真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「美人妻覚醒 破られた貞操」(2016/制作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/脚本・監督:関根和美/撮影:下元哲/照明:代田橋男/助監督:加藤義一/編集:有馬潜/監督助手:小関裕次郎/撮影助手:榎本靖/録音:シネキャビン/スチール:小櫃亘弘/選曲:山田案山子/仕上げ:東映ラボ・テック/効果:東京スクリーンサービス/出演:水稀みり・玉城マイ・緒川凛・津田篤・山本宗介・SHIN・なかみつせいじ・竹本泰志)。出演者中、SHINは本篇クレジットのみ。それと前作に引き続き、東スクが東ラボよりも後に来る謎位置が、この期に及んで目新しい。
 引越し荷物の未だ片付かないマンションの一室、北島あおい(水稀)が台所で洗ひもの。ベンチャー企業社長の夫・海斗(津田)との、海外ぽい新婚旅行のスナップ噛ませて、劇伴が鳴り始めるや昨夜の夫婦生活回想。海斗が戯れに持ち出したローターを、あおいは拒む。一週間の海外出張に向かふ海斗を送り出し、洗ひものに戻るあおいの後姿に重なるタイトル・イン。強迫的にゴミ出しに難癖をつけるファースト・カットは別に不要なやうにも思へつつ、あおいは隣人のマンション自治会長・寺田芳江(緒川)に、芳江のデイトレーダーの夫・正之(竹本)も交へてのディナーに招かれる。ワインに轟沈、寝落ちたあおいが目覚めると、芳江と正之は色んな意味で重量級の一戦の真最中。誘き寄せられるやうに覗いてみたあおいを、芳江が捕獲、あおいは二人に嬲られる。ところがあおいが再び目覚めたのは、自室のベッドの上。寺田家での一幕は、果たして実際に起こつた出来事なのかはたまた淫夢の類に過ぎないのか。出先から送られて来るLINEでは海斗に芳江との交際を勧められる一方、あおいは桃色方面に虚実が混濁する心身の不調に苦しむ。
 配役一部残り玉城マイは、あおいとは職場に入つて来た派遣といふ形で出会つた、海斗の妹・さやか。当然、さやかが兄貴をあおいに紹介したのが、二人の馴初め。玉城マイ自身に話を戻すと初参戦した加藤義一2015年第三作「絶頂家族 愛人だらけ」(脚本:後藤大輔/主演:めぐり)、実質三番手で何気な輝きを放つた俊英の再ピンクには大いに期待したものの、今回は目立つた戦果を残せず。山本宗介は、さやかの夫・前川樹。遣り取りが微妙に判別し難いが海斗の同級生か後輩で、海斗の会社には起業時より参加、目下は“片腕”と無頓着に連呼される副社長。なかみつせいじは前川に乞はれあおいが御馴染「アラン・ド」で落ち合ふ、さやかを喰ひ物にする街金業者とかいふ原口純一郎。徹頭徹尾単なるそこら辺の好色漢にしか見えない原口の造形は、後述する巧みに大化けする竹本泰志と対比すると尚更、結果論的には粗雑に映る決して小さくはない穴。
 関根和美の愛妻・亜希いずみの連続加勢は三作で途切れた、2016年関根和美、最終なのに僅か第二作。当サイト―恐らく―最後の悲願、ハンドレッド・関根和美は矢張り結構高い壁なのか。ルックスは昭和だがいいオッパイの主演女優を擁し、ヒロインがお隣にセクシュアルに苛まされる物語は、2011年第三作「援交強要 堕ちた人妻」(金沢勇大との共同脚本/主演:水沢真樹)に似た一作か、あるいは開巻のジョイトイ忌避を想起するに、最後にやらかすけれど川井健二名義の1995年第二作「ザ・夫婦交換 隣の若妻の味」(森満康巳との共同脚本/主演:浅野桃里)なり、吉行由実2015年第二作の革命的女子トークピンク「お昼の猥談 若妻の異常な性体験」(主演:奥田咲)といつた、性的に晩熟な新妻が一皮剝かれる定番作かと、一旦は思ひきや。芳江は特に理由もなく正之秘蔵のワインを、海斗は父親の遺言だとか訳の判らん方便で青汁を共々飲むことを拒み、あおいのみがそれらを摂取する。デジタル時代に突入し十分延びた尺を丁寧に使ひ、案外外堀は十全に埋められてゐなくもない、にせよ。黒服に装ひを変へ表情もソリッドに一変させた竹本泰志の突破力頼みで、出し抜けに撃ち抜かれる衝撃だか豪快な大風呂敷には度肝を抜かれた。トムとジェリー風に顎が地面に着くまで口は塞がらず、腰骨は原子レベルに砕かれる。映画全体の粒が極微であるだけに、一見ポカーンとかサラッと通り過ぎがちになつてしまひかねないのやも知れないが、大ッ概な破壊力。関名和美が、久し振りに本格的にやらかして呉れやがつた。深澤浩子とのコンビで何もないところで安定してゐる加藤義一や、全体この御仁は大丈夫なのかと荒木太郎が心配にすらなつて来る問題作を捻じ伏せ、2016年裏ランキングの最有力候補に躍り出る怪作である、愉快の快作でもいい。

 改めて本当に配役残りラストに飛び込んで来るSHINは、街頭ベンチでデイトレードの入門書を読んでゐたところ、俄かに起動したあおいから迫られ恐れをなして逃げる初老のサラリーマン。それ、

 戻してやらんのか

 といふのが、如何にも関根和美らしい無造作さで放置される巨大なツッコミ処。

 もうひとつ、あおいが芳江からダイエットに効果的とお裾分けされた青汁を、海斗に報告する件。一笑に付す海斗が投げた“信憑性w”の一言は、関根和美がさりげなく内角を抉つたキラーワード。
 衝撃の大風呂敷< ビリング順にさやか・芳江・海斗・樹・正之は全員秘密工作機関(笑)のメンバーで、海斗が打つた下手で全員に及んだ命の危機を回避すべく、次期首相候補の原口を失脚させる蜜罠にあおいを仕立てあげる


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 「演歌の女 乱れ慕情 艶景色」(2016/制作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/脚本・監督:関根和美/撮影:下元哲/照明:代田橋男/助監督:加藤義一/編集:有馬潜/音楽:石川真平/選曲:山田案山子/録音:シネキャビン/仕上げ:東映ラボ・テック/効果:東京スクリーンサービス/協力:広瀬寛巳・小関裕次郎・植田浩行/スチール:小櫃亘弘/主題歌『女のいばら道』作詞・作曲:石川真平、唄:きみと歩実/出演:きみと歩実・綾波ゆめ・緒川凛・那波隆史・竹本泰志・なかみつせいじ・山本宗介《友情出演》・泉正太郎)。出演者中、山本宗介のカメオ特記は本篇クレジットのみ。
 確か表札は事務所の“所”が抜けてた気がする、「小板橋音楽事務所」。担当マネージャー・板橋文夫(泉)を隣に伴つた、五年ぶりの新曲「女のいばら道」のリリースに漕ぎつけた演歌歌手の綺羅星アキ(きみと)に、自身もかつてはお座敷演歌の女王の異名を誇つた事務所社長の小板橋あやめ(緒川)は、一ヶ月以内に初回プレス分百枚を手売り出来なかつた場合の馘を宣告する。芸歴七年にして、通算売り上げが二曲で五百枚のアキにとつて過酷なミッションといふ以前に、最早ムッチムチも通り越し一種の貫禄さへ漂はせる、緒川凛の肉の圧力が堪らない。あやめが自分で淹れたコーヒーがクッソ不味いどうでもいい小ネタと、逃げるやうに出撃したアキと板橋が階段で軽く交錯する、アキの同期で事務所稼ぎ頭のアイドル・小嶋明日香(綾波)―とそのマネージャー・内山恵介(那波)―の顔見せ挿んでタイトル・イン。ところで内山恵介といふのは、山内惠介のアナグラム?後述する、さりげなくもなく見切れる亜希いずみがファンだつたりとかするのかな。
 当てもなくアキと板橋が店頭プロモーションさせて貰はうと飛び込んだCD屋の店長(なかみつ)は、代償にアキのオッパイを要求。脊髄反射で踵を返さうとする板橋に対し、覚悟を決めたアキは一旦呑むも、店長に手篭めにされかゝるアキの悲鳴を聞いて別室に飛び込んだ板橋は、結局店長を殴り倒してしまふ。二人で火に油を注いで途方に暮れる、そこら辺の公園。背中に何某かの撮影をする際には許可を求める旨の看板が見切れてゐるのは、開き直つたギャグなのかジワジワ来る。
 配役残り、最初の相手役には緒川凛が凄い迫力で飛び込んで来る竹本泰志は、小嶋明日香を愛人として公私に渉り面倒を見る音楽プロデューサー・テディ斉藤。オネエ言葉と、何でもかんでも引つ繰り返し識別に甚だ難い古典的なギョーカイ用語とを駆使する。山本宗介はラジオOPのディレクター・村木で、最終的に内山が小板橋音楽事務所を乗つ取つた形の「内山サウンドオフィス」、黙々とノートを叩いてゐるのは関根和美の愛妻・亜希いずみ。
 亜希いずみが連続加勢を何気に三作に伸ばす、関根和美2016年第一作。アバンで十全にレールを敷いた、瀬戸際の演歌歌手が、要は一度も浮かばれてゐないゆゑ才気ですらない起死回生の大逆転を目指す如何にも娯楽映画的な奮戦記は、盤石かに一旦は思へたものの。圧倒的な存在感を爆裂させる緒川凛と、一見ケンケンするばかりの単に若いだけの新顔二番手かと思ひきや、吐き捨てる「思ひだしたくもない」の辺りから結構本格派のエモーションをドカンドカン放り込んで来る綾波ゆめ。最終的に物語的には等閑視されつつも、予想外の健闘を見せる綾波ゆめは殊に光り、適材適所の男優部にも穴はない。対して、手も足も出せなかつた無残な敗戦から棚牡丹なラストに至るまで、よくよく考へてみると明日香を赦した以外にはこれといつて何するでもない、本来ヒロインの筈のアキが終始どうにも弱い。スッカスカのオケと詞曲とも類型的な楽曲に、クレジット時に流れる白々しいPV。何れも十二分に致命傷たるあれやこれやも、きみと歩実の不安定な音程の前には全てケシ飛ぶ主題歌が、チャーミングとでもしかこの際いひやうもなく正しく止めを刺す。演歌ピンクと新奇な機軸を狙つたかに見せて、邪推するまでもなく簡便に撮影可能な方便に始終が支配された節が窺へる、良くなくも悪くも関根和美らしい“(´・ω・`)”な表情にさせられる一作。きみと歩実の髪に埋もれ、“終”のエンド・マークが殆ど見えない間抜けなラスト・ショットが、逆の意味で完璧に一篇を締め括る。


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 「特務課の罠 いたぶり牝囚人」(2015/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/脚本・監督:関根和美/撮影:下元哲/照明:代田橋男/助監督:吉行良介/スチール:小櫃亘弘/編集:有馬潜/録音:シネキャビン/演出助手:植田浩行/撮影助手:大友徳三/照明助手:榎本靖・堀内蔵人/選曲:山田案山子/効果:東京スクリーンサービス/仕上げ:東映ラボ・テック/出演:きみと歩実・原美織・舞島環・なかみつせいじ・泉正太郎・山本宗介・綾見ひなの・美波あみな・牧村耕次)。
 警視庁開巻、廊下を左に曲がつてきみと歩実(ex.きみの歩美/微妙な改名は事務所移籍の由)がフレーム・インすると、四作連続出演した2012年第二作「若未亡人 うるむ肉壺」(主演:東尾真子)以来久々となる泉正太郎のモノローグ起動。テロ等重大犯罪の捜査のために新設された特務課、話者・前野孝則(泉)の後輩刑事・小嶋彩乃(きみと)の職務は、多忙を極める特務課統括部長・山崎和豊(牧村)のスケジュール管理。・・・・は?何が刑事か、秘書ぢやねえかといふ早速流石のツッコミ処に関しては、後々現に山崎の口から秘書と語られる。ともあれ、周囲には内緒で同棲生活に突入した彩乃と前野の濡れ場初戦。どうにも泉正太郎のメソッドには微妙な仰々しさが鼻につきこそすれ、然様な正しく正真正銘の些末は等閑視の遥か彼方へとさて措き、適度に引き締まつた、きみと歩実のプリップリの肢体が全く以て眼福眼福。十全に完遂した翌日、彩乃と前野が早朝の来訪者に文字通り叩き起こされたかと思ふと、家に来たどころか上がり込んで来たのは通称麻取こと厚生労働省地方厚生局麻薬取締部の捜査官二名(演出部動員か)。わざと不自然なカットで多分吉行良介が彩乃のバッグの中から粉包みを発見、二人ともお縄を頂戴してのタイトル・イン。明けて何処まで足を延ばしたのか、スコーンと山の中、姥見女子刑務所。即日釈放された前野に対し、綾乃は不自然極まりなくも五年の実刑。同房の、オレオレ詐欺の尻尾切り―三度目―で七年喰らつた西山亜実(原)は所長の平田洋介(なかみつ)と関係を持ち、平田が調達した嗜好品その他の劇中用語ママで禁制品を高値で売り捌く、獄中闇市を中締めてゐた。臭い飯を食つた経験がないゆゑよく判らないのだが、菓子一箱に数千円支払ふ、自由になる金を囚人が持てるものなのか?
 配役残りデブギャル―実も蓋もない―の舞島環は、亜実に闇市の実権を奪はれた武藤由紀、この人が仕出かしたのは保険金目当てでの七人毒殺、死刑囚?綾見ひなのと美波あみなはちんたらしたリンチで亜実からシノギを奪ひ返す、由紀の腰巾着・沢田理沙と佐野みゆう。理沙が―あるいは理沙も―太い方でみゆうが長い方に一見見えつつ、恐らく美波あみなは三人以外の人間と並べてみると普通の背丈。特に誰と何する訳でもないものの、二人とも一応脱ぐ有難味は薄い豪華布陣。デウス・エクス・マキナ臭を爆裂させる山本宗介は、結局自力では大したも何も仕事らしい仕事をしちやゐない前野が頼る、学生時代からの付き合ひの特務課ギーク・三橋公平。牧村耕次共々、絡みの恩恵には与れず。
 いきなり藪の中に突入する第一作「性犯罪捜査 暴姦の魔手」(2008)、持ち直した第二作「性犯罪捜査II 淫欲のゑじき」(2009)、改めて爆散する第三作「性犯罪捜査Ⅲ 秘芯を濡らす牙」(2011)からなる「性犯罪捜査」シリーズ(主演は全て倖田李梨)と類似した企画なのかと思ひきや、単なるといふと語弊もあらうが純然たる女囚映画であつた関根和美2015年第四作。公開題に同じ“特務課”を冠するとはいへ、国沢☆実の逆説的にリアルな革命映画「特務課の女豹 からみつく陰謀」(2014/主演:伊藤りな)とも無論掠りもしない。
 お話の中身としては無実の罪でブチ込まれた女刑事が、不屈の闘志で自由と正義を目指す。十分増えた尺を持て余すでなければ、かといつて有効活用するでもなく。とりたてて特筆すべき点も見当たらない展開は、水の如く流れ過ぎて行くに過ぎなくもない。寧ろ、何時か何処かで観たやうな期待は別にしないにせよ観客の予想を一切裏切らぬある意味堅実な類型性を、それはそれとして量産型娯楽映画の然るべき姿とこの際受け止めるべきでさへあるのであらうか。囚人服が揃ひのスエットの上下でしかない安普請に関しては、いつそチャームポイントと微笑ましくスルーする方向で。一方裸映画的には、三番手以降が三人足しても二番手に遠く及ばない藪蛇な頭数ではありながら、逆からいへばきみと歩実と、正調美少女の原美織の2トップの盤石ぶりは一層際立つ。平田に凌辱された彩乃が何だかんだで二連戦を戦ふ、きみと歩実と原美織が咲かせる大輪の百合は今作最大最強の見せ場。ただ娑婆に戻つた彩乃が自宅に帰還したところで尺が満ち、アバンと全く変り映えがしないにしても締めの濡れ場が設けられなかつたのは、七十分も擁しておいて明確なペース配分のミスなのではあるまいかとも思へる。


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 「痴漢やらせ電車」(昭和61/製作:小川企画プロダクション/提供:オーピー映画/監督:関根和美/脚本:ミスター・チャン、瀬下孝志/撮影:大塚章弘/編集:金子編集室/録音:ニューメグロスタジオ/効果:協立音響/現像:東映化学/スチール:矢沢和彦/出演:風原美紀・水上乱・水野さおり・林桃子・武藤樹一郎・兼石耕平・石部金吉)。見慣れぬ名前ばかりのクレジットに爆死する。紀野正人(a.k.a.創優和)の名前を見切つたものの、肩書不明。出演者中林桃子が、ポスターには林もも子。同じく照明が、ポスターでは本篇クレジットとは別の名前の内田清、変名をカミングアウトしたのか?実際のクレジット通りの“配給:大蔵映画”ではなくオーピー映画提供としたのは、七色と金の王冠ではない、白黒OP開巻に従つた。
 小川企画製作であつた点に軽く驚きつつ、爆乳をブルンブルンさせながら亭主に適当なアームロックを極めた、元悪役プロレスラー・プラッシー道代(水上)が、「さあ、寝ようか」とスッキリしてさつさと寝る。夫の浩一(武藤)は配偶者にプロレス技をかけた上でないと眠れない妻の性癖に加へ、果てしなく長く残る自宅マンションのローンに溜息をつく。気を取り直し寝てからが楽しいと、道代の体に手を伸ばした浩一が、放屁を喰らふとプラッシー道代の現役時代の写真と電車を抜いて、地の画に埋もれがちなタイトル・イン。通勤電車の車中、スカートの下から抜かれるに止(とど)まる、その癖一番美人の四番手を痴漢した浩一は、隣から割り込んで来た二浪の予備校生・飯塚隆(兼石)共々林桃子にトッ捕まる。時代の大らかさか、交番に突き出される程度で済んだ浩一に、隆は痴漢の共同戦線を申し出る。
 配役残りポスターはメインで飾る水野さおりは、浩一・隆がコンビで初めて狙ふセーラー服。鴨葱とホテルに連れ込んだ二人に、事後一人頭二万五千円を請求する。懲りもせず浩一は隆を、金曜夜の公園での覗きに誘ふ。何気に、総本家の新田栄をしても達成は稀な、“痴漢と覗き”を完成せしめてゐるのが麗しい。風原美紀と石部金吉(a.k.a.清水大敬)がそこに現れる、アルプス女子大二年の村上アツコと、パーティーで知り合つたアツコを持ち帰つたコピーライター。黙つて見てゐるどころか、浩一と隆はアツコの下半身に手を伸ばす大胆介入を敢行。ところが途中で何かに気付いた隆は、非現実的に迂闊な石部金吉に見付かつてもゐないのに一人その場を離脱する。勝手に姿を消した隆を追つた浩一は落として行つた定期入れに入つてゐた写真で、アツコが隆の片想ひの相手であつたことを知る。
 新東宝での処女作から二年空いた通算第二作にして昭和61年第一作は、関根和美の大蔵デビュー作。以来今に至るまで、川井健二名義込みで大蔵・オーピー一筋で来たものかと思ひきや、jmdbによると一旦ピンクを離れる直前に、一本エクセス作―「性感エアロビクス くひこみ」(1989)―があるらしい、超絶観るなり見たい。何はともあれ、黙つて待つてゐればその内来る新作は現在進行形として勿論重要だが、かういふ凄く古い映画が何かの弾みで観られるのも全然嬉しい。
 映画の中身に話を戻すと、平凡なダメリーマンに過ぎない主人公の嫁が、わざわざ元悪役女子プロレスラーである必然性が果たして何処に見出せるのか欠片も判らない道代の造形。浩一が人に会ふ度に一々持ち出す割に、終に何ひとつ結実しない星座談議。それこそ三十年前ともなると関根和美も相当若かつた筈なのに、今と全く変らない鮮やかなほどの藪蛇具合には、色んな意味で眩暈がして、もといクラクラ来る。ともいへ、グダグダと濡れ場を連ねるに終始するかに一旦思はせ、後半物語本体は浩一が隆の恋路のために一肌脱ぐ方向で意外と正方向に展開。百年の恋が冷めた隆が、モラトリアムな電車痴漢からも足を洗ひ前を向いて歩き始める結構爽やかなラストは、紛ふことなき案外ストレートな青春映画。何となく、いい映画を観た気分にさせられなくもない一作、あくまで何となく。何はさて措き一応とりあへず、隆に抱かれるアツコが「カズヨシ、間違へた」、「マサオ、ぢやない!」、「アキラ、でもない」とヤリマン女の本性を現し目下自分を抱く男の名前に執拗に辿り着かないカットなども、関根和美らしからぬテンポのよさが光る。


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 「桃尻娘のエッチな大冒険」(2015/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/脚本・監督:関根和美/撮影:下元哲/照明:代田橋男/助監督:吉行良介/スチール:小櫃亘弘/編集:有馬潜/録音:シネキャビン/監督助手:大竹修平/撮影助手:大友徳三/照明助手:榎本靖/選曲:山田案山子/効果:東京スクリーンサービス/仕上げ:東映ラボ・テック/出演:青山未来・緒川凛・円城ひとみ・竹本泰志・柳東史・山本宗介・なかみつせいじ)。吉行良介のピンク映画参加は、2005年第三作「しつとり熟女 三十路の昼下がり」(主演:松雪令奈)以来と結構な久方振り。
 適当に表から撮つた画に音声情報のみで、粗相ばかりのヒロインが、スーパーのアルバイト(店長の声は吉行良介?)を馘になる。学費込みの一切を自力でどうにかする条件で上京した、女子大生の真木紗彩(青山)が家賃を滞納する自宅にトボトボ帰り着くと、正しく死人に鞭打ち、三百万の借金をこさへた父親が蒸発したとの母親からの電話(電話越しの声は多分亜希いずみ/a.k.a.関根靖子)を着弾する。無責任にも債権者に娘の連絡先を教へたとの母電話を切り、東北弁で「わたすが死にて」と紗彩が薄暗い自室でベッドに倒れ込みタイトル・イン。タイトル明けるやデリヘル「ゴールデンメンバー」事務所、紗彩は社長・佐伯浩輔(なかみつ)に当然軽く脱がされる面接を受ける。
 配役残り、贅沢にも二番手で大蔵初上陸の緒川凛は、源氏名はクリステル―紗彩が頂戴する適当な源氏名はラブ―の先輩デリ嬢・横山愛美。この人のデリは副業で、本業はフリーの公認会計士といふ設定の欠片も意味もなさは、幾ら何でもあまりにも関根和美過ぎて流石に吃驚する。関根組初登場の山本宗介は、出会ひは客としての愛美彼氏・高瀬次男、加藤義一2015年第二作「巨乳狩人 幻妖の微笑」(脚本:筆鬼一=鎌田一利・加藤義一/主演:めぐり)とまるで同じやうな造形の、イケメンを笠に着た性質の悪いヒモ。一方こちらは何時ものサーモン鮭山のやうな造形の竹本泰志は、紗彩の初陣客・後藤健一。いんらんな女神たち第一弾「いんらんな女神たち」(2014/監督:金沢勇大・中川大資・矢野泰寛=北川帯寛・江尻大)・関根和美2014年第三作「奥様は18歳 超どきどき保健室」(脚本:金沢勇大/主演:きみの歩美)に続きぼちぼちしたペースでピンク第三戦の円城ひとみは、浩輔の妻・妙子。妙子が元泡姫で、浩輔が元文学青年のヒモといふ関係。何と十六年ぶりの関根組帰還後三作連続参戦の柳東史は、紗彩を酷い目に遭はせる変態客・山崎徹。
 サイケデリックではない方のNSP(ニュー・関根和美・ピンク)こと関根和美2015年第三作は、前作「不倫美姉妹 白衣のあへぎ」(主演:倉沢いちは/ex.菅野いちは)に於いて主演女優を喰ふ輝きを披露した、青山未来を主演に据ゑた待望作。ところがこれが、まんじりともせずに最後まで観通せた己が不思議になるほどの、漫然とした出来栄え。青山未来が一体どんな大冒険を繰り広げて呉れるものかと思ひきや、竹本泰志相手に水揚げ。これ見よがしに悪い男に騙される緒川凛挿んで、柳東史に痛い目に遭つた挙句に家賃を滞納した家を閉め出される。転がり込んだ先で夫婦生活をアテられたなかみつせいじと遂に関係を持ちつつ、手切金を渡され何となく放逐、されるだけのロケーションから貧しい粒の小さな物語は、腰骨を砕く破壊力にも欠く始末。とりあへず借金苦を発端に不用意にウェットな人情ドラマが、青山未来に眉根に皺を寄せさせるばかりで、若々しい魅力を削ぐ方向にしか概ね機能してゐないのが厳しい。加へて、そんなショッパイ映画の中身もさて措かせる勢ひで、兎にも角にも暗い!何がといつてお話よりも画面が。山本宗介と二戦戦ふ緒川凛は、的確に当てられる照明に辛うじて救はれぬでもないものの、隣で家を閉め出された紗彩が寝てゐるにも関らず、浩輔主導で夫婦生活をオッ始める佐伯家寝室が、カメラ位置が円城ひとみ視点で左から右に変るまでがどうしやうもなく暗い。デジタル・オーピーも公開順に十九作目にして、それなりに経験値も蓄積されてゐよう筈なのに、ここまで暗くすると小屋で上映しても何も見えない見本かと見紛ふくらゐに暗い。キャッキャキャッキャ青山未来が弾ける、ナベや絶好調時の国沢実とも互角に殴り合へるキュートな一篇を期待したのは当方の勝手にせよ、キャッチ―な公開題も清々しく期待を裏切る、全方位的に改めてあまりにも関根和美過ぎる一作ではある。

 ひとつ気になるのが、当然九州着弾するのはまだ当分先の関根和美次作ことNNSP(ネクスト・ニュー・関根和美・ピンク)の助監督も、今作同様吉行良介である件。もしかして、金沢勇大は足を洗つたのか?


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 「不倫美姉妹 白衣のあへぎ」(2015/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/脚本・監督:関根和美/撮影:下元哲/照明:代田橋男/助監督:金沢勇大/スチール:小櫃亘弘/録音:シネキャビン/編集:有馬潜/監督助手:原口大輝/撮影助手:浅倉茉里子/照明助手:榎本靖/選曲:山田案山子/効果:東京スクリーンサービス/仕上げ:東映ラボ・テック/出演:倉沢いちは・青山未来・山口真里・星野ゆず・竹本泰志・なかみつせいじ・関根靖子・Shin Battlebabes・柳東史)。出演者中、関根靖子とShin Battlebabesは本篇クレジットのみ。
 内科・小児科の滝沢クリニック、イントロダクションの診察風景に、患者役として関根和美愛妻の亜希いずみが飛び込んで来る。のは想定の範囲内ともいへ、エンド・クレジットまで観通した上で名義が関根靖子といふのは地味に重要なトピック。関根和美が本名であつた場合関根靖子とは恐らく亜希いずみの本名で、旧姓か高橋靖子としての出演歴は過去にある一方、関根靖子での映画出演は初めてなのではなからうか。ともあれ、関根さんで午前の診察は終り。院長の滝沢匡史(竹本)に促された看護師の白石冴子(倉沢)が休憩中の札を表に出すと、デジタル化の有難味を微塵も感じさせぬ味気ないフォントによるタイトル・イン。タイトル明けるや、自宅開業医の滝沢が鬼もとい妻の耳を恐れながらも、大胆不敵に冴子と不倫の情事。事後固辞する冴子を遮り、滝沢は何時も通りに諭吉を二枚切る。片や劇中呼称されない某医大、冴子の妹で医大生のリエ(青山)が、毎日弁当を作る所属ゼミ専任講師の三輪淳(柳)に、婦人科の沢田か澤田教授(佐和田かも/一切登場せず)にコネクションを繋げて呉れるやうを求める。リエは三輪をサポートする、研究医を志望してゐた。
 配役残りなかみつせいじは、姉が姉なら妹も妹、リエの不倫相手・戸田雅之。次に会ふ日の約束を交し際の、目の泳がせぶりが絶品。待ち合はせた店でリエを完膚なきまでに迎撃する星野ゆずは、戸田からの別れを告げる戸田商事秘書課第一秘書・渡辺沙羅。盆暮れでもないのに豪華四本柱体制で、星野ゆずの絡みはなかみつせいじが二連戦を戦ふ。この人は完全に風間今日子の跡目を継いだんだな、と思はせるに足るオッパイのみならずオッカナイ貫禄を披露する山口真里は、滝沢の妻・友香、正確には匡史が滝沢家の入り婿。平社員と比べると出世したShin Battlebabesは、風邪に臥せる三輪の所望で、リエに最新データのプリントアウトを三輪宅まで届けるミッションを託ける助教授。リエを三輪家に向かはせる段取りに免じて、データ送ればよくね?といふ今時子供の目も欺けまいツッコミ処に関してはこの際さて措くべきだ。
 発表ペースに連動し快調に九州着弾した―といつてもまあ、七ヶ月強落ちてはゐるのだが―関根和美2015年第二作は、第四戦にして倉沢いちは(ex.菅野いちは/改名は事務所移籍の由)引退作。銘々が不倫関係に悩んだり苦しんだりしつつも、互ひに支へ合ふ姉妹の物語。開巻から一貫して、無謀な大回想が火を噴くことがなければ、無造作な魔展開が卓袱台を引つ繰り返すこともなく。一体何処で羽目を外すのか、何時力尽きて派手に仕出かすのかと別の意味で固唾を呑んでゐたところ、最後の最後まで綺麗に正攻法で駆け抜けてみせたのには変な意味で驚いた。とりたてて面白くて素晴らしくて仕方がない訳でもないものの、強ひて論ふならば初陣にして堂々と締めの濡れ場も務めあげる、唯一第二戦を戦ふ二番手と格の違ひを見せつける山口真里の陰に霞み、主演女優の絡みがしかも序盤の一度きりしかないアンバランスくらゐしか粗らしい粗も見当たらない。戸田との逢瀬をゼミのコンパと偽り遅くに出かけるリエが、閉じた居間のドアの陰で―嘘をついて―「ゴメンナサイ><」と冴子に手を合はせる、らしからぬほどに瑞々しいカット。普段は慎ましやかな地力を覗かせた関根和美に加へ、造作だけ見れば必ずしも美人でも美少女でもないにせよ、それ以上にキュートなエモーションを有する青山未来の輝きが強く印象に残つた。主演に出世した関根和美次作が今から凄く楽しみ、早く来ないかな。濡れ場に入ると何気に気前よく大股を開き続けてみせるのも、さりげなく重要なポイント。


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 「黒下着の女 欲情の赤い蜜」(2015/制作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/脚本・監督:関根和美/撮影:下元哲/照明:代田橋男/助監督:茨城空/編集:有馬潜/録音:シネキャビン/仕上:東映ラボ・テック/撮影助手:浅倉茉里子/照明助手:北村哲夫/監督助手:桜庭泰時・原口大輝/選曲:山田案山子/スチール:小櫃亘弘/出演:きみの歩美・桜木郁・酒井あずさ・なかみつせいじ・竹本泰志・柳東史・牧村耕次)。チーフ助監督は、誰の変名なんだ。
 水門近く、よく晴れた絶好の陽気と開けたロケーションには不似合ひな、馬鹿デカいサングラスと黒尽くめの衣装でキメたきみの歩美が佇む。リエ(きみの)が婚約者のヒロキ(なかみつ)に「ぼちぼち一緒に寝ない?」と膳を据ゑると、未だ容態の安定しないリエをヒロキは慮りつつも結局婚前交渉、水は低きに流れる。ちやんと前後にフェードを入れる想起明け、画面奥に歩み行くリエの後ろ姿がスロー・モーションから、やがて止まつてタイトル・イン。一ヶ月前、階段から落ち記憶喪失になつたリエは、ヒロキと暮らしてゐた。時折キーンといふ耳鳴りとともに、リエは断片的なフラッシュバックに囚はれる。茶髪のウィッグをつけた、まるで商売女のやうな扮装のリエと背格好の全く似通つた女が、「パラダイスプロダクション」なる見るからに怪しげな一室に消える。ヒロキからリエの特徴なりスナップを記録した、タブレットを見せられてもリエはまるで釈然としない中、フラッシュバックは進行する。後ろにムライ(牧村)を従はせた妖艶な美女・ゆりえ(酒井)に、ウィッグの女・リリー(きみの歩美の二役)はブルーホテルの1190号室に向かはされる。そこでリリーは組織の客(竹本)に抱かれ、ハメ撮り写真を撮られた。
 配役残り柳東史は、街でリリーの姿を見つけ後を追つたリエが、敷居を跨ぐ会員制としか表に出されてゐない店のバーテン。初見では単なるその他カウンター客要員かと思はせた、三作目にして目下全作二番手の桜木郁は―リリーの好物である―タンカレイのストレートを頼んだリエを捕まへる、リリーの妹分・サトミ。ここで、2010年第三作「家政婦が見た痴態 お願ひ汚して」(脚本:関根和美・新居あゆみ/主演:鈴木ミント)以来の関根組となる酒井あずさも普通に久し振りなのだが、てつきり初参戦かと思ひきや、柳東史に至つては1999年第二作「喪服妻 うなじの残り香」(主演:岸加奈子/未見)以来相当の御無沙汰後の大復帰といふトピックには、調べてみて少なからず驚いた。
 フロンティア・リバイブが遂に現在進行形のニュー・関根和美・ピンクことNSPに突入、ハンドレッド・関根和美第八十戦は2015年第一作にして、当然デジタル・オーピー初陣。デジタル・オーピー観戦もかれこれ八作目、使用する機材か仕上げの塩梅なのか、画質が結構まちまちなのが過渡期ぶりを窺はせる。といふかよくよく思ひ返してみるならば、フィルム時代も組毎に結構画調に差なり違ひはあつた。今回今作、屋内は暗めの画も安定する反面、そこそこ設けられる屋外ショットが、根本的に矛盾した物言ひにもならうがかつてのキネコ感を漂はせるのが屈折して感興深い。
 物語的には記憶を失つた女が徐々に辿り着く、穏やかではない過去。何が起こるでなくリエが外出し、プラプラ歩いて適当に帰つて来る。デジタル化に伴ひ十分延びた尺を、絡みは兎も角さうでない繋ぎのカットもゆつたり長めに回すこと―だけ―で乗り切る。グルッと一周して寧ろ大胆な戦略はこの際さて措くとして、序盤は緩やかに、中盤以降はサトミによる加速も受けリエが急速に取り戻して行くリリーの過去が、敵がコールガールだけに何れも濡れ場に直結するゆゑ、酒井あずさの裸をもう少し観たかつた心残りさへ除けば、裸映画的には過不足なく安定する。画面手前のヒロキと、その背後でリリーを手籠めにするムライの背中越しに、要は間に男二人を挟んでなほ、きみの歩美のオッパイを的確に抜くショットには、何気に超絶の技術に感服した。他方、リエがサトミと再会する件の呼び水となる、リエが目撃したリリー?のやうな女。そもそも、リリーが記憶を失つた顛末。始終の重要な要素を豪快にスッ飛ばしてのけるのは、如何にも関根和美らしいシレッとした剛腕。ともあれ実は現状最強クラスの男優部布陣にも支へられ、きみの歩美と桜木郁のプリップリした肢体を尺も延びた分タップリと堪能するには格好の一作。関根和美がデジタル初戦のタイミングで、何でまた斯様に柄にもなければ逃げ場もないノワールな題材を選択したのか、あまりピンとは来ないけれど。


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 「ヴァージン日記 指の戯れ」(1993/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/監督:川井健二/脚本:ミスター・チャン、佐々木優/撮影:伊東英男/照明:秋山和夫/音楽:リハビリテーションズ/編集:フィルム・クラフト/監督補:一ノ瀬教一/助監督:佐々木優/照明助手:加藤義一/効果:東京スクリーンサービス/出演:林由美香・杉原みさお・浅野桃里・飯島大介《友情出演》・高田磨友子・木下雅之・関双葉《子役》・小竹林早雲)。出演者中、関双葉は本篇クレジットのみ。地の画に埋もれ、クレジット後半が殆ど読めない。“配給:大蔵映画”ではなくオーピー映画提供としたのは、白黒のOP開巻に従つた。
 新宿のビル群を都庁まで逆パンしたのち、足元の公園、汚し過ぎたルンペンの小竹林早雲を抜いてタイトル・イン。これ今作が小竹林早雲の銀幕初陣かと思ひきや、よくよく調べてみるとテレビに軸足を移した関根和美が一旦ピンクを離れる以前既に付き合ひのある、小竹林義一といふのが前名義のやうだ。
 皆川耕作(小竹林)は―バブル景気が―いきなりポンと気楽な上司(川井健二=関根和美)に、二十年勤め上げた会社を易々とリストラされる。皆川が失職を浪費癖のある妻・雪子(杉原)にどうしても打ち明けられない中、二番手一度目の絡みをひとまづ消化。仕方なく何事もなさげに出勤、自販機で何か飲むかとした皆川は、カッパライ(多分一ノ瀬教一)に財布を奪はれる。カッパライを追つた皆川が迷いひ込んだ廃工場には、ミステリアスな少女が。物騒にも血塗れのナイフを持つた美咲(林)は皆川に、過去を殺して来たと語る。
 配役残り関双葉は、開巻身を落とした皆川に食べ物を差し出す男児、もしかして関根和美御子息?ラストに見切れる男児の父親はカッパライと二役、雪子の間男と三役かも。美咲の故郷は六ヶ所村、母親(全く出て来ない)は再処理施設建設現場の人夫(飯島)と再婚、しておきながら別の人夫と家を出る。その後中学時代、義父に犯された美咲は美咲も家出。五年後再会した飯島大介を殺したといふのが、“過去を殺して来た”所以。皆川は美咲とともに、六ヶ所村を目指す。前作「SEXライフ 熱い夜に抱かれて」に於ける、仮称摩天楼に来店した関根和美の連れと背格好が似てゐることから、美咲―と皆川―がヒッチハイクする田舎の外車乗りは、恐らく佐々木優。浅野桃里と木下雅之は、空巣狙ひで美咲と皆川が南酒々井の一軒家に忍び込んでみたところ、情事の真最中の津田夫人―津田一郎の表札がそのまゝかゝつてゐる―と不倫相手。力技であると同時に、なかなかスマートな三番手の捻じ込みやうではある。問題が、関根和美の愛妻・亜希いずみ別名義の高田磨友子。事後に美咲と皆川が飛び込んだ修羅場の最中(さなか)、津田家を来訪する新興宗教「幸福を祈る光」の壺売りババア、純然たる木に竹を接ぎ要員でしかない。それとオーラスには、ポン上司が再び登場。ところで京都は本町館の公式ブログが出演者に一ノ瀬教一、ミスター・チャン、佐々木優の名前も挙げてゐる点と、共同脚本の先の名前に来てゐるのを窺ふに、どうもミスター・チャンは川井健二の変名ではなからうかと思はれる。
 川井健二1993年第二作は、リストラ男が“過去を殺して来た”少女と出会ふ、粒の小さなロード・ムービー。要は手慣れたズベ公に情けないオッサンが手玉に取られる、実も蓋もない物語は男優部主役と、全般的な演出のレス・ザン・キレにも遮られ最終的にはモッサリした仕上がりともいへ、突発的に時空を超えた輝きを刻み込むのは二人が津田家に突入する前段、神社の件。カッパライにやられた皆川はオケラ、美咲が自販機荒らしやスリで現金を調達しつつの道程。降つて湧いた状況に浮き足立つ皆川に対し、いはく六ヶ所村を飛び出して以来長くさういふ出たとこ勝負を潜り抜けて来た美咲は、皆川が心ときめかす一種の非日常が、自分にとつては現実であると諭す。その際の、二十近いと思しき歳の差の割に、まるで小竹林早雲が子供で林由美香が大人にさへ見える、三十路前のリファイン後を思はせる、林由美香の冴えた美しさが強く胸に残つた。
 備忘録< オーラスは案の定この人もポンされた関根和美が、廃工場にて美咲と出会ふ   >皆川は保険解約金を持ち逃げされ晴れてルンペンに


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 「SEXライフ 熱い夜に抱かれて」(1993/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/監督:川井健二/脚本:ミスター・チャン、佐々木優/撮影:伊東英男/照明:秋山和夫/音楽:リハビリテーションズ/編集:フィルム・クラフト/監督補:一ノ瀬教一/撮影助手:佐久間栄一/照明助手:春川博/助監督:佐々木優・井戸田秀行/効果:東京スクリーンサービス/出演:林由美香・伊藤清美・桜井あつみ・野澤明弘・牧村耕次・高田磨友子・三条まゆみ《友情出演》)。“配給:大蔵映画”ではなくオーピー映画提供としたのは、白黒のOP開巻に従つた。
 文字盤が甚だ見辛いデザインのおむすび型の目覚まし時計、なかなか止めあぐねる女の手の傍らから、伸びて来た男の手が止める。両親とは早くに死に別れた武井か武居か竹井か竹居兄妹の二人暮らし、夜の仕事で妹を起こしこれから寝る兄・悟郎(野澤)を、短大生の妹・梨沙(林)は寝惚けてゐるのか何処まで本気なのかパンティの尻を見せ誘惑する。当然悟郎は完無視、不貞起きした梨沙の仏頂面を押さへてタイトル・イン、ノジーを関根組で観るのは初めてだ。
 悟郎に悟られぬやうコンドームを手荷物に忍ばせ出撃した梨沙は、ロング・ショットの停留所にてバスを待つ。事そこに至る仔細はスッ飛ばした上で、ヌード撮影に応じた梨沙がハンサムなカメラマン・若宮トオル(牧村)と寝る絡み初戦―裸だけならばオープニング・クレジット中に朝シャワーあり―は、例によつて例によつて例によッッッッてノー・モーションで突入する果てしなく長い回想パート。二十年前も今と全く変らない、関根和美のお家芸に震撼する、まるで進歩してゐないともいへる。回想明けも回想明けで、停車したバスに梨沙は結局乗らない、一般の乗降客が乗り降りするカット―画はバス越し―が無造作に間延びすること間延びすること。
 配役残り先に飛び込んで来る三番手の桜井あつみは、若宮が梨沙に続き―先かも―手をつけるモデル、オッパイ要員。伊藤清美は、仮称摩天楼でバーテンとして働く悟郎の同僚ホステス・冴子。二つ上のコブつきながら、悟郎とは結婚を見据ゑた関係。ウィキペディアにも記載されてゐない別名である、イコール亜希いずみの高田磨友子は、亭主の不貞を知り摩天楼に怒鳴り上げに来る若宮の細君・みよ子、みよ子がどうやつて梨沙の兄が摩天楼に勤めてゐることを突き止めたのかは清々しく不明。当時既に引退状態であつた三条まゆみは、基本ボックス席の背中しか見せない、摩天楼ママ?単なるゲストどころかビック・スターにも関らず、満足にその人と知れる形で抜かれるのは瞬間的な1ショットのみ、贅沢にもほどがある。その他客要員に関根和美と佐々木優、みよ子乱入パートにもう三名見切れる。
 新東宝で一旦デビュー後二作目以降は―映画を離れた期間もあるにせよ―長く大蔵を主戦場に戦ひ続ける関根和美が、1993年から1995年にかけて使用してゐた別名義・川井健二の第一作。林由美香大蔵初参戦、以後関根組十二作連続主演といふ―殊に後者が常識外れの―特筆すべき点もありつつ、個人的には前田有楽がデジタル移行したのに伴ふ、フロンティア・リバイブが大きなトピック。何はともあれ、これで関根和美のハンドレッド戦が戦へる、まだ先は結構長いけどな。
 物語的には概ね濡れ場をマッタリ連ねるに終始しつつ、若宮との不倫も、何時も自分のことは後回しに面倒をみ続けて来て呉れた、兄の過保護が重たくなつた贅沢な反発であつた。梨沙が悟郎に押し殺した感情を爆発させ、何故かその場に現れた冴子込みで和解に至るクライマックスの舞台に、見晴らしの開けた公園を選んだ一手間が功を奏し、大した中身もなかつた気がする割に、観戦後の心持ちは思ひのほか爽やかに締め括る。それともうひとつ琴線に触れたのが、みよ子に突きつけられた若宮撮影によるヌード・スナップを、悟郎が今度は当人の梨沙に突きつけ激しく叱責する件。その際、「何なんだお前は!」と激昂した悟郎が梨沙を平手打ち、するものかと思ひきやグーで殴つたのには驚いた。何なんだお前はではない、お前が何なんだ。悟郎こと野澤明弘が観てゐて居心地が悪いくらゐいい人造形を強ひられる中での、突発的に火を噴くノジーぽさには拍手喝采した。


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 「隣のうづき若妻 ~スワッピング三昧~」(1995『ザ・夫婦交換 隣の若妻の味』の1998年旧作改題版/製作・関根プロダクション/配給・大蔵映画/監督:川井健二/脚本:森満康巳・川井健二/撮影・伊東英男/照明・秋山和夫/録音・ニューメグロスタジオ/編集・㈲フィルム・クラフト/助監督・森満康巳/音楽・平岡きみたけ/撮影助手・弁田アース/照明助手・瀬川英一/監督助手・江野将康/効果・協立音響/現像・東映化学㈱/スチール・津田一郎/出演:浅野桃里・吉行由美・如月じゆん・杉本まこと・樹かず・平岡きみたけ)。
 エッチラオッチラと、森島か森嶋恵美(浅野)と健太(平岡)が二人で仲良く荷物を運び込む引越し直後の新居。全部運び込んだつもりの健太に対し、だつたら一番最初に入れとけよといふツッコミはさて措き、恵美は一番大切なのがないと騒ぎだす。恵美の一番大切な荷物とは、下着を入れておいた箱。もつと大事なものはないのかよといふ疑問も兎も角、恵美が探しに出ると、アパートの階段下で管理人の一人息子・川上テツオ(キモい造形の樹かず)が、ニヘラニヘラ箱を開けてゐた。正直固まつた恵美の視線に気付いた川上は、パンティを一枚ポケットに突つ込み立ち去る。慌てて箱を回収した恵美が、階段を上がるロングにタイトル・イン。下着の一件と、新婚五日目にも関らず、翌日から健太は一週間の出張。恵美の機嫌は傾きつつ、兎にも角にも夜の営み。絶妙に恵美が未だ性に積極的ではない風情を投げながらも、エッサカホイサカ佳境に至つたところで、アックション!と隣室から馬鹿デカいくしやみ。結局そこで恵美が匙を投げ夫婦生活は中断、健太は臍を曲げる。翌日、出張前夜に致せなかつた健太は不機嫌なまゝ出発。川上が自分のパンティをスーハースーハーしてゐるのを目撃した恵美は、脊髄反射で110番、の途中に再びアーックション!に遮られる。恵美はキレるのを通り越し腹を固める、どうやらアタシ一人でやるしかないやうね。得体の知れない鬱陶しい状況に、立ち向かふことを恵美は決意する。
 配役残り無愛想な吉行由美と癪に障る造形の杉本まことは、隣家の平野夫婦。失業中の亭主がアックションの主、ある意味功を奏してゐるともいへ、杉本まことが連発するアックションが本当にウザい。尺の綺麗に折り返し点に飛び込んで来る如月じゆんは、恵美が頼る大学時代の親友・シズカ。因みに健太は女子憧れの先輩、画面(ゑづら)的には強力に無理がありはしまいか、寧ろ樹かずと平岡きみたけの役が逆でもいいやうな気がする。
 川井健二(=関根和美)1995年第二作、いよいよ本当に正真正銘絶体絶命のフロンティア・ロスト。DMMのピンク映画chに、薔薇族を除けば関根和美の未見作はもうなく、目下新しい弾が放り込まれる気配も感じられない。オーピーのデジタル新作が観られる目処が依然立たない中、加へてフィルム最終作も観てしまつた以上、下手をすると今作が最後に見るなり観る関根和美監督作になるのかも知れないと思へば、何気に絶望感に近いものがある。泣き言を垂れてゐても始まらないので先に進むと、薄気味悪い管理人の息子と、厄介な隣人、ついでに旦那は不在。恵美が置かれた四面楚歌の描写に、普通にストレスが溜まるのは、映画的にそれはそれとしてそれなりに正方向の充実。二番手・吉行由美の濡れ場を未だ温存した上で、出し抜けにオカルト方面に転ぶかに見せた三番手にはまた他愛もない木に竹の接ぎ方をと呆れかけたが、それどころかスコーンと突き抜け大輪の百合を咲かせる仰天展開には、グルッと一周して感動した。問題は、そんなこんなで尺も早終盤。新旧題がともに御丁寧に謳ふ夫婦交換は一体どうするのよと別の意味でハラハラさせられてゐると、予定を一日早めサプライズ帰宅した健太が強引に舵を切る急旋回展開には更に驚かされた、ところが。何だかんだで結構面白かつたのに、力技にせよ何にせよ、折角吉行由美が上手いこと始終を落とし込んだのに。一旦引つ繰り返したものをもう一度引つ繰り返し、かといつて元に戻るのかといふとさういふ訳でもなく、わざわざ後味を悪くするラストは逆の意味で流石とでもしか最早いひやうがない。蛇に足を描いたばかりに、雉が撃たれたが如き一作である。

 もう一度泣かせて呉れ、これでお別れなのか?


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 「奥様は18歳 超どきどき保健室」(2014/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/監督:関根和美/脚本:金沢勇大/撮影:下元哲/照明:代田橋男/助監督:金沢勇大/編集:有馬潜/監督助手:篠崎周馬/撮影助手:浅倉茉里子/照明助手:榎本靖/選曲:山田案山子/効果:東京スクリーンサービス/出演:きみの歩美・桜木郁・円城ひとみ・竹本泰志・藤原徹・なかみつせいじ)。
 タイトル開巻、異常にペッラペラに見える「私立聖峰学園」―作中では呼称されず―保健室に、養護教諭の高橋龍之介(竹本)目当ての大友愛里(桜木)が何処が痛いあそこが痛いと大したどころですらなく何ともないのに通ひ詰める。女子高生が体操着を自らペローンと捲る据膳も龍之介は相手にしないところに、愛里とは親友の高橋桃子(きみの)が入つて来る。本当に親友なのか、桃子と愛里が龍之介を巡り何気にでもなく火花を散らす帰り道。ラブレターを手に、二人の姿を追ふ校内一の秀才で、愛里の元カレ・堀内大樹(藤原)を龍之介が急襲する。それが桃子に対するものかと思つた龍之介は、ラブレターを取り上げる。その夜の高橋家、実はといふか何時の間にかといふか、桃子と龍之介は夫婦で、桃子が通ふ高校に龍之介が転任して来てゐたものだつた。
 配役残り、少々肉は厚いがポスト小川真実に見えなくもない円城ひとみは、聖峰学園の新任教頭・土井久江。久江も久江で保健室戦、ところが今回は龍之介もノリノリでザクザク本戦に至るのが、今回珍しく男の側でなく久恵のイマジンといふ展開は加齢、もとい華麗なる関根和美の十八番。なかみつせいじは聖峰学園校長・阿部信太郎、桃子の叔父で、龍之介との夫婦関係を唯一知る人物。因みにバツ4、その経歴は役職の邪魔にはならないのか。
 流石に最後の輝きとまでいふつもりはないが、国沢☆実の「新婚性教育 制服の花嫁」(2006/樫原新辰郎=樫原辰郎と共同脚本/主演:星月まゆら・小峰由衣)も気がつくと結構昔。ありさうで案外見当たらない「おくさまは18歳」ものである旨を、大胆にも公開題にブチ込んだ関根和美2014年第三作。スリー・バイ・スリーの女優部と男優部が、全員上手いこと鞘に納まる構成自体には何の問題もない。安い普請も薄い物語も、この際大した問題ではない。・・・・ない?ええと、ひとまづない方向で。何が厳しいかといつて、森山翔悟・坂城君と同じ所属事務所シネマクトからピンク映画初陣、乳を揉む手も覚束ない藤原徹の濡れ場大根ならぬマグロぶり、では必ずしもない。ただ単に機嫌が悪さうにしか見えず、可愛げの全くないきみの歩美の仏頂面が最大のウイーク・ポイント。その為、一見ギャルギャルしてゐるかに見せて、一転健気な乙女心も感じさせる桜木郁の好演で綺麗に成立する愛里パートと、正直大概へべれけなシークエンスをも、なかみつせいじの突破力で無理からでも何でも押し込むなり捻じ伏せてみせる久江パートに比して、ヒロインのエモーションが一番弱いのが困りもの。二番と三番が繋げて作つた好機を、凡退した四番が潰したが如き一作。考へてみれば、風邪でも引いてゐたのか冒頭は声が少しおかしく聞こえる竹本泰志と、ここに来て俄然キレッキレのなかみつせいじ。きみの歩美円城ひとみはそれぞれ第二戦ともいへ、量産型娯楽映画の息吹を伝へる面子が1/3しか居ない布陣は、矢張り苦しいか。

 エンディング曲のスタップサイボーズ「きつとあるはずさ」はクレジットレスながら、桃子が龍之介に送つたメールの文面と、久恵の台詞中にスタップサイボーズの名前は登場する。スタップサイボーズでググッてみたところ、石川真平が、助監督からの“若い女の子に大人気のスカしててチャラチャラしてる感じの劇中バンド「スタップサイボーズ」が演奏する曲にしてほしい”とのオーダーに応へて制作したトラックとのこと。バンド名がスタップサイボーズで曲名が「きつとあるはずさ」とは素晴らしいセンスではありつつ、惜しむらくは、作中にそのポップなシニカル感が一欠片たりとて活かされてはゐない点。


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 「美巨乳・はさみこむ」(1994/製作・関根プロダクション/配給・大蔵映画/監督:川井健二/脚本:乃武良/撮影:伊東英男/照明:秋山和夫/編集:㈲フィルム・クラフト/助監督:佐々木乃武良/音楽:藤本淳&リハビリテーションズ/撮影助手:弁田アース/録音:ニューメグロスタジオ/効果:協立音響/スチール:津田一郎/車輌:松代綾子/現像:東映化学㈱/出演:加山なつこ・木下雅之・小川真実・杉原みさお・久須美欽一・小竹林早雲・牧村耕次)。脚本の佐々木をオミットした乃武良表記は、“乃 武良”とスペースが入る。下の名前が“たけよし”はアリにせよ、苗字が“乃”て。城定夫の元ネタと思はれる   >超嘘
 高層ビル群を一拍抜いて、中堅製薬会社「和田製薬」東京本社の、何故か屋上。馬面の課長(小竹林)が、閉鎖された大阪支社から営業二課に配属された遣田か槍田万蔵(木下)を四人ばかりの一同に紹介する。コミカルなつもりで別に可笑しくもない万蔵の自己紹介に、イクヨ(杉原)は喰ひつく。するとつかつかイクヨに歩み寄るや、出し抜けに両肩を掴み迫る万蔵が、課長に引き離されるロングにタイトル・イン。お天道様が許す限り朝礼を屋上で行ふドメスティック・ルールと解釈すれば、必ずしもやつゝけともいへないのか。
 歓迎会後、ザクザク自宅に連れ込んだイクヨに、万蔵はあれよあれよといよいよ本格的に迫る。万蔵の男性自身に触つたイクヨは度肝を抜かれる、遣田家の遺伝的特質で、殆ど直角に近く曲つてゐたからだ。翌日、朝から給湯室にてイクヨと乳繰り合ふ万蔵は堅物の課長の怒りを買ひ、当分の間六時半に出社しての社長室掃除を命じられる。三日目、万蔵が勝手に座つた社長の椅子からずり落ちデスクの下で寝こけてゐると、何者(絶対に特定不能)かが社長室に侵入。続けて社長(牧村)と秘書のアイダジュンコ(小川)も現れ、賊は入れ替りに立ち去る。万蔵が恐々潜んでゐるのも知らずといふか気付かず、牧村社長は和田製薬が北祥産業に乗つ取られかけてゐる云々、対北祥産業の切札は新薬開発データであるかんぬんとベラベラ開陳、したかと思ふとその場でジュンコを抱く、段取りだらけの一幕がある意味堪らない。事後、ジュンコに見付かつた万蔵は居眠りを白状し、賊が忍び込んだ一件を報告。更に翌日、今度は万蔵とジュンコが二人で机下に潜り込む社長室。再び賊がやつて来たまでは狙ひ通りであつたのに、密着したジュンコの色香にレディ・トゥ・シュート状態の万蔵の珍棒が突つ張つて動けず、賊の逃走を許し、データもまんまと盗まれてしまふ。
 配役残り、あれ、誰か忘れてないか?万蔵は蛮勇にも、北祥産業に逆潜入しての新薬開発データ奪還を敢行。佐々木乃武良が役立たずの北祥産業守衛と、開巻の営業二課員計四名の、画面向かつて一番左―右端がイクヨ―を兼任、中二人の男女は全然判らん。尺の折り返し点で漸く登場する加山なつこは、北祥産業の多分社長秘書・真弓。絡みの恩恵に与ることなく一貫して憎々しげな悪役で通す久須美欽一が、北祥産業社長。
 四戦目にして初めてコメディに触れた、川井健二(=関根和美)1994年第七作。真弓にデータの返還を求めるも、そもそも北祥が盗んだ証拠からない以上当然相手にされぬ万蔵は、イクヨとジュンコを連破した文字通り伝家の宝刀を抜く。先祖代々の逸物を唯一の武器とした、スチャラカ社員の立身出世物語。量産型娯楽映画的な麗しさが爆裂する、真綿色したシクラメンよりも清しい馬鹿馬鹿しさはいいとして、残念ながら主人公が映画を支へきれない。現に関西人であるのか否か疑はしいのか、単に口跡が達者でないだけなのか大いに微妙な木下雅之がそもそもキャラクター的に甚だ魅力に乏しく、万蔵の強引グ・マイ・ウェイぶりも棚から葱を背負つた鴨が飛んで来るやうなハッピー・エンドも、観客なり視聴者を納得させるシークエンスとして成立してゐるとは認め難い。畢竟展開が弾む筈がなく、チンコが折れてゐるとしか思へないほど曲つてゐるといふ次第で、豪快に平仮名の“く”の字を描いて捻じ込む、トルネード挿入以外には特段面白いといふ訳でもない。別の意味で、あるいは本筋からは明後日だか一昨日に注目すべきなのが、前半戦は完全に本当に実際に加山なつこを温存。その後も別に笑へないすつたもんだで時間を潰した末に、濡れ場が始まるのは四十分過ぎ。挙句にその一戦が本来ならばそれ自体は量的にも内容的にも十二分であるものの問題が下手に暗い照明、結局主演女優の裸が満足に拝めるのは土壇場どころか今際の間際のラスト一分といふ出鱈目な匙加減が衝撃的。一見、堂々としたタラコ唇に乳も太いが腹周りも太い系の疑念が鎌首をもたげつつ、いざ脱いでみるとなかなかメリハリの利いたボディで助平心を撃ち抜く加山なつこが、よしんば劇映画的には少々詰まらなくとも一本の裸映画を背負ひ得る結構な逸材ながら、だから折角の決戦兵器を、何をエンド・ロールの直前まで出し惜しんでゐるのかといふ話だ。ところで加山なつこの名前に何となく既視感を覚え、別館検索にかけてみたところ、新田栄2006年第四作「熟妻交尾 下心のある老人」が出て来たのには驚いた。一旦引退後、カンバックした際に抜擢されたものだが、実はその活動第一期にもエクセスでの主演作が存在する「巨乳VS巨乳 こする!」(1990/監督:小林悟/脚本:横倉晶郎/激越に観たい)。恐らくそんなことなど忘却の遥か彼方、エクセス初出演のつもりで呼んで来たのではなからうか。


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 「女優志願 レイプ調教」(1994/製作:関根プロダクション/配給:大蔵映画/監督:川井健二/脚本:佐々木乃武良・川井健二/撮影:南一/照明:秋山和夫/編集:㈲フィルム・クラフト/音楽:藤本淳&ザ・リハビリテーションズ/録音:ニューメグロスタジオ/助監督:上田耕司/撮影助手:阿部宏之/照明助手:尾崎俊弘/監督助手:佐々木乃武良/効果:協立音響/現像:東映化学㈱/車輌:松代涼子/出演:林由美香・風見怜香・吉行由美・小竹林早雲・森純・牧村耕次)。
 ベッドの上にまで仕事を持ち込む婿養子の晴彦(牧村)に、村上頼子(風見)が嫌味を垂れる。注文の多い夫婦生活、外に出した晴彦は今は子供を欲しくないと誤魔化すが、頼子には浮気がバレてゐた、三階建ての社屋外景にタイトル・イン。晴彦が社長の、男女各一名づつが見切れるのみの適当な社内。男は上田耕司にしても、女は全く判らない。ここで注目は、仕事もせずに大つぴらに愛人との電話に油を売る晴彦の肩を叩く、来訪した東西銀行の佐々木支店長役。この下川オサムと町田政則を足して二で割つたやうな2.5枚目が、佐々木乃武良らしい。先月分の月々のお手当から未納の愛人・川上妙子(吉行)に晴彦が冷遇される濡れ場明け、夜道を歩く晴彦は、客商売にしては矢鱈と高圧的な白タク運転手・宮部薫(林)に拾はれる。秋田の同郷といふことで勝手に盛り上がつた晴彦に、薫はアタシに乗んない?と売春を提示。オケラを棚に上げ、ガキは買はない主義だと晴彦は薫に説教してみせる。観客―厳密には今回視聴者なのだが―の神経を逆撫でし続ける晴彦に大金持ちらしい頼子の父親も匙を投げ、手を引かれた晴彦の会社は倒産する。家を出た末当然妙子にも見限られた晴彦は、徘徊程度に放浪後無人の薫の白タクを発見する。
 配役残り森純は、その時の薫の客。絡みの前段、シャワーを浴びてゐる隙に財布から札を抜いた薫を、車まで追つて来る。その場の流れで薫と晴彦が二人で車で逃げる、ちやうど尺の折り返し点で再会した二人が行動を共にする羽目になる構成と、その更に更に前段、やさぐれた晴彦が街を彷徨ふロングだけが僅かに出色。当時は劇団夢現舎を興す前の演出家の小竹林早雲は、オーディションの最終審査と上京させた薫を、手篭めにする東洋映画プロデューサー・宮沢浩。一体どういふ付き合ひなのか、小竹林早雲の映画出演は川井健二時代には数作以上あるやうだが、関根和美名義の出演作は、恐らく2005年第一作「女探偵 おねだり七変化」(脚本:吉行良介/主演:出雲ちひろ)の一本のみなのではなからうか。
 関根和美が1993年から三年間使用してゐた変名である川井健二の、1994年第二作。因みにこの年はピンク八本に更に薔薇族が一本と、結構な量産態勢ではある。一旗上げると出て来た秋田に、おめおめ帰る訳には行かなかつた。晴彦が薫に見出す似た者同士感にはそもそも佐々木乃武良自身の境遇なり胸中も透けて見えるのか、都会の片隅で行(ゆ)きつ逸れた男と女が出会ふ、といふ趣向ならば酌めぬではないものの。依然女優の夢を諦めてはゐない薫が選んだ稼業が、選りにも選つて売春白タクだなどといふのは、確かに映画的に凝つた設定とはいへ更に敵がピンクであることを考へるとなほさら親和性が高いともいへ、幾ら何でも飛躍が高くて遠過ぎる。この時期の、垢抜ける以前の林由美香に、その無理を捻じ伏せる決定力は未だあるまい。それ以前に、手前は女に現を抜かし義理の父頼みの会社を潰しておいて、堂々と薫に上から目線の晴彦の自堕落な造形が致命傷。片翼ならばまだしも、ミーツの両側が機能不全とあつては流石に厳しい。コッソリ晴彦が送つた書類が、再び東洋映画新人女優オーディションの一時審査に通るといふのもへべれけな話で、不用意に演出したラストも気味ですらなく不発。所々会話の端々に切れが窺へなくもないのは佐々木乃武良の若かりし感性なのかも知れないが、全体的には取りつく島もない一作である。


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 「OL調教 私、変態ですか」(1998『OL奴隷監禁 もらす』の2001年旧作改題版/製作・関根プロダクション/提供:オーピー映画/監督:関根和美/脚本:片山圭太/撮影:小山田勝治/照明:秋山和夫/編集:《有》フィルムクラフト/助監督:片山圭太/撮影助手:新井毅/照明助手:臼井幸男/監督助手:竹洞哲也/音楽:シノゾー/効果:東京スクリーンサービス/出演:桜井倫子《新人》・浅倉麗・原田なつみ・やまきよ・岡田謙一郎・真田亮宏・杉本まこと)。“配給:大蔵映画”ではなくオーピー映画提供としたのは、白黒のOP開巻に従つた。
 ハークション!商店街をポップに大きなくしやみをしながら田所岩男(杉本)がホテホテ帰宅する。夫の扱ひがぞんざいな妻・時枝(原田)に自ら夫婦生活を求めておいて、田所は情けなくも中折れ。二回戦の要求を、当然臍を曲げた時枝に突つ撥ねられたところでタイトル・イン。丸井物産営業一課、席次が判明する成員は時計回りに、十時の位置に雪子(浅倉)。十二時上座に係長の田所、以降順に武井信夫(やまきよ)・若林冴子(桜井)と続く。相変らず大きなくしやみを連発、見事な昼行灯ぶりに雪子や武井からは舐められてゐる田所に、冴子は優しくポケット・ティッシュを差し出す。そんな冴子を、豹変した田所が衆人環視の下暴力的に陵辱するのは、勿論関根和美一流の妄想オチ。武井と交際中の冴子と、武井の元カノであつた雪子が諍ふ会話を立ち聞きした田所は、帰宅途中忘れて来たことに気付いた財布を取りに戻つたオフィスでの、冴子と武井の情事を目撃する。そんなある日、更衣室や手洗ひを覗いた覗いてないで、冴子が田所に喰つてかゝる。その夜、冴子とラブホテルに入つた武井が、バットで後頭部を殴打され襲撃。冴子は野球のユニフォームにマスカラス・マスクの怪人物に、シーユーではなくソーロング閉店後のスナック「美風」に拉致監禁される。
 配役残り岡田謙一郎は、冴子失踪事件の捜査に際して乗り込んだ営業一課にて、武井と田所相手の事情聴取をブライバシー完無視でやらかす大雑把な刑事、真田亮宏はその部下。営業一課にもう二名若い男が見切れるのは片方が竹洞哲也につき、もう一人のパッと見山名和俊似が片山圭太なのか。
 関根和美1998年第四作、川井健二をもう三発残しつつも、DMMのフロンティアが消滅した今、関根和美未見―あるいは未感想―のド旧作が放り込まれるのはひとまづ何にせよ有り難い。開巻で三番手、序盤で二番手の濡れ場を順調に消化。展開上の大技込みで残り尺を主演女優に傾注する構成も磐石、であつた筈なのに。そもそも目つきが悪く、首から上も下もよくいつて十人並でしかない桜井倫子が清々しく訴求力に乏しい。加へて目元の大きく開いたマコカラス・マスクで素性をほぼ曝し、挙句に御丁寧にもユニフォームのまゝ帰宅するとあつては、監禁犯が謎ですらない以上サスペンスも機能するしない以前に成立してゐない。土台が、ミス・リードするに足る頭数さへビリングに見当たらない始末。抽斗の二段目と三段目二段構へのバッド・エンドは、手際のモタつく下手な手数ぶりが進歩の窺へぬ、もとい今も変らぬある意味安定はしてゐるけれども信頼は別にしてゐない関根和美クオリティ。兎も角もしくは兎に角、第三の野望あるいは悲願“ハンドレッド・関根和美”まであと二十有余本。デジタル・オーピーが観られる目処が未だ立たない中、正直小屋だけでそれを目指すのは絶望的な戦況であるやうに思へなくもないとはいへ、不発であれ不作であれ不毛であれ。ひとつひとつ、与へられた機会は全部観て行くのみ。何なんだその、頓珍漢に悲愴な決意は。

 桜井倫子の新人特記に関して一点、公開だけならば、「痴漢エロ恥態 電車・便所・公園」(1998/監督:勝利一・坂本太・佐々木乃武良/脚本:有馬仟世)の方が早い。桜井倫子は佐々木乃武良の第三話「公園の痴漢」に主演、勝利一と佐々木乃武良は当作で合同デビュー。


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 「どスケベ坊主の絶倫生活」(2014/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/脚本・監督:関根和美/撮影:下元哲/照明:代田橋男/助監督:金沢勇大/編集:有馬潜/監督助手:菊嶌稔章/撮影助手:石井宣之/照明助手:大前明/選曲:山田案山子/効果:東京スクリーンサービス/エンディング曲:『オーライ』歌:ナチョスと石川 作詞・作曲:石川真平/出演:きみの歩美・菅野いちは・山口真里・那波隆史・牧村耕次・なかみつせいじ)。
 タイトル開巻、リストラされて一週間、未だ妻に打ち明けられずにゐる長谷部三郎(なかみつ)が頭を抱へる。ひとまづ妻・京子(山口)との夫婦生活を想起、量産型娯楽映画が確かに量産されてゐた息吹を最後に伝へる、山口真里となかみつせいじ扮する夫婦役のお馴染みぶりが感動的に素晴らしい。思ひ余つて失踪する旨のメールを京子に打ちかけ思ひ留まつた三郎の傍らに、謎の僧侶・焼き肉院珍国斎(牧村)が出現。千里眼とやらで三郎の苦境を見抜いた珍国斎は、三郎を仏門に誘(いざな)ふ適当に煙に巻いた末に笠と風呂敷包みを残し消失する。三郎が包みを解いたところ僧衣一式と、“命名 焼き肉院雲国斎”と記された札が入つてゐた。三郎はとりあへず雲国斎に扮したものの直に改悛、愛妻弁当を食べてゐると思ひ詰めた様子の阿川詩織(菅野)に声をかけられる。夫と同居してゐた妹が悪霊にとり憑かれたといふ詩織は、三郎もとい雲国斎に助けを求める。サクサク阿川家に招かれ、ザクザク据膳を頂戴した雲国斎は、仕方なく一肌脱ぐ羽目に。のつけから破戒かよ、随分と生臭だな。ところが雲国斎が訪ねた詩織の夫・拓也(那波)は、雲国斎が詩織と接触してゐることを知るや気色ばむ。実は悪霊にとり憑かれたのは詩織で、虐待される義妹・加納みゆきを庇ひ拓也は家を出たといふのだ。てな塩梅で今度は二人の仮住まひに転がり込んだ雲国斎は、みゆき(きみの)のキュートな色気に鼻の下を伸ばす。
 その他配役、僧衣を着てみた三郎に、断りもせずにカメラを向けるのは関根組と近しい、「BATTLE BABES HC」主幹のSHIN。外国人観光客でもあるまいし、坊主がそんなに珍しいのか。共にブランコに揺られるみゆき相手の、雲国斎の他愛ない浮遊霊与太の出汁にされるどうしても逆上がりが出来ない巨漢は菊嶌稔章。視線に気付いた菊嶌稔章に、雲国斎がノされるオチかと思つた。
 逆に環俗した際には徒に沈痛であつたなかみつせいじが、一転弾け倒す関根和美2014年第二作。珍国斎の神出鬼没の没の方に、いはゆるノリツッコミに似た要領で三郎ないしは雲国斎が一々度肝を抜かれるネタは、渾身のフルスイングが清々しいなかみつせいじのオーバーアクトが何度繰り返されたとて爆発的に面白い。拓也に下手に姉妹丼を完成させる無頓着は自省し、主演女優の濡れ場らしい濡れ場を全て潔く妄想ないしは夢オチで乗り切つてみせる大技といふか荒業も、敵が関根和美とあつてはある意味通常運行。ピンク映画界の顔面センター・菅野いちはが闇雲な悪霊メイクで大暴れするクライマックスが、効果のかけ過ぎで詩織が何をいつてゐるのか結構判らないのも、御愛嬌の範疇に押し込んでしまへ。尤も、結局何だかんだで悪霊を斥けたのか悪霊にとり憑かれてゐたのは実は三郎なのか、前作に引き続き不用意にゴチャゴチャする一件の畳み処は相変らず考へもの。躓きかけた始終を決定的な安定感で補完する、エンディングに直結する改めての長谷部家夫婦生活を観るにつけ、三番手の働きが何気に一番デカい珍しいといへば珍しい一作。山口真里と残り二人の地力を比較した場合当然の結果であるといふ異論に対しては、無論更に異を唱へるつもりはない。

 ここは護符で一度切つたネタは一同忘れたフリをすることにでもして、次回は尼僧(酒井あずさか佐々木基子か麻由子)を投入、珍×雲×満国斎のジェット・ストリーム・アタックを豪快に展開するシリーズ第二作を極大希望。満国斎の出家設定としては、騙され続けた男運のなさに嫌気が差した泡姫といつた辺りで如何か。御眼とか御芽国斎てのもありだな(*´∀`*)   >底の抜けた丘の上


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