古靴


D800E + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

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古靴に興味はあるのだが、やはり中古品はなあ・・という気持ちが先に来る。
お店に行くと、古くてくたびれた靴が、ズラリと棚に並んでいる。
店内に漂う埃っぽい匂いは、僕の集めていたアンティークの革製品と同じものだ。
お店の片隅のダンボール箱の中に、まだ展示していない靴が、ゴロゴロと入っている時もある。
一応クリーニングは施されているのだが、まあ内側に除菌スプレーをふりかけている程度である。

靴というものは、もっとも過酷な使われ方をされる革製品といえるだろう。
かなりの重さが加わり、荒れた路面に押し付けられ、地面を蹴るときに擦りつけられる。
それを日に何千、何万回と繰り返すのだ。
内側には汗が染み込み、外からは埃や雨水・・・
それでも形を保っていられるのだから、いかに頑丈に作られているかである。

丁寧に使われた靴を、クリーニングしてクリームで仕上げると、アッパーはかなりきれいに見える。
つま先に入る皺にまず目がいくのだが、それもほとんど消えてわからない場合もある。
中古品とデッドストックの区別は、ひっくり返してソールを見るとはっきりする。
ソールのすり減りは隠すことができず、どのくらい使ったものか一目瞭然となる。

先日買った靴のように、ほぼ新品・・という場合もある。
裏返してみても、アウトソールの減り方も軽微だ。
それでもやはり、どこかの知らない人が一度履いた靴か・・と考えてしまう。
周りの人に聞いてみると、中古の靴を履くのに抵抗がない・・という人はひとりもいなかった。
若者なら古着をよく着るし、古靴への抵抗は少ないようだが、僕の周りに若い人が少ないのでよくわからない。

考えてみれば、戦時中、あるいは戦後間もない頃は、新品じゃないと嫌だなんて、贅沢なことは言っていられなかった。
人の使った中古品を、次の人も当たり前のように使った。
僕が父親からもらった古い水筒などは、元陸軍兵士がお金に困って放出したものを、どこか闇市で買ってきて、釣に行く時に愛用していたものだ。
それが当たり前であった。

そう考えると、むしろ新品にこだわる方が、特殊な世代なのかもしれない。
今はオークションなどを利用して、使い古した子供服を、次の人に譲る主婦も多い。
そういうリサイクルの精神が定着しつつある。
まあ、それでも靴だけは中古は嫌だ・・という人は少なくないとは思うが・・・

お店では、グリーンなど高級なブランドの靴が、安く出ている場合もある。
それを見ると、これを買って蘇らせるのも面白いかもしれない・・と、ちょっと考える。
特殊な液体に浸けて本格的なクリーニングをしてくれる会社があるし、ソールなどのパーツも交換できる。
でもまあ、そこまで手をかけるくらいなら、新品を買ったほうが早いかな(笑)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
セカンドハンド (blue)
2014-07-16 08:48:45
さすがに靴は…
僕は基本的に新品を使い込んでいく過程が好きですねえ~
味が出てくるというか
だから革ジャンにしろジーンズにしろ古着でも買わないですね。
例外は工業製品で、これはディスコンになってしまって新品は手に入らないモノに限られます。
まあ、オーディオですが(笑)

それでも前の持ち主のクセみたいのものが付いてますよね。
 
 
 
Unknown (COLKID@会社)
2014-07-16 09:00:38
そうですね。
実は靴もソールの沈み込みに持ち主の癖がつく・・というのが、決定的な問題点なのだそうです。
ソール交換などしても、コルクについた前の人の足型は如何ともし難いようで、それゆえにデッドストック以外は駄目だと言われているようです。
僕も基本的に新品でないと辛いです(笑)
 
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