COLKIDが日々の出来事を気軽に書き込む小さな日記です。
COLKID プチ日記
ヴィンテージ
D800E + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2
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いつもとは違う街を歩いた。
天気は一日中よくなく、雲が立ち込め時折風も強く拭いた。
空を見てカメラを持つのをやめたが、結果的にかなりの距離を歩いたので、持って出なかったのは正解だった。
脚が痛くなるほどで、重い装備が一緒だったら厳しかったろう。
なぜいつもと違うコースを歩いたかは以下に・・・
「Write arch preserver shoes」社の Cordwainer。
1980年代の黒のロングウイングチップだ。
オールデンと同じように足の治療用の靴を作っていた会社だそうで、当時の米国靴を代表するメーカーのひとつだったらしい。
日本では知名度は低いが、ヴィンテージとしての評価は上々で、通好みのメーカーだという。
靴の趣味も新しい領域に突入したかもしれない(笑)
現代の靴の品質が低下していることもあり、古い時代の製品を求めるという趣味が、ひとつの分野として確立している。
古いもののほうが品質が高いのだから、そちらを集める人が出るのは当然のことであろう。
メーカー間の競争が進むことで、かえって製品のクオリティが落ちたというのも皮肉な話ではある。
靴というのは、手を抜こうと思えば、いくらでも手を抜くことの出来るグッズなのだろう。
自分たちの手で作ることを止めてしまい、品質が落ちることには目を瞑って、賃金の安いどこかの国の労働者たちに作らせたメーカーが、結果的に生き残ったという悲しい現実。
それを見ると、結局ユーザーそのものが、それほど質というものを求めていないのかもしれない・・と感じる。
都内でヴィンテージ・シューズを扱う専門店を探すと、けっこうあちこちの街にみつかる。
僕の世代だと古着というものには抵抗があり、特に靴に関しては、人の履いたものは勘弁してくれと言いたくなる。
そういう人は、古い靴といっても、未使用のデッドストックを探せばいい。
使い古したものより高価にはなるが、それなら気持ちよく履くことができる。
アメリカ製が中心なのは、どんどん新しいものに買い換えるという、消費大国の文化が関係しているという。
ヨーロッパの人は、ものの価値がわかっているので、一度買ったものを大切に使い、簡単には放出しないのだそうだ。
アメリカの場合、国内にモノが溢れており、景気が良ければ買い換えるので中古が出るし、景気が悪ければいらないものを売ってお金に換えようとする。
すでに多くの日本のバイヤーが、米国内の古靴の在庫をゲットしたようだが、何しろ広い国なので、お店の地下に眠る未発掘のデッドストックも、まだそれなりにあるのではないか。
ヴィンテージ・シューズを買う楽しみは、むしろ新しい靴を買うより大きいといえる。
何といっても、モノ自体が簡単にはみつからないのだ。
自分の欲しいモデルの程度のいいものは、世界中に数えるほどしかないかもしれない。
あちこちを探し回り、みつからなければ、巡り合う機会をじっと待つしかない。
仮に欲しいモデルが出ていたとしても、状態はどうか、サイズが自分の足の合うか、といったいくつかの条件が加わるため、ドンピシャリのものがみつかる可能性は極めて低い。
本当に一期一会で、機会を掴んだら逃すわけにはいかない。
常に狙っているマニアはいるようで、人気のあるモデルは、ネットにアップすると10分ほどで売れてしまうという。
だからこそ、探していたものに巡り合った時の喜びは、新しい靴を買う時の比ではない。
古いものは、こちらの知らなかった価値観を提示してくれる。
だからワクワクするし、趣味性は非常に高いのだ。
サイズに関して言えば、許容範囲をかなり広げる必要がある。
完全にピッタリ・・なんてことは、まず滅多にないので、少々緩くても何とか履きこなすからOK・・という姿勢が必要だ。
幅方向で足に合わせて、前後が緩いのは何とかしてしまう。
少し大きいから駄目ですね、なんて贅沢は言っていられないのだ(笑)
実はこのWrite社のロングウイングチップは、デッドストックではなく中古品である。
ほんの僅か、恐らく1回程度軽く履いた痕跡があるのだが、中も外もきれいなので今回はよしとした。
履いたといっても1980年代のことであろう(笑)
中古品ということで、価格も大幅に安くなった。
実のところ、品質的にいいのは、もっと古い年代のものだ。
60年代の靴のほうが、素材にいいものが使われているという。
40年代など、さらに古い靴も出ているが、一部パーツは風化しかけており、そのまま履くのは難しい。
収集家はちゃんと心得ていて、買ってすぐにソールなど交換し、しっかりメンテナンスして履くという。
この靴は80年代なので、アッパーの革の質はいまひとつの感じだ。
だがご覧のようにかっちりと作られており、形もスマートで悪くない。
ヴィンテージ・シューズの入門用としてちょうどいいところだろう。
サイズは8.5Dで、少しヒールが緩いが、羽根の閉じ方はちょうどよく、実用上問題はなさそうだ。
アメリカ人は足の幅が狭く、幅Cなどえらく細長いものが多い。
今回ヴィンテージ・シューズを買ってみて、サイズなんて考え方次第で何とかなるものだとわかってきた。
僕の足を見たお店の人が、僕が言うほど足の幅は広くないし、甲も低めなので、意外にアメリカ靴向きの形かもしれないと言っていた。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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このブランド、初めて知りました。いつもながら勉強になります。アメリカ物は、自分では知識豊富と自負していたのですが。
中古の靴は、私も抵抗があります。しかし、一回程度の使用で、サイズが問題ないなら、やはり”買い”ですねえ。箱も当時のものがあったのですか。
まだ愛好家の人口がそう多くなさそうなので、面白い分野ではありますね。
この靴に関しては、残念ながら箱は無かったです。
いくつかお店を回りましたが、デッドストックは箱入りが多かったですよ。
いいのはすぐ売れてしまいますが、決まった人が買っていくみたいですね(笑)
昨日はお店の人たちからいろいろな話が聞けて勉強になりました。