリーンを上辺として四角形の劇場の底辺部両側に出入り口があり、スクリーンから見て左側の扉を出て直ぐにはモギリのカウンターがあるといふ構造からしても、小屋側が余程野放しにでもしない限り、空間的には無茶をしようにもし辛いやうにも思へる。それが、いいことなのか悪いことなのか、よしんば悪いことではあつても必要なことであるのかは兎も角として。加へて、座席前後間の間隔も、映画を観ること以外には全く何も出来さうにないくらゐに狭い。映画館は映画を観る場所ではないのか、といふ話でもあるのかも知れないが、まあまあ、さういふ野暮はいひない。何をするのかつて?そりやあ決まつてる、ナニさ。ピンクスとして敢ていはう、映画館で映画を観る、そんなことは、女子供にでも出来る。色んな映画がある以上、色んな小屋があつたとていいではないか。
 出鱈目な方向に、筆の滑りゆくままになりかねない。料金に話を戻すと―話の途中だつたのかよ―男千五百円女千円といふのに続いて、番組は土曜替り―オープンの十六日が金曜日であるのは、当日が大安につき―といふ訳で毎土曜日に、初日割と称して\1,000。参考までに駅前は、木戸銭\1,600で金曜替りの番組のゆゑ、金曜日が\1,000となる。即ち、どうしても観たい映画があるけれどもあの魔界に足を踏み入れるには二の足を踏んでしまふ、といふ御仁に対しては、非金曜のウイークデーをお勧めしたい。天神に話を戻して問題といふか巨大に疑問なのは、日金の\1,000といふ夜割が適用されるのが、17時以降といふ点。・・・・それ、上映何時に終るのよ。日勤の勤め人が、仕事終りで小屋に寄つても三本立てを完走出来ないのか?大体福岡市で夕方の五時といふと、真冬でも未だ日が沈まんぞ。“毎週土曜はレイトショー実施”とあるのが、“オールナイト”ではなく“レイトショー”といふのも猛烈に気になる。ここから先は全く極々個人的な文字通りの私情になつてもしまふのは恐縮ではあるが、下手をすると、私はこの小屋では戦へない危険性がある。どうでもいい実情を明かすと、現況の当方の木端微塵な日常が如何なものかといへば、金曜日に、駅前ロマンでピンクを入れる。土曜日に、仕事終りに自宅できのふ観たピンクの感想を書く。週に唯一の休みである日曜日は、普通の時間に起きて八幡か小倉に遠征を展開。初回から突つ込みとんぼ返りで帰福すると、出来るだけウイークデーに持ち越さなくとも済むやうに、書けるだけその日観て来た分の感想を消化する、といふアホな様(ざま)になつてゐる。金曜に駅前でピンクを観ておきながら土曜にも天神に行くとその後のスケジュールが全く成立しないし、かといつて日曜を天神に費やせば今度は遠征に出られないのだ。

 等々と、机の上でゴチャゴチャいつてゐても仕方がない。番組見て、行きたい方に行けばいいではないか。といふことに強ひてして、八幡・北九州の番組は現時点に於いては把握出来ないので、発表済みの十月分の天神シネマはどうなつてゐるのかといふと。 10/16~10/23のオープニング番組は、「吸血少女対少女フランケン」から繋げて友松直之の、直近でいふと城定秀夫の「妖女伝説セイレーンX」や後藤大輔の「新・監禁逃亡」(二作とも2008)と同傾向の、新東宝製作による厳密には非ピンク映画「闇のまにまに 人妻・琴乃の不貞な妄想」(2009)に、林由美香特集といふことでいまおかしんじの「熟女・発情 タマしやぶり」(2004)が、「タマもの 突きまくられる熟女」といふ2008年新版にて。それに、林由美香特集と並んで滝田洋二郎特集といふことで「連続暴姦」(昭和58)。10/23~10/30の二週目は、「闇のまにまに」が二周目と、林由美香特集は女池充の「濃厚不倫 とられた女」(2004)、滝田洋二郎は「痴漢電車 下着検札」(昭和59)。ここまでの五本限りとはいへ、全作が新東宝で占められてゐる辺りが、気になるといへば気になる。そもそも、「吸血少女」から流すにしてもどうせ友松直之ならば、絶賛現在進行形でエクセスオーピー新東宝三社(五十音順)に跨いで活躍を続けてゐる上に、ここはカルト的人気も誇るのか誇らないのか、「コギャル喰ひ 大阪テレクラ編」(1997/大蔵映画)を持つて来て呉れよといふ感も強い。それと林由美香特集は、十一月第一週にももう一本引き続くらしい。この中では、新作の「闇のまにまに」は勿論として、女池充の一般公開時題「ビタースイート」を観た覚えがないか、あるいは完全に忘れてゐる。一方この間の駅前ロマンのラインナップは、十月第三週が関根和美の「人妻援交サイト 欲望のまゝに」(2004)。「濃厚不倫 とられた女」とバッティングする第四週は、渡邊元嗣の「痴漢電車 巨乳をもみもみ」(2000)。確信犯的な無茶苦茶をいふが、これら二作を天秤にかけて「ビタースイート」を選ぶシネフィルよりは、俺は迷はずナベの痴漢電車に突つ込むピンクスでありたいし、現にさうあるつもりだ。さうなると先にも述べた事情につき、一週遠征を潰さねば、天神シネマには中々に足が遠いといふことにもなりかねない。贅沢な悩みともいへるものの、思案に苦しむところではある。そして最も肝心なことは、筆の根も乾かぬ内にといふ気もせぬでははないが、そんな贅沢な悩みも悩み続ける為には、蓋の開いた天神シネマに、何がどうあれなるたけ通ひ続けなくてはならないといふことである。断言する、既に散見もされようが、シネテリエ天神最期の日には、必ずかういふ輩が現れる「昔はよく通つたもんです、いやあ残念ですネ」。貴様が通ひ続けてゐれば、シネテリエは潰れなかつたのだ。「昔は良かつた」そんなことは、クズにでもいへるんだぜ


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