黙祷


NIKON 1 V1 + 1 NIKKOR 10mm f/2.8

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雲の多い中にも、陽の射す時間のある一日であった。
時折光が眩しいほどの瞬間もあった。
気温も高く、厚手のジャンパーでは汗をかいた。
そんな中、いつものように都内をうろついた。

午後になり、新宿からMrs.COLKIDに電話すると、あちらは銀座の三越の中にいた。
もうすぐ震災のあった2時46分で、デパートの中でみな黙祷する予定だという。
それは大変と、僕も急いで伊勢丹に飛び込んだ。

時計を気にしながら店内を歩く。
通路の真ん中で・・というのも変なので、売場から少し離れた階段のそばで待った。
いつもと違うことをするからか、店内には背広を着た男性店員が、黙祷を促すかのように歩き回っている。

46分が近付くと「今から黙祷を捧げたいと思います」と女性の声でアナウンスがあった。
そして時間がきたところでチャイムが鳴り「黙祷!」という掛け声。
30秒ほどであったが、多くの人が手を止めてその場に直立不動になり、店内がしばらく静かになった。

一方三越の方はアナウンスの音量が小さくて聞こえず、多くの人が気付かずにざわついたままだったという。
あれでは駄目だとMrs.COLKIDはご立腹であった。

僕はそれから有楽町線で銀座に出て、床屋に行った。
こういう日だから、街は人出が少ないのではないかと予想していたのだが、逆に異様なほど混みあっていた。
新宿も銀座も人で溢れており、歩道で前がつまり立ち止まることさえあった。
久しぶりの晴れた休日だからではないかと、床屋の店員さんと話した。
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