無理な旅 2

Z7 + NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

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朝6時台に新宿に集合してバスで出発した。
恐らく普段の日であれば、10時過ぎくらいには現地に到着するのであろう。
しかしその日は大型連休のちょうど真ん中であった。
高速に乗るとすぐに渋滞に捕まった。

実はその前日、つまり奥宮の山開きの日の渋滞は、かなり凄かったようだ。
バスが動き出してから、その話を聞かされたが、添乗員さんは、今日は昨日よりはましでしょう・・と言う。
しかし段々と「読みが甘かった」という言葉が出るようになった。
昨日ほどではないとしても、今日も相当酷いことになりそうだ。
久しぶりに行動制限の無い連休なので、人出も異常なことになっているようだ。

のろのろとしか進まない高速をやっと降りて、秩父の町の中は比較的スムースに通過できた。
途中道の駅でトイレ休憩があったが、その時点でもう昼近くになっていた。
これからまだ相当かかるので、食べ物を持っていない人は、ここで何か買っておくように・・と指示された。

とは言っても、新型コロナの感染拡大を防止するため、バスの中での食事は一切許されていない。（水分補給だけ許されている）
朝一番から昼過ぎまで、トイレ休憩時以外はずっとバスの中なので、事実上昼食を摂ることが出来ない。
仮に朝も食べないで出てきたとしたら、かなり悲劇的なことになる。
栄養を補給するのは、休憩で外に出た数分間を利用して、急いで何かを口に放り込むしかない。

しかも前後の席がアクリル板で仕切られているので、シートをリクライニングすることも出来ない。
行動制限こそ無いが、新型コロナの影響はあちこちに出ており、まだまだ普通に旅行に行ける状態ではないのだ。
旅行業界としても、ここで失敗する訳にはいかず、相当神経質になっているのを感じる。
これは、かなり無理な旅になりそうな予感・・・（笑）

山の中の1本道に入ると、予想通り動きが悪くなってきた。
見晴らしのいいダムの尾根を対面通行で通過すると、以降はすれ違うのが大変なほど細い場所もあるワインディング・ロードになった。
そのつづら折りの坂道の途中で、ついにほとんど動かなくなってしまった。

道の終点にある神社の駐車場がいっぱいで、そこでつかえて進めないようだ。
かと言って、道が細いためにUターンして引き返すことも出来ない。
どの車も坂の途中で停止してしまい、そのままただ黙って動くのを待っている。

添乗員さんがなかなかのベテランで、何やら行動を起こそうとタイミングを計っている。
このままバスで行ったら、神社に着くのが夕刻になってしまう。
そこで、あるところで思い切ってバスを捨てて、山道を徒歩で神社まで登るのだという。
予想より早くトレッキングが始まりそうだ（笑）

たまに車がのろのろと進むので、降りるタイミングが難しい。
早すぎると自分たちの乗ってきたバスに追い抜かれることになる。
一方舗装されているとは言え、勾配のきつい道路なので、歩く距離もなるべく短く抑えたい。
降りるタイミングを指示するので、即座に降りられるよう、荷物をまとめておいて欲しいと言われた。
さすが慣れている（笑）

結局神社から4キロ弱手前で、「はい、ここで降りましょう」ということになった。
30人以上が素早くバスから出て、ずらっと一列になって道路のヘリを歩いていく。
ずっと上り坂が続き、それなりにきつい道程であるが、ただ黙々と進むしかない。
トレッキング前提のツアーなので、皆それほど問題なく対応できている。

早速買ってきたポールと靴が役にたった（笑）
一定のリズムでポールで地面を蹴りながら進む。
渋滞で動かない車の列の横をすり抜けて行くが、車の中の人たちから恨めしそうな目で見られた。
彼らは自分の車で来ているので、そこに車を放置して先に進むわけには行かないのだ。

つづく