郵便事情


SIGMA DP1Merrill

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先日韓国の出品者から時計を落札した。
支払いを済ませたら、何と2日後にはモノが到着した。
あまりに早かったので、最初は何が届いたのかわからなかったほどだ。
まあ欧米に比べて距離的に有利なのは確かだが、これだと国内便とそう変わらない。

一方とんでもなく時間がかかる場合もある。
経験上では東欧や南米、カナダなどからの郵便物は遅く感じている。
アメリカは早い場合と遅い場合がある。

先方から出荷が済んだという連絡があっても、それから到着まで数週間かかることもある。
トラッキングナンバーで荷物を追うことが出来るが、現地の局が受け取りました・・のステイタスのまま何日も動かないのだ。
ネットで連日確認しているが、一向に更新されなくて、一体どうなっているのだろうと思っていると、いきなり動いて翌日には到着したりする。

多分その国ごとの郵便局側の対応が問題なのだろう。
溜まるのを待って便に乗せるとか、安い便があるまで待たされるとか、特殊な事情もあるのかもしれない。
しかしこちらとしては、ステイタスが停止しているのを毎日見せられると、局員がぐずぐずと仕事をさぼっているのではないか・・とつい疑ってしまう。

一方で出荷側に問題がある場合もある。
あまりに遅いのでさすがに心配になり、どうなっているのかメールで尋ねたら、間違って別の人に送ってしまったので、荷物が返ってくるのを待ち、到着次第すぐに送りなおすから・・という返事。
そう言ってきた者が、過去に数人いる。
それはそれで、ちょっと「?」なのだが・・・(笑)



今日の時計ベルト。
ブローバ・アキュトロンに、mutaのアイステジュのオペラをつけた。

アキュトロンは1960年に発売されたブローバの革命的な電池式腕時計。
小型の音叉を内蔵し、その振動が一定なのを利用して、周波数から時間を制御する仕組みで、月差1分以内という、当時としては驚異的な精度を実現した。
この革命的技術により、ブローバ社は技術的に当時の時計業界のトップに立ったといっていいだろう。
無重力空間でも安定していることから、宇宙船内部の時計に採用され、アポロ11号により月面に設置される時計にも選ばれた。
この技術を象徴する音叉の形をイメージしたマークが採用され、文字盤やリューズに刻印された。

ところがその特許技術をブローバ社が独占したことが、失敗のもとになった。
アキュトロンの登場に危機感を持った他社を、もうひとつの革新技術であるクォーツの開発に向かわせてしまったのだ。
1969年にセイコーが世界初の市販クォーツ腕時計アストロンを発売し、さらにその特許を公開したことから、一気にクォーツの開発が進んだ。
予想を上回る勢いで低価格化が進み、いわゆるクォーツショックと呼ばれる衝撃となり、世界の時計業界を襲った。
欧米の機械式時計のメーカーは大打撃を受け、米国の時計産業はほぼ全滅となった。
ここに登場するアメリカ製腕時計のブランドの多くが現存しないのは、その時に消滅してしまったからだ。

当時のブローバ社は音叉式の優位を主張するのに必死で、クォーツに対する攻撃的な発言を行っているのが興味深い。
的外れな攻撃を繰り返すうちに、クォーツの精度はどんどん上がり、性能面でのアキュトロンの優位性は無くなってしまった。
孤立していたブローバ社は、音叉時計の技術開発を単独で行わなければならず、競争力でも劣っていたのだろう。
こうして革命的発明であったアキュトロンは敗北し、ついに1977年に製造中止となった。

アキュトロンといえば、スケルトンボディで内部が透けて見える「スペースビュー」が有名である。
昨年だったか、現在のブローバの親会社であるシチズンが開発した復刻モデルが発売された。
実際には全盛期のアキュトロンには様々なモデルが揃っており、この時計もそのうちのひとつだ。
人気が高く比較的高価に取引されるスペースビューと違い、新品のような個体にもかかわらず安く落札できた。

1976年製なのでかなり後期のモデルといえ、アンティークと呼ぶには新し過ぎる年代の製品だ。
シルバーのボンベイ文字盤に、立体的な金色のローマンインデックスがよくマッチしており、非常に完成度の高いデザインだと思う。
個人的にはかなり気に入っており、仮にこれがアキュトロンではなくても、デザインだけ見て入札したかもしれない。

キャリバー218搭載で4時位置にリューズを持つ。
このリューズの位置は使ってみるとなかなか具合がよく、手首を曲げても手の甲に食い込まない。
精度は日差数秒くらいのようだ。

秒針はスイープ運針で滑らかに動き、ケースに耳を当てると音叉の発するクー・・・という音が聞こえる。
先日紹介した同社のプレシジョニストといい、ブローバ社はスイープセコンドに何らかの拘りを持っているのではないかと思えてくる。

アキュトロンは他の時計にない特徴を多く持っている非常に面白い時計だ。
実際スーッと連続的に動く秒針を見ていると、何か不思議なものを手にしているような気分になる。
価格も程々なので、コレクションアイテムとして案外狙い目かもしれない。
まずは真っ赤なエナメルのmutaと組み合わせてみたが、ドンピシャリのマッチングで、気に入って今日は一日つけていた(笑)

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